頑張る事をやめた時､ヒトは賢くなれる〜頑張れなくなったら､それは脳の進化だ？〜

　ブログ友の記事に”頑張る事はやめた私”(要Click)というのがあった。いい言葉だと思った。

　今､世界は新型コロナの感染拡大の真っ只中にある。特に先進国は経済損失を極度に恐れ､政府の対策は後々に周り､爆発的感染に繋がった。勿論､政府の危機感のなさや大衆の油断もあったろうが。
　これは､人が頑張る生き物であるという事に起因するのだろうか？最初の一歩を踏み違えたら､頑張る程に犠牲は増えるという教訓か？それとも､頑張らなかったらもっと犠牲は増えたのか？

　資本主義社会は､人類の頑張りが作り上げた富の一極集中のシステムだ。
　一部の権力者は､圧倒的多数の大衆を奴隷みたいに働かせ､彼らが汗水流して稼いだ利潤を吸い上げ､ヤバくなれば何処かに姿をくらます。
　利益を搾取され､何処にも行き場のない大衆は､それでも汗水流して働く。大衆は努力が永遠に続くものだと信じてる。頑張るという尊い精神が無尽蔵に存在するものだと信じ込んでる。そして､決まった様に大衆は騙され､犠牲になる。

　今回の新型コロナ感染では､日本政府は最悪のケースになれば､世界の何処かへ逃げ出すんじゃないか？安倍総理の無責任発言やセクキャバ議員の事を考えると､冗談には思えない。

　人は頑張る生き物だ。食う為に､生きる為に､家族を守る為に､どんな不条理なシステムに身を晒そうと､人は努力を惜しまない生き物だ。
　頑張ってる人の姿は美しく､崇高なものだと思っていた。いや､頑張る事は素晴らしいものだと教えられてきたのかもしれない。

　今､新型コロナウイルス感染の現場で､患者の命を救おうと必死に頑張ってる人を､我々は直接目にしただろうか。
　メディアで報道されるそういった緊急の現場は､その殆どが報道用に着色され､映像的に飾り立てられたものであろうか。
　しかしその現状は､感染者を救おうと頑張る程に､現場の医療従事者は次々とウイルス感染の犠牲になる。まさに彼らは命がけなのだ。

　本当に頑張ってる人の姿は､残酷で無残で悲惨なものだ。
　しかし若い頃は､頑張ってる人を見るととても格好良く映ったものだ。
　自分も頑張る人間でありたいと思った。どんな不利な状況でも頑張れる自分を誇りに思ってきたし､そういう人間をずっと目指してきた。
　しかし､そういった純粋無垢な思いとは反比例するかの様に､私は努力や頑張りとは正反対の人間になってしまった。いや､自らそういう道を選んだのかもしれない。

　つまり今の私は､若い頃の私が一番嫌うタイプの人間なのだ。しかし今の私は､少しずつだが賢くなりつつある。
　まるで､新しい知能ウイルスが全ての脳内細胞に徐々に感染していくかの様に。

　昨日書いた､”多項式版フェルマー予想”も1年前は理解できなかった。しかし､昨日再び取り組んだら､すぐに解けた。
　頑張ったからではない。頑張らないで､ほったらかしにしてたから解けたのだ。
　人間の脳は忘れる様に出来ている。忘れる事で脳は活性化し､ヒトは賢くなる。
　もし貴方の脳が”忘れない脳”だとしたら､一生頑張り続ける美しくも尊い”悲しい脳”なのかもしれない。

　”努力が無駄だ”とか､”頑張る事をやめた”とか判断する事は､恥ずかしい事でも悪い事でもない。活性化した脳が適切な判断を下してる証拠だと思う。
　我らサピエンスの脳の容量は､石器時代の旧人類と殆ど変わらないという。つまり､我らサピエンスの脳は忘れる事で進化してきたのだ。
　そして今､我らサピエンスは大きな変革を迎えようとしている。人類がその努力の賜物で築き上げた､最高傑作である筈の資本主義も民主主義も自由主義も､たかがウイルスには太刀打ちできない事が証明されたばかりだ。

　つまり､”頑張らない”時代に我らサピエンスは差し掛かってるのかもしれない。つまり､頑張らない事で自分にも他人にも環境にも優しくなれるのだろうか。
　”頑張らない”事は､人類の長い進化の過程で得られた､我らが生き残る為の叡智と教訓なのかもしれない。
　故に､頑張れなくなった私は今､私という生き物の転換期にあるとも言える。