半月ほど前に読んでいた本です。
例によって、漠っとしてダラ~とした感想です。
これは、入院中から退院後にかけて読みました。
とても面白く、私なりにほとんど「一気に」読んだ感じです。
実は、前に書いた「小澤さんと、音楽について話をする」のあと、ブラームスの伝記を読みだしたのですが、これが大変詳細に綴られたいい伝記だとは思ったのですが、読み進めるのが何とも「かったるくて」、内容の詳しさに感心しつつも、途中で「それが何なん?もうええわ!」なんて気持ちになってしまって、読むのやめました。
ブラームスがメインなのに「脇役」のシューマン夫妻の方がずっと魅力的に描かれていたように感じました。
それで、そのあとに読むつもりだった当著を手に取って読み始めたら、これがぐいぐいと読めて、とてもよかったのでした。
中川右介さん、言うまでもなく、クラシックジャーナル誌の編集長であり、アルファベータ代表取締役でもあります。
ごくわずかですが私のツイッターとの絡みもあったかと思います。
著書も多いですが、私はこの本以外では2冊しか読んでいません。
「カラヤンとフルトヴェングラー」「巨匠たちのラストコンサート」です。
前者が特にとてもよかったので、今回も楽しみでしましたが、今回も期待を裏切りませんでした。
実は、中川さんの書いた文章や内容には、時々「カチン」とくることがあります。
特に、クラシックジャーナル誌に掲載された座談会での発言などで「この人、こんなこと言ったら自社の本買ってもらえやんで」とか「そりゃ決めつけでしょう」と思える箇所があったことを記憶しています。
なんか、自分の本や自社の本をわざと売れないようにしているのでは?なんて思ったこともあります。商売気あるんかな?なんてね。
勿論、私が感じただけなんですが。
しかし、先の「カラヤンと・・・」などの単行本ではそんな箇所はなく、もちろん全体に著者の主観がバンバンに感じられる本ではあったのですが、それでも、私はほとんど共感して読みました。
今回の「山口百恵」は、私にとっては、ほぼ守備範囲外の内容でした。
前にも書きましたが、私は71年くらいからクラシックに傾倒していたのですが、その反動みたいに一時期、歌謡曲やポップスを過度に軽視していたのです。
もちろん、山口百恵や桜田淳子、森昌子らはTVに出てるのを見ていますし、主な曲は知っていましたが、いつも心のどこかで小ばかにしていました。
私が、そういうジャンルにも心が開いていたのは76年以降でした。
「山口百恵の評伝」ということですが、著者はあとがきでこのように書いています。
以下、引用・・・(前略)執筆にあたっては、いったん当時の記憶をすべて消去し、文献と映像資料で確認した上で書いた。つまり、はるか昔に活躍した歴史上の人物を描く史伝として書いたつもりだ。この時代のアイドルや歌謡曲全般についての「思い」はあるが、そうした個人の感想や想い出は封印し、「あったこと」を書いていった。(後略)・・・・
このスタンスで書かれたことによって、私の中にごっそりと欠落していた、当時の山口百恵を中心とする「歌謡曲界」の様子、その裏側で繰り広げられていた様々なデキゴトなどが臨場感を伴って感じられました。
記憶の中に残る、私が当時、わずかに見聞きしていたアイドルたちの映像の断片と結びついて、極めてリアリティを持って読み描くことができました。
そして、この本を読み進めている中で何よりも、文中に登場した楽曲を聴きたい、(「蒼い時」などの)書籍を読んでみたい、という気に強くさせられました。
音楽を扱った本を読む魅力は、単なる知識の収集ではない。
私にとっては、そこに書かれている楽曲やアーティスト、作曲家の音源を聴きたくてたまらなくさせてくれることが、その醍醐味です。
先のブラームス本では、それが私にはなかった。
交響曲第1番が生まれる経緯が、どれだけ仔細に綴られていても、「ああ、も一度、今、ブラ1を聴きたい」とは思わせてくれなかった。
しかし、この本は、聴いたこともない山口百恵の曲を、あれもこれも聴いてみたいという気にさせてくれました。
もう、それだけで、読んだ甲斐があったというもの。
山口百恵の音源で手元にあるのは、大瀧詠一作品の「哀愁のコニーアイランド」と2枚組の「コンプリート百恵回帰」だけですが、ちょっと他にも聴いてみたくなっています。
今、一枚、こっちに向かっている途中です。
中川さんの著書は、というわけでとても読み応えあるので、あと2冊が棚で待機していますが、『松田聖子と中森明菜』(2007年、幻冬舎新書)の方を先に買っちゃおうかな?なんて思ったりもしています。
例によって、漠っとしてダラ~とした感想です。
山口百恵
赤と青とイミテイション・コールドと
中川右介 著
朝日文庫
赤と青とイミテイション・コールドと
中川右介 著
朝日文庫
これは、入院中から退院後にかけて読みました。
とても面白く、私なりにほとんど「一気に」読んだ感じです。
実は、前に書いた「小澤さんと、音楽について話をする」のあと、ブラームスの伝記を読みだしたのですが、これが大変詳細に綴られたいい伝記だとは思ったのですが、読み進めるのが何とも「かったるくて」、内容の詳しさに感心しつつも、途中で「それが何なん?もうええわ!」なんて気持ちになってしまって、読むのやめました。
ブラームスがメインなのに「脇役」のシューマン夫妻の方がずっと魅力的に描かれていたように感じました。
それで、そのあとに読むつもりだった当著を手に取って読み始めたら、これがぐいぐいと読めて、とてもよかったのでした。
中川右介さん、言うまでもなく、クラシックジャーナル誌の編集長であり、アルファベータ代表取締役でもあります。
ごくわずかですが私のツイッターとの絡みもあったかと思います。
著書も多いですが、私はこの本以外では2冊しか読んでいません。
「カラヤンとフルトヴェングラー」「巨匠たちのラストコンサート」です。
前者が特にとてもよかったので、今回も楽しみでしましたが、今回も期待を裏切りませんでした。
実は、中川さんの書いた文章や内容には、時々「カチン」とくることがあります。
特に、クラシックジャーナル誌に掲載された座談会での発言などで「この人、こんなこと言ったら自社の本買ってもらえやんで」とか「そりゃ決めつけでしょう」と思える箇所があったことを記憶しています。
なんか、自分の本や自社の本をわざと売れないようにしているのでは?なんて思ったこともあります。商売気あるんかな?なんてね。
勿論、私が感じただけなんですが。
しかし、先の「カラヤンと・・・」などの単行本ではそんな箇所はなく、もちろん全体に著者の主観がバンバンに感じられる本ではあったのですが、それでも、私はほとんど共感して読みました。
今回の「山口百恵」は、私にとっては、ほぼ守備範囲外の内容でした。
前にも書きましたが、私は71年くらいからクラシックに傾倒していたのですが、その反動みたいに一時期、歌謡曲やポップスを過度に軽視していたのです。
もちろん、山口百恵や桜田淳子、森昌子らはTVに出てるのを見ていますし、主な曲は知っていましたが、いつも心のどこかで小ばかにしていました。
私が、そういうジャンルにも心が開いていたのは76年以降でした。
「山口百恵の評伝」ということですが、著者はあとがきでこのように書いています。
以下、引用・・・(前略)執筆にあたっては、いったん当時の記憶をすべて消去し、文献と映像資料で確認した上で書いた。つまり、はるか昔に活躍した歴史上の人物を描く史伝として書いたつもりだ。この時代のアイドルや歌謡曲全般についての「思い」はあるが、そうした個人の感想や想い出は封印し、「あったこと」を書いていった。(後略)・・・・
このスタンスで書かれたことによって、私の中にごっそりと欠落していた、当時の山口百恵を中心とする「歌謡曲界」の様子、その裏側で繰り広げられていた様々なデキゴトなどが臨場感を伴って感じられました。
記憶の中に残る、私が当時、わずかに見聞きしていたアイドルたちの映像の断片と結びついて、極めてリアリティを持って読み描くことができました。
そして、この本を読み進めている中で何よりも、文中に登場した楽曲を聴きたい、(「蒼い時」などの)書籍を読んでみたい、という気に強くさせられました。
音楽を扱った本を読む魅力は、単なる知識の収集ではない。
私にとっては、そこに書かれている楽曲やアーティスト、作曲家の音源を聴きたくてたまらなくさせてくれることが、その醍醐味です。
先のブラームス本では、それが私にはなかった。
交響曲第1番が生まれる経緯が、どれだけ仔細に綴られていても、「ああ、も一度、今、ブラ1を聴きたい」とは思わせてくれなかった。
しかし、この本は、聴いたこともない山口百恵の曲を、あれもこれも聴いてみたいという気にさせてくれました。
もう、それだけで、読んだ甲斐があったというもの。
山口百恵の音源で手元にあるのは、大瀧詠一作品の「哀愁のコニーアイランド」と2枚組の「コンプリート百恵回帰」だけですが、ちょっと他にも聴いてみたくなっています。
今、一枚、こっちに向かっている途中です。
中川さんの著書は、というわけでとても読み応えあるので、あと2冊が棚で待機していますが、『松田聖子と中森明菜』(2007年、幻冬舎新書)の方を先に買っちゃおうかな?なんて思ったりもしています。
山口百恵 赤と青とイミテイション・ゴールドと (朝日文庫) | |
中川 右介 | |
朝日新聞出版 |
これまでの著作は、カラヤン本などのタイトルを見ると、既出本の情報の寄せ集めなのではないかと敬遠していましたが、この本は読んでみたいです。
「蒼い時」は、編集(ゴースト)した残間江利子さんが世に出た本ですが、アイドルが初潮のことなどを赤裸々に明かしており、当時は世間が大変な驚きであったことを記憶しています。
山口百恵さんのベストは、今もカタログにあると思います。
何社からも自伝出版の話があったなかで、ゴースト無しでOKだった集英社を選んだとか。
もちろん、私はこの本に書いてあることしか知らないので何とも言えませんけどね。
中川さんはご自身の思いを封印して書かれたとありますが、膨大な客観的資料と事実の積み重ねによって、かえって中川さんが「思う」百恵像がリアルに伝わる本になったと思います。