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茜空日記 goo版

映画と本をこよなく愛するラルゴです。
自然と美味しい食べ物に恵まれた福岡からあれこれ脈絡なく綴ります。

『ご縁玉 パリから大分へ』

2009-01-06 12:11:54 | 日本の映画
KBCシネマ北天神



昨年11月に乳ガンで亡くなられた「命の授業」の山田泉さんと、フランスのチェリスト エリック=マリア・クテュリエの、五円玉=ご縁玉に導かれた不思議な交流のドキュメンタリー。

山ちゃんこと山田さんが末期ガンだから、カメラが回っているからと言って特別にドラマッチックに進むのではなく、ごく自然に再会を喜びあい、見せたい場所や会わせたい人の元に案内をして、一緒に時間を過ごす様子が穏やかでいい雰囲気です。
それにしても、チェロの音って耳から入って脳を経由して・・・と言うより、身体に直接ずんずん響くような不思議な音色ですね。宮沢賢治『セロ弾きのゴーシュ』の感覚がようやくわかりましたよ。

日本名ケンちゃん(笑)ことエリック=マリアが施設の子供たちの前で、覚えたてのたどたどしい日本語で歌う『天空の城ラピュタ』の歌はぜひ聴いてください。


『ご縁玉 パリから大分へ』公式サイト

2008年度ベストテン*日本映画

2009-01-02 00:18:44 | 日本の映画
年明け恒例・・・・・と言ってもまだ2回目だけど(^^ゞ 2008年度(2007年12月~2008年11月)に観た映画のベストテンです。

まずは日本映画の部になります。

1位 『おくりびと』
2位 『KIDS』
3位 『西の魔女が死んだ』
4位 『休暇』
5位 『アフタースクール』
6位 『山桜』
7位 『Little DJ~小さな恋の物語』
8位 『相棒 劇場版』
9位 『グーグーだって猫である』
10位 『同窓会』


1位 『おくりびと』
本木雅弘の所作の美しさ、そして舞台になった庄内地方の季節の移り変わりの美しさ・・・・・、日本人に生まれて良かったとしみじみ思いました。

2位 『KIDS』
乙一原作の映画を観ているといつも、精緻に作られたスノードーム(透明なガラス玉の中にミニチュアの景色が入っていて、揺さぶると中の白い粒が雪が降っているように見えるもの)を目を凝らしてじーーっと眺めているような気持になります。橋の上の情景をカメラがスローモーションで追って行く様子はまるで悪夢の中みたいで、息苦しいくらい怖いのに不思議に美しいシーンでした。

3位 『西の魔女が死んだ』
原作ファンとして監督にお礼を言いたくなるような丁寧で良い出来です。ラスト「お祖母ちゃん、大好き」「アイ ノウ」には涙涙ですね。魔女ことお祖母ちゃん役にサチ・パーカーをキャスティング した人、よくぞ思いついてくれました!主人公・まい役も派手すぎず存在感のある子で原作のイメージに良く合ってます。

4位 『休暇』
淡々としてそうな話だから途中で寝てしまうかも・・・という観る前の予想は完全にはずれました。刑務官・平井役の小林薫、死刑囚役の西島秀俊ともに演技には定評のある俳優だけど、抑えた言動の中にふとした拍子に溢れ出てしまう感情の表現が本当にリアルで怖いくらいでしたね。

5位 『アフタースクール』
とにかくいろんな意味で振り回されダマされまくるけど、押さえるとこ押さえてあるので(友情とか正義感とか)観終わると何故か気分がいいです。パクおじさんの「オススメ料理」のお品書きが笑えました。

6位 『山桜』
時代劇は守備範囲外でしたが主人公が女性というのもあって、全体的に押さえたしっとりした雰囲気がなかなか良かったです。東山紀之の侍姿が、身のこなしに無駄がなくて美しかったですね。

7位 『Little DJ~小さな恋の物語』
『小さな恋のメロディ』のオマージュ的作品。あの映画が時代を超えて、いかに日本で愛されているかが良くわかります。パンフレットの年表によると太郎は私と偶然同い年の設定(たまきは1歳上)。・・・・・どうりで懐かしいはずだぁ~~。

8位 『相棒 劇場版』
劇場版ということでスケールが大きい分、薄味になったりしてないかとちょっと心配してたけど、ちゃんとあの『相棒』のテイストが健在でした(そういう当たり前のことが出来てない映画版がけっこうあるのよねぇ・・・)。
ハナシ逸れるけど、薫卒業後の次の相棒はいったい誰なんだよ、も~。元旦スペシャルでもぜんぜんヒントなしだとは思わなかったよ・・・・・_| ̄|○ 田端智子はなかなかイイ味だけど今回限りのリリーフだったし。

9位 『グーグーだって猫である』
思ったより「いや~ん、猫ちゃんカワイイ!」なだけじゃなく、大人の鑑賞にたえる映画だったのでほっとしました。小泉今日子の、年齢不詳のおっとりした少女っぽさと、ふと見せる若くはない女性の孤独感の対比が良かったです。

10位 『同窓会』
割合早い時点で克之の「ああ、カン違い」は観客に知らされるから『アフタースクール』のような先の読めない疾走感はあまりないけど、これはこれで笑って泣けるウェルメイドな映画です。今の感覚からするとすでに懐かしいような、すれ違いだの秘めた恋だの友情だのおせっかいだのに思わずじーんと来てしまいました(笑)

『真木栗の穴』

2008-12-06 16:13:06 | 日本の映画
シネテリエ天神



最初はそこはかとなくエロい話だったのに、ふと気がつくといつの間にかホラーになっていて、その「いつの間にか」加減がさり気なくてコワイです。古くから伝わるあの話がモチーフなんだけど、ことホラーに関しては別に目新しくないから魅力的じゃないってことにはならないんですね。手垢のついた図式=昔から人々を魅了してきた図式とも言えるし・・・。



『海街diary』の鎌倉とはまた違ったアヤしい大人の鎌倉が楽しめます(笑)。
お馴染み『鳩サブレー』の缶もちょこっと出演?してますので、観る人は探してみてね~。

西島秀俊はこういう「のめり込む系優男」をやらせたら天下一品かも。粟田麗(「くりた・れい」ではなく「あわた・うらら」よ、読めない・・・)は小西真奈美や山口智子から明るさやキリっとした所を取ったようなおっとりした普通っぽい顔立ち。はかなげな雰囲気ながら、こういうタイプが実は魔性の女だったりするのよね・・・という感じのミョーな色気がありました。

『真木栗の穴』公式サイト

『秋深き』(ちょっとネタバレます)

2008-12-02 12:14:14 | 日本の映画
ソラリアシネマ



中学校教師の寺田は、大阪・北新地のクラブのホステス、一代に惚れ込み、酒も飲めないのに、毎日店に通いつめていた。親が持ってくる見合い話にうんざりした寺田は、意を決して一代にプロポーズ。一代も寺田の一途な愛を受け入れることに。寺田は家を飛び出し、二人の生活を始めた。しかし、暮らし始めてすぐ、一代の過去の男性遍歴が次々と見え、寺田は過去への嫉妬に苦しむように。そんな時、一代が「乳がんになった」と告白する。 goo映画より

携帯やインターネットも出てくるしいちおう現代の話だけど、舞台になった大阪の下町や、やわらかい関西弁のやり取りに漂う空気は限りなく昭和の雰囲気がしますね~(実は関西弁フェチ・笑)。



一代に惚れ込むあまり、過去の男のカゲにまで嫉妬してジタバタする寺田の姿は、どこからどう見ても人間小さくてみっともない。でも孤独な一代の求めていたのは、そういう不器用で一途な愛され方だったんだろうなぁ・・・。一緒に過ごす時間は短かったけど、そんな意味ではとてもとても幸せな夫婦です。

あのルックスのおかげか今までふてぶてしい感じの役柄が多かった佐藤江梨子だけど、この映画の彼女はなんていうか本当にいじらしくて可愛いです。いやー、男がこれ観たらほぼ9割サトエリのファンになると思うよ。
佐藤浩市が出番少ないけどカッコよくておいしい役でした。・・・いや、役柄的には決しておいしくないか(笑)。


『秋深き』公式サイト


『その日のまえに』

2008-11-17 12:10:12 | 日本の映画
中洲大洋



最初は少なかったお客が口コミで少しずつ増えているらしいのと、パンフレットが売り切れになってるのをみると、いい映画なのでしょうけど・・・・・・・・・・・・・(長い間)。

ここがわかりにくい、あそこがちょっと押し付けっぽいと、あれこれ言ってしまうとネタバレになるのでしませんが、大林宣彦監督特有の「僕っていくつになっても少年の心持ってるんだよ。どう?これって素晴らしいことだろう?」と声高に主張してるような作風が、私には昔からどうしても好きになれなくてねぇ、ごめんなさいよ・・・・・・・・・・・・・・・・・(さらに長い間)。

主演の南原清隆、永作博美はすごく良かったんですけどね。特にナンちゃんは、ごく平凡な夫が死んでいく妻を、自分の悲しみをこらえて懸命に支えようとする雰囲気がよく出ていてじーんとしました。

私は乗れませんでしたが、大林監督を好きな方は監督特有の過去と現在、空想と現実が交錯した大林ワールドが存分に楽しめると思います。