バスツアーによる四国巡礼も、今回は最終の10回目。これまでは、小倉港からフェリーで松山へ行き、バスで目的地に向かうツアーが多かった。フェリーは夜10時出港、翌朝5時下船なので、就寝時間が少ない。そこで今度は、新幹線で博多から岡山まで行き、そこからバスで高松市近郊の11ヵ寺を二日間で回るツアーを択んだ。こちらの方が体力的に楽だと思われた。しかし、7月20日、21日と西日本一帯は朝から大雨で、雨の中のお寺巡礼となった。帰宅予定日の21日、大雨によって、防府市では土石流が発生し、大きな被害が出た。新幹線は広島、博多間が不通になり、帰れないので岡山でもう一泊することになった。
20日の7時30分、「のぞみ8号」で博多を発ち、9時13分に岡山に着く。岡山駅前からのバスで、雨の瀬戸大橋を渡り、宇多津の78番札所郷照寺から83番札所一宮寺までが今日の予定である。
郷照寺山門。雨が小降りになることもあったが、カメラが濡れるのを気にしながら、傘をさして写真を撮るのは面倒である。一宮寺までの六ヵ寺にお参りして、夕方五時前に高松市内のホテル「東急イン」に着く。夕食まで時間があったので、近くの兵庫アーケード商店街を散策する。讃岐うどんの店が目に付くが、夕食はホテルでとるので我慢する。
翌21日、雨が激しく降り、ビニールレインコートに傘をさしてお参りをする。このお寺の境内は随分と広い。確か屋島寺だったと思うが、雨と足元に気をとられて、お寺の名前は覚えていない。この山門から更に山門があり、その先に本堂が見える。
お堂の前で、傘をさしながら、線香と蝋燭に火を付け、お堂の庇の下で雨を避けて、お経を上げる。 ここのお寺も名前は覚えていない。 天気のいい日に撮ったお寺の写真を後で見ても、なかなか名前が出てこないが、雨に気をとられると余計分からなくなる。
しかし、80番札所国分寺の大きな礎石と86番札所志度寺の立派な五重塔は強く印象に残った。87番札所長尾寺と最後の88番札所大窪寺に「般若心経」の写経を納めた。
最後の88番結願所大窪寺には午後一時頃に着いた。去年の四月から始めて、これで88ヶ所を全部回った。この後、八月には、高野山にお礼参りをすることにしている。結願のお祝いに昼食には赤飯が出た。四国八十八箇所の巡礼を終えた証明書である「結願状」を記念に頂くことにした。料金は二千円。立派な賞状で、家に帰ったら額に入れて、壁にかけておくことにする。
帰路は岡山発18時14分の「ひかり577号」に乗車予定だったが、大窪寺から岡山に向かうバスの中で、添乗員から山口県に降った豪雨のため、広島から先の山陽新幹線が不通になっていることを知らされた。詳しいことは分からないということだった。
瀬戸大橋の途中にある与島の「道の駅」で20分の休憩。橋を車で渡るのは初めてである。こういう所から瀬戸大橋を眺めると、改めてそのスケールの大きさを実感する。「道の駅」の店頭には、この地方の土産が豊富にあるが、買って、発送する時間の余裕はなかった。
岡山駅に着いたのは四時過ぎ。今日中に新幹線が復旧する見込みはないらしい。タクシーに分乗して、宿泊先のホテルに向かう。タクシー料金は、ツアーを実施した阪急交通社が負担するそうだ。ただし、翌朝、ホテルから岡山駅まではバスで行き、バス料金は利用者負担となった。
22日朝の新幹線は正常に動いていた。岡山8時42分発の「ひかりレールスター」博多行きに乗車できた。添乗員が、指定席を確保してくれたお陰で座れたが、座席指定車に空席はなく満員だった。自由席も満員で、立っている乗客もいるらしい。途中宅地や田圃が赤褐色の土砂で覆われている集落が車窓から見えた。防府市の土石流の一部かもしれない。山口県は曇り空で、今日の日食観測は期待できないようだ。
今回は、大雨による自然災害で、新幹線が不通になり、予定外の宿泊を余儀なくされた。添乗員の方は、その対応に大変だったと思う。お陰で、翌朝の新幹線で無事帰ることが出来た。