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◆企業防衛 東証が全上場企業に過剰防衛の自粛を要請

2005年04月21日 20時27分22秒 | 企業法務学習日記
●4月21日,東京証券取引所は,全上場企業に対して,投資家保護の観点から敵対的買収への過剰な防衛策を自粛して投資家保護に留意するように要請したことを正式発表した。

●要請内容の要旨は,①導入目的,発動・解除・維持要件,発動の影響等防衛策導入に関する情報を株主・投資家に適時開示すること,②経営者の恣意的な判断で防衛策発動等がなされないよう防衛策発動要件等を明確にすること,③防衛策導入時の株主だけに予約権を付与しない等,防衛策が買収者以外に不測の損害を与えないようにすること,④株主の意思表示が機能する形の防衛策とすること,である。

●東京証券取引所は,5月に公表される見込みの経済産業省・法務省による企業価値防衛指針の内容や関係各方面の議論等を踏まえて,早ければ秋にも制度化する見込み。その場合,違反企業には上場廃止も検討する考えを示した。

●東京証券取引所の要請は,ライブドア騒動で盛り上がった防衛策導入の過熱をある程度冷却する効果を有する。また,内容も,主として買収者と防衛側の狭間で忘れられがちになる一般株主・投資家の保護を要請するものであり,妥当なものと考えられる。「一般投資家の意思表示が意味をなさない防衛策は上場企業の適格性を欠く(土本清幸東証上場部長)」というように,上場企業としての公正さが防衛策には必要となる。何が何でも買収されたくない企業は,上場の意味を再検討する必要がありそうだ。


東証の要請文原文

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