土曜夜にNHK総合で放映の『外事警察』を毎回観ています。と言っても内容があまりにも重くて、単純にエンタメとして楽しむようなドラマじゃないんですけどね。
主人公の渡部篤郎が、目的(テロ計画の阻止)のためには手段を選ばない超非情な奴ですが、ときどき垣間見せる苦悩の表情がすごくリアル。こんな複雑な役を演じられるのはこの人しかいないよなぁ・・・とつくづく感心しました。植物状態の夫に要する多額の治療費と引き換えに協力者(スパイ)になる石田ゆり子も、こういう清楚なタイプが演じるからこそ夫思いの顔の下の、人として女としてのダークサイドをよく表現できていると思います。
それにしても、罪もない(わけでもないんだけど)民間人を巧みに罠に絡めとって協力者に仕立て上げて行く手順が、観ていて胃が痛くなるくらい嫌な感じにリアルだと思っていたら、原案・麻生幾の名前を見て納得しました。前に麻生幾の『宣戦布告』(映画にもなりましたね)を読んだとき、福井の友達から「作者は福井の人間じゃないのに、小説中の福井の方言がどこにも間違いがなく完璧なので地元で話題になった」と聞かされました。おそらくどの小説も、リサーチの鬼ってくらい地道で入念な下調べの上で書かれてるんでしょうね。『外事警察』の方の原作も、ちょっと読んでみたくなりました。でもきっとTVドラマどころじゃなく怖いんだろうな・・・。
ドラマ『外事警察』公式サイト
追記
公式サイトをよく見てみたら、これは麻生幾の小説をドラマ化したものではなくて、このドラマのために書き下ろされたものでした。NHK、チカラ入ってますねぇ~。
キーワード解説コーナーでは、ドラマ中に出てくるいろいろな公安用語(隠語)を作者がじきじきに解説しています。これを読んでから再放送を見直すとかなーり怖面白そう・・・。