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マウントゴックスの教訓生きたか 金融庁のジレンマ

2018年01月30日 16時47分29秒 | 市場動向チェックメモ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26301300Q8A130C1000000/?nf=1

マウントゴックスの教訓生きたか 金融庁のジレンマ
仮想通貨 経済
2018/1/30 14:30

 仮想通貨取引所大手コインチェック(東京・渋谷)の巨額流出問題は「利用者保護の再整備」という新たな課題をつきつける。2014年、同じ取引所のマウントゴックス事件の教訓は生きたのか。あれから4年、「処分庁」から「育成庁」へ脱皮を掲げる金融庁の手探りが続く。

質問に答える和田晃一良社長((左))と大塚雄介取締役((右))

 問題が発覚したのは26日。コインチェックから約580億円分の仮想通貨「NEM(ネム)」が外部に流出した。金融庁は同日中に報告徴求命令を出し、28日に詳しい状況を伝えるよう同社に指導した。

 28日、金融庁内はドタバタしっぱなし。コインチェック側がいつ報告に来るかもわからず、担当者は上下階を行ったり来たり。午後3時前に金融庁9階の会議室で報告が始まり。2時間半ほどたってようやくドアが開いた。「結論から言えば一言、いろいろ不十分だった」(金融庁関係者)。つたないリスク管理体制や法令順守の不備などが次々と明らかになり、29日には業務改善命令を出した。

■改正法から1年足らず、ショック広がる

 仮想通貨の流出といえば14年のマウントゴックス事件を思い出す人は多い。当時、世界最大だったビットコイン取引所の運営会社が約480億円分の仮想通貨を失い、経営破綻した。消失したコインの補償はされず、多くの利用者が泣き寝入りを迫られた。反省から生まれたのが、17年4月施行の改正資金決済法だ。

 世界に先駆けて仮想通貨取引所に登録制を導入し、利用者と取引所の資産の分別管理やマネーロンダリング(資金洗浄)対策として取引時の本人確認などを義務付けた。「利用者保護の網を広げ、安心して取引できる環境を整えた」というが、それでも今回、また流出が起きた。改正法施行から1年足らず。金融庁内にはショックが広がる。

 今回の最大の原因は、コインチェックのずさんな内部管理体制に間違いない。とはいえ制度面に穴はなかったか。課題の1つに「みなし業者」という措置があげられる。

 みなし業者とは、改正法施行前から取引所を運営していた業者をさす。金融庁に登録申請していれば、登録を認められていなくても運営できる。金融庁によると1月時点で登録済みの取引所は16、みなし業者は16ある。コインチェックはみなし業者で、金融庁から審査を受けている最中だった。

 複数の関係者によると、同社は事業拡大を優先して管理体制を後回しにしていた。送り手と受け手が誰なのか追跡できなくなる「匿名通貨」を複数扱い、取引を監視するシステムの整備も遅れていた。金融庁は「個別の審査の事項についての発言は控える」と述べるにとどめる。みなし業者で運営できる期間も「法律上は期限は無い」とする。ただそれで良しとはならない。

■「育成庁」の役割、先進国だからこそ増す

 たとえば登録制度の実効性を高めるなら、みなし業者として認める期間を区切ってはどうだろう。期限内に体制が整わないなら審査を打ち切り、市場からの退出もいとわない。利用者が保有する仮想通貨はほかの取引所に移せる規定も作る。そうすれば、取引所の健全性を担保できる可能性は今よりもぐっと高まるはずだ。

「処分庁」から「育生庁」への脱皮を目指すが…

 金融庁の体制も課題だ。専門知識を持つ職員をどう確保するか。仮想通貨関連の技術は日進月歩で民間との技術者の獲得競争は激しさを増す。当局の体制が後追いになるほど、審査が長引き、目配りもしにくくなる。

 利用者に対して「仮想通貨は価値を保証しないモノ」という認識をもっと広める工夫もいるはずだ。激しい値動きによる損失拡大を防ぐのも当局の責任だ。外国為替証拠金(FX)取引のように、仮想通貨にも預けたお金(証拠金)で何倍の取引ができるかを定める証拠金倍率(レバレッジ)の上限を決めるなど、新たな利用者保護の対策も考えられる。

 IT(情報技術)と金融が融合したフィンテックなど新たな金融産業が育ち始め、「金融育成庁」としての役割は高まっている。1社の不祥事をきっかけに「仮想通貨先進国」になるチャンスを潰すのはもったいない。社会をかえるイノベーションを育てるのは、当局の重要な役割だ。多少不格好でも、後付けでも、今回の流出を新たな教訓にできないと、仮想通貨市場は文字通り、バブルのごとくはじけてしまいかねない。

(鈴木大祐)

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