みみずくの日記

旅行記録などに関する感想を書く。

田染荘と中津城(1)

2013-12-08 10:08:38 | Weblog

 世界農業遺産に指定された国東半島宇佐地域にある田染(たしぶ)と中津城を

訪ねるバスツアーに参加した。

 ツアーのタイトルは「未来へ残したい風景と中津の官兵衛」であった。

中津の官兵衛は分かるが、残したい風景がどこなのかは分からなかった。 

参加者は、女性限定で夫婦も可ということだったが、夫婦は我々一組だけだった。

福岡市から南下して、大分自動車道に入り、日出から豊後高田市に向かった。

日出から先は、最近、車で行ったことがないので、道順は分からなかったが、

豊後高田市に近い田染(たしぶ)が目的地だった。

 

                  ほたるの館

到着した「ほたるの館」の前には、田染の田園風景が広がっている。 

近くには、夏になると沢山のほたるが見られる場所があるそうである。

            

                   田染の田園風景 

田染が十五世紀頃から宇佐神宮の荘園であり、目の前に広がる田園風景は、

四、五百年前の姿のままであると聞いて、ここに来た理由が分かった。

左の山麓の森のところから右の方へ、田圃は緩やかに低くなってきている。

 

 

                 重要文化的景観の石碑

 

 

                皇太子殿下行啓記念碑

平成20年、皇太子殿下がこの地を訪問された。そのときの写真が、

「ほたるの館」の中に展示されていて、広場には行啓記念碑が建てられている。

 

 

広場の入口近くに、いろいろなかかしが置かれていた。

最近、かかしのコンクールがあって、終わったばかりだという話だった。

記念碑に置かれているかかしは、優秀作品の一つかもしれない。

   

 

荘園は細長い地形に思えた。右の方の山麓までが昔の荘園だったらしい。

区画整理をしていない田圃の畦道は、昔のままに曲がりくねっている。

その畦に沿って、用水路が設けられたが、そのほかは、昔と変わらぬ景観だという。

 

 

昔の景観を残すために、道は幅だけ広げて、二車線の舗装道路にしている。

そのせいで、真っ直ぐではなく、曲がりくねった道になっている。

山稜に見える突起した大きい岩には、釣鐘岩、徳利岩、障子岩などの

名前がついている。

真ん中の幟の上は、地下足袋岩というから、古い名前ばかりとは限らぬようだ。

 

 

                 しいたけ栽培場

田染荘の説明を聞き、景観を眺めた後、杉木立の中のしいたけ栽培場に

案内された。しいたけ栽培場に来たのは初めてだ。周囲は鹿除けの壁で囲まれている。

     

 

 参加者は一人2個のシイタケを採らせてもらった。

茎の根本をつまんでねじって採る。原木に生えたシイタケを初めて採取した。

傘の上に白い割れ目の模様があり、傘の裏側に薄い膜がないシイタケを

採ってほしいと言われた。 

            

 

採ったシイタケは集められ、「ほたるの館」に持ち帰って、

昼食の時に食べることになっている。

 

 

 

              栽培所の入口に置かれたかかし

 鹿を追い払うために、入口の所にかかしが置かれていた。

昔の田圃のかかしより手がこんで、着せている服も上等である。

鹿には、結構、効果があるという話だった。

道路脇に、金網を設置している場所が多く目についた。

猿はいないが、鹿と猪の被害があるという話だった。

鹿はシイタケの茎の根元まできれいに食べ、猪は利口で、囲いの下を掘って、

中に入ることがあるという。

 

                      ため池

国東半島のこの地域は、年間降雨量がほかの地域より少ないので、

昔から農業用のため池が多く作られ、降った雨水を効率的に使う工夫がなされてきたという。

ため池の補修工事は昔は人力だが、今はブルドーザーを使って、

なされているのを見た。

 

 

                    昼食の弁当

 ツアーの昼食は、地元の食材を使った弁当ではないかと期待していたが、やはり、

地区の女性達の手作りの弁当だった。

ご飯は地元の「荘園米」、シイタケの天ぷらや鶏のから揚げなどが入っていた。

鶏と根菜の吸い物で体が温まり、採取したシイタケを炭火で焼いて貰って、

カボスの汁をかけて食べた。おいしい弁当で、十分に満足した。

「荘園米」は「ほたるの館」で売られていて、買って帰る人もいた。

  

 

 

     くぬぎ林に積まれているシイタケの原木( 中央に黒く見える)

  シイタケの原木はくぬぎの木が使われる。くぬぎを伐ると、

切り株から新芽が出て、15年経つと原木に使える程の大きさに成長するという。

このサイクルを利用すると、植林の必要はない。

シイタケの原木に穴をあけ、菌を埋め込むと、翌年、菌が原木全体に拡がり、

シイタケが発生するという。

バスの中から、くぬぎ林を見学して、この後、中津城に向かった。

 

 

 

 

 

 

 


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