引き続き、雑誌『Pen』から。
KEIGO
上海の新鋭は、「中国らしさ」とモダンを融合!
著しい経済成長に伴い、広告業界も躍進を続ける中国。
そんな市場を狙う外資系の広告会社が、世界中から進出。外国企業への規制緩和も追い風となり、市場は益々、活気を帯び始めた。
中国第2の都市・上海には昨年、ナイキをはじめ、クリエイティブな広告の数々を手がける「ワイデン+ケネディ」が参入。商品と企業名を謳っただけの、あまりに直接的な中国の既存の広告とは異なる、斬新な広告スタイルで、大きな話題を集めた。
その広告チームの一員であり、注目の若手との呼び声高いのが、グラフィック・デザイナー、KEIGOだ。
芸術を息づかせるため、紙の上で格闘する。
KEIGOは25歳ながら、これまでフォルクスワーゲンや、P&Gなど、大手クライアントの広告を手がけてきた。美術学校を中退し、広告会社を数社経て現在はフリーという、中国では異端ともいえる存在。その作品は、新しい匂いを感じさせてくれるものばかりだ。
たとえば毛筆の文字や、租界時代を経た上海ならではのシノワズリ(中国趣味)など、中国独自の古いエレメントを、紙の上で相反するモダンな要素とミックスさせるのがKEIGO流。そこに現れるコントラストは、時に強烈ながら、心地よい均衡を保つ。
また、自ら作画したものをパソコンに取り込み、デザインに用いることも得意としている。
いまだ多くのデザイナーがWEB上でデザイン要素を探し、そのまま引用する中国で、彼のその手法は、国内では珍しい。
「僕が好きなのは、野田凪や佐藤可士和の色使いや考え方。北野武の映画も」と話す彼の作画からは、それらと少なからずリンクする、ロマンティシズムや暴力、デカダンスが漂う。
しかし、クライアントあっての広告。自分の好みを紙の上で大いに表現できる場面は少ないのが現状だ。
「日本は理解あるクライアントが多く、素晴らしい。中国では、クライアントはデザイナーを理解せず、コントロールしようとする。だから新しいデザインが生まれない」と嘆く。
クライアントの支持と理解のもと、クリエイティブなチームワークによって、優れた広告が生まれることを、ナイキの仕事で学んだ彼にとって、現在の中国の広告業界は、まだまだ発展途上といわざるを得ない。
しかしながら、本人は広告そのものに絶望してはいない。
「芸術は広告の中にも存在する、と僕は思う。1%の時もあれば、99%の時もある。どちらが優れた広告かって?それはどちらにも可能性がある」
わずか1%でも芸術を息づかせようと、紙の上で格闘する。それは、もがきに近いのかもしれない。
だからこそ、KEIGOの広告は美しい。
◇あなたにぴったりの税理士を無料で御紹介致します
KEIGO
上海の新鋭は、「中国らしさ」とモダンを融合!
著しい経済成長に伴い、広告業界も躍進を続ける中国。
そんな市場を狙う外資系の広告会社が、世界中から進出。外国企業への規制緩和も追い風となり、市場は益々、活気を帯び始めた。
中国第2の都市・上海には昨年、ナイキをはじめ、クリエイティブな広告の数々を手がける「ワイデン+ケネディ」が参入。商品と企業名を謳っただけの、あまりに直接的な中国の既存の広告とは異なる、斬新な広告スタイルで、大きな話題を集めた。
その広告チームの一員であり、注目の若手との呼び声高いのが、グラフィック・デザイナー、KEIGOだ。
芸術を息づかせるため、紙の上で格闘する。
KEIGOは25歳ながら、これまでフォルクスワーゲンや、P&Gなど、大手クライアントの広告を手がけてきた。美術学校を中退し、広告会社を数社経て現在はフリーという、中国では異端ともいえる存在。その作品は、新しい匂いを感じさせてくれるものばかりだ。
たとえば毛筆の文字や、租界時代を経た上海ならではのシノワズリ(中国趣味)など、中国独自の古いエレメントを、紙の上で相反するモダンな要素とミックスさせるのがKEIGO流。そこに現れるコントラストは、時に強烈ながら、心地よい均衡を保つ。
また、自ら作画したものをパソコンに取り込み、デザインに用いることも得意としている。
いまだ多くのデザイナーがWEB上でデザイン要素を探し、そのまま引用する中国で、彼のその手法は、国内では珍しい。
「僕が好きなのは、野田凪や佐藤可士和の色使いや考え方。北野武の映画も」と話す彼の作画からは、それらと少なからずリンクする、ロマンティシズムや暴力、デカダンスが漂う。
しかし、クライアントあっての広告。自分の好みを紙の上で大いに表現できる場面は少ないのが現状だ。
「日本は理解あるクライアントが多く、素晴らしい。中国では、クライアントはデザイナーを理解せず、コントロールしようとする。だから新しいデザインが生まれない」と嘆く。
クライアントの支持と理解のもと、クリエイティブなチームワークによって、優れた広告が生まれることを、ナイキの仕事で学んだ彼にとって、現在の中国の広告業界は、まだまだ発展途上といわざるを得ない。
しかしながら、本人は広告そのものに絶望してはいない。
「芸術は広告の中にも存在する、と僕は思う。1%の時もあれば、99%の時もある。どちらが優れた広告かって?それはどちらにも可能性がある」
わずか1%でも芸術を息づかせようと、紙の上で格闘する。それは、もがきに近いのかもしれない。
だからこそ、KEIGOの広告は美しい。
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