夕陽丘

時事問題とロースクールの日常など

◆モノ言う仲間つくれるか

2005年04月12日 00時52分24秒 | 企業法務学習日記
 日経4月11日朝刊の「The Board 役員たちの群像」が面白かった。ソニーの今回のトップ交代劇を役員陣の役割の違いから解きほぐしている。

 記事を読む限りの印象では,ソニーは,委員会等設置会社の趣旨をよく活かしている。社外取締役が有効に機能することで業務の監視監督が強化されている一方で,執行役によるスピーディな業務執行が確保されていると思える。委員会等設置会社は,ソニーの企業文化にも合っていたのだろうか?
 
 従来,経営陣の役割分担は,大雑把に言えば,代表取締役を中心に業務執行を行い,経営の意思決定と代表取締役の業務監督を取締役会が,それらの監督を監査役ないし監査役会が行う仕組みであった。したがって,一応,権限の集中化を避け,抑制と均衡がある程度組み込まれていたのだが,現実には,プロパー取締役が中心の日本企業では,権限分配の趣旨が十全に発揮されていたとは言い難かった。

 米国流のガバナンスを参考に導入された委員会等設置会社は,監督と執行を明確に分離することで,制度上,権限分配の趣旨を強化することに資するわけだが,やはり運用次第という面はある。

 社外取締役といっても,お飾りでは意味がない。委員会等設置会社導入以前,社外取締役を積極的に就任させることがブームになったことがあったと記憶しているが,多くの場合,取締役会での発言力は弱かったようである。

 来年予定される会社法改正で,経営の自由度は増すことになる。それだけ,事前の制度設計をしっかりやっておかないと,いざというときに重大な問題が生じかねない。その意味で,日本企業であるソニーの経営は,事例としておおいに参考になるように思える。

 日本社会は,何だかんだ言っても仲間意識が強い。国際化している日本企業でも同様だ。しかし,「内輪の論理」が経営上の意思決定において最重要であってはならない。名立たる大企業が起こす企業犯罪・不祥事には,そうした内輪の論理が遠因になっていると思われるものが多々あるからだ。

 もちろん,欧米流の経営が絶対的な善であるわけがない。日本的な経営,仲間を重視する思想も絶対的な悪でもなければ,時代遅れの手法でもない。重要なのは,仲間同士の意識が外を向いているかということではないだろうか。

 その意味で,仲間意識を重視しつつ,モノ言う仲間をつくれるかが経営上重要になると考えられる。


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