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茜空日記 goo版

映画と本をこよなく愛するラルゴです。
自然と美味しい食べ物に恵まれた福岡からあれこれ脈絡なく綴ります。

ドミナ ブックレビューに載りました!

2008-09-02 23:13:32 | 
地元フリーペーパー ドミナ 9月号特集「わたしのブックレビュー」にコメントが載りました。(トップページ→SPECIALに進んでください)



『オリヴィア・ジュールズの華麗なる冒険』
ヘレン・フィールディング著 ヴィレッジブックス刊

たぶん出版社としては、同じ作家の書いた『ブリジット・ジョーンズ』シリーズの延長線上の、憎めない共感系ヒロインものとして売りたいのでしょう。でも、読み出すと前半でいきなり主人公が本物のテロに巻き込まれたりするから、『ブリジット』のような罪のないガーリーな世界を期待すると、ちょっとびっくりすると思います。9.11以降の世の中を生きるには、女の子もこのくらいタフで機転と行動力がなくては、という作者のメッセージかも知れません。

とは言え、緊迫した場面に挟まれるイギリス流のちょっとひねったユーモアの感覚は絶妙だし、世界を救う(?)合間にちゃっかりイケメンCIAと恋に落ちるようなロマコメ要素も盛り込まれるしで、最後までテンション上げてひたすら楽しく読めることだけは間違いないので、興味のある方はぜひどうぞ(^^)

やっぱり私は『ブリジット』よりこっちの方が好きだな~。どこか映画化してくれないかな。

『DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件』 西尾維新

2008-08-31 00:00:16 | 
ファンの方ならとっくに知ってるんだろうけど、著者の名前ってアルファベットにすると上からも下からも同じに読める回文になってたんですね。なかなか凝ったPNです。



あの『DEATH NOTE』の前日譚、平たく言えばスピンオフだけど、小説の方は正直言って期待したほど面白くなかった。テーマはミスディレクションとなるんだろうけど・・・このミスディレクションはあざといと言うか、底が浅すぎるでしょ。

残されたメッセージから犯人の意図だの次の被害者を推理するくだりは、単に言葉をこねくりまわして遊んでるだけで、だから何?って感じだし、アメリカが舞台なのに意味不明にツンデレだの眼鏡っ子だの出てくるところもわけわからんし。そもそも『赤ずきんチャチャ』を知らない人はどうすんだよ・・、あぁ、そういう人は読まなくていいってことか。

本を読むときは、私はまず粗筋を知りたくてすごいスピードで読んでから、次に細かいところを頭に刻みながらじっくり2回目を読みます。本好きにとってはこの2回目がいちばん楽しい時間なのですが、これは久々に2回目を読むのがつらいと思いました。予約待ちは長かったけど、買わずに図書館で借りて良かった・・。

とは言え、本編であそこまで唐突な消え方をした南空ナオミの活躍はそれなりに楽しいし(レイ・ペンバーとの順調な交際ぶりも少し描かれて微笑ましいのだ)、書き手があのキャラクターと言うのも設定としては面白いし、『DEATH
NOTE』好きな人は、期待せずに取りあえず読むだけ読んでみても・・・この記事を見て「この本読んでみたい」と思う人はほとんどいないか(^^ゞ

そうそう、今回の被害者の名前もまた凝ってると言うか、ぱっと見で性別もわからないくらい(笑)見事に変わった名前ばかりでした。

1番目の被害者ビリーヴ・ブライズメイド、
2番目がクォーター・クイーン、
3番目はバックヤード・ボトムスラッシュ、
4番目(予定)はブラックベリー・ブラウン、ブルースハープ・ベビースプリット

BBなら普通にバーバラ・ボールドウィンとかボブ・バックマンではダメだったのか?
『DEATH NOTE』本編では「ノートに名前を書かれた人間は死ぬ」という設定があるから、同名で不愉快な思いをする人が出ないように「北村」→「鬼他村」のような、ありそうにない変わった名前にしてたんでしょう。でも、今度は例のノートは一切出てこないし、いったいどういう意図があったんでしょうね。ただその方が意味ありげでかっこいいと思ったから?そのへんもヨクワカランです。

祝☆『厚揚げ』書籍化!

2008-08-26 00:33:43 | 
「忙しいからしばらく更新しません」とか書いといて狼少年ラルゴ(女)だけど、これは発売日にお知らせしたかったのでむりやり更新。

厚揚げが本になりました!



これは日本に古くから伝わるヘルシーフード「厚揚げ」を様々にアレンジした料理レシピ本・・というのは真っ赤なウソで、私も毎日読んでる人気ペットブログ『白柴とうふの厚揚げ劇場』の書籍化です。ペットブログだけど、時事世相ネタなんかもタイムリーに取り込んだ4コマ漫画風仕立てで、しかもこれが面白いんですよ。

今までは、会社の昼休みに読む→お茶を吹き出して恥ずかしい思いをするのがいつものパターンでしたが、本になれば人目を気にせずどこでも読めるので助かりますね~。でも、電車の中で読む→吹き出して恥ずかしい思いをするってパターンもあるから、結局、危険なブツに変わりはないか(笑)

8月26日発売。私は書店で買う派だけど、Amazonでももう注文できるようです。

『ベルカ、吠えないのか?』 古川日出夫

2008-08-18 23:09:15 | 


覚えきれないくらい多くのイヌが出てくるので、「ふーーん、ここの点線はそういう意味か」とか「これは誰と誰の血を引いてて最終的な軍籍はどこになるんだっけ」と、本文を読みながら家系図(文庫版のみに掲載らしい)を何十回もめくってしまい、そこだけページがよれよれになってしまいました。

時間を忘れて一気に読み上げたけど、あまりにも複雑で壮大な物語でとても簡潔には感想を述べられないので、ひとこと
「うぉん。」とだけ、言っておきます。


モチーフになったあのイヌは、映画『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』にも出てきますね。確かに世界でいちばん有名な、人の記憶に残るイヌかも知れません・・。

ふと思い付いて、タイトルを関西弁にしてみると

『ベルカ、吠えへんのか?』

うん、それなりに味わいはありますね。

博多弁だと『ベルカ、吠えんとか?』

・・・ぜんぜんダメだな_| ̄|○ 何かが違う(笑)


「殺人の追憶」

2008-06-21 00:12:30 | 
著/薄井ゆうじ 原案/ポン・ジュノ、シム・ソンボ



映画は2003年に韓国で大ヒットしたポン・ジュノ監督作品。実際に起きた未解決の連続殺人事件を題材にした話題性も手伝って、当時、韓国では社会現象と言われるほど反響を呼んだそうです。
今日紹介するのは、その映画のシナリオを元に日本の作家が超訳(つまりは加筆)を加えた小説版。人気映画にノベライズはつきものだけど、ほとんどの場合、元の映画のインパクトには遠く及ばないってことが多いですよね。でも、これは違いますよ~(断言)。

人物や時代背景の描写など、より深く丹念に掘り下げてあって、映画の場面場面が実際にスクリーンで観ているように(あるいはそれ以上に)映像として強烈に甦ってきます。うっかり雨の夜に読んだらめちゃくちゃ怖かった・・・^_^; 映画では脇役だった女性巡査・貴玉(ギオク)の視点が組み込まれているのも、面白いです。

それにしても、この小説、超訳(加筆)部分とオリジナルがあまりにも違和感なく自然に融合してるのがすごすぎ。明らかに映画版にはなかった犯人の独白部分はともかくとして、他はどこが加筆でどこが元々のシナリオなのか、冗談じゃなくわからないんですよ。いっそ、加筆部分を赤字で印刷してくれないだろうか・・・と、本気で思いました。韓国ではなく日本の作家が、よくここまでリアルに書けたもんです。

あと、もうひとつ驚いたことに、この小説では映画のあのラストの「その後」が書かれてるんですよねー。いや、ホント大胆な超訳ですよ(笑)
もちろん作者の空想にしか過ぎないのはわかっているけど、それでも、あれは観た人ならおそらく誰もが頭の中で「犯人は、刑事たちはその後どうしているのか」を想像せずにはいられない映画だから、ある意味こういう超訳もアリかも知れませんね。

それぞれが、自分の想像した「その後」とくらべてみるのも、また面白かったりして・・・。