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浜原駅 三瓶山が遠くに見える
浜原駅で、運転士が初めて「少し停車します」といった。時刻表の停車時間は一分となっているが、もう少し停車していたような気がする。江川は浜原、粕淵と大きく蛇行し、流れの方向が180度変わる。
この辺りの地図を眺めていたとき、梅原猛著「水底の歌」の中で、確かこのような地形図を見たことを思い出し、もう一度本を取り出してみた。そして、斉藤茂吉が、柿本人麻呂終焉の地を粕淵から数キロ先の鴨山としたことを知った。斉藤茂吉は鴨山の近くの湯抱温泉に逗留したこともあり、茂吉の歌碑や記念館があるらしい。鄙びた湯抱温泉に泊まってみたいが、今回は旅館に歓迎されないであろう一人旅なので断念して、紅葉の季節に再度訪れることにした。
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定刻の12時12分より少し遅れて、石見川本駅に着いた。今度の江津行きは乗ってきたディーゼルカーが13時51分に発車する。
駅近くの通りを少し歩いてみた。発車まで、1時間半くらい時間の余裕があるが、遠い所まで歩いて行く気はない。駅近くで目に付いた食堂に入り、カツ丼を注文した。テレビ番組がちょうどNHKの「生活笑百科」だったので、テレビの前の席に座った。しかし、客の話し声で音声がよく聞こえない。気づいた店のおばさんがテレビの音量を少し大きくしてくれた。町の通りを歩く人の姿は殆ど見かけないのに、店には結構客が入っている。出された650円の赤だし付きのカツ丼は美味しく、量もたっぷりあった。
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店を出て、再び駅近くの通りを歩いてみた。「三瓶山」「石見銀山」などの道路標識を見ると、山陰の町に来たなという感じがする。
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駅に戻り、構内を通り抜けて、川の堤防に上がってみることにした。静かな駅の構内には、ベンチに女子高生が座っているだけで、動くものはどこにも見えない。土曜の昼時で、駅前の道路を走る車の数も少ないようだ。耳の感度が低下しているせいか、車の音も聞こえてこない。音のない世界にいるような気がした。
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堤防を少し遡って、小さな支流が江川に流れ込む所まで行ってみた。対岸の作業所も土曜で休みのようである。