地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

航海用海図(「海岸図」と「港泊図」)

2009-10-02 12:14:32 | Weblog
航海用海図(「海岸図」と「港泊図」)


航海用海図の中の縮尺1:300,000~1,000,000の地図を、「航海図」といっています。

航海図では一番縮尺の小さい、大観図です。
航海中に陸地が見えてきたとき、先ずこの地図から自分の船の位置を特定し、目的地(港)への航路を定めます。

港に近づくに従い、海岸図(縮尺1:50,000~300,000)、更には港泊図(縮尺1:3,000~50,000)を使います。(上の図)

それらには、航海安全に必要不可欠な、沿岸の地形や、水深、浅瀬、灯台、潮流などが図示されています。
確か、以前の海図には、船から見える陸地の景色がスケッチで描かれていたように記憶しています。いずれ近いうちにそうした海図を示します。

また、最近では、グローバル化社会に対応して、英語版の海図も発行されつつあります。少し遅いのではとさえ感じますが。

「航泊図」の記号には
・ 海上から良く見える目標物として
航行用の灯、高い煙突、鉄塔、原油貯蔵のタンク、顕著な建物、島、山の地形・・・
・ 海底地形としては
水深(0.1m単位)、底質(泥、砂・・・投錨のために必要)、沈船、海底電線や管、岩礁、投錨禁止区域(養魚場など)・・・
・ 定められた航路
港の法律による決まられた航路、船を誘導するための浮標,立標、潮流、渦巻きの良く発生するところ、検疫のための投錨地区、磁針方位コンパス(偏差西に6度50分)・・・

などなどが、こと細かに記されています。

IT時代ですから、電子海図を、しかも立体的に見ることが出来、実際の航海に使われているようですが、法律は海図(紙地図)を備えることを義務付けています。
それは、若し万一機器が故障した場合や、ごく最近の沈船などの海底情報がデータに反映されていなかった場合などに対応するためです。

また、そのために海図には必ず海図を補正するために、「水路図誌」が配布されるようになっています。

このことは、ナビゲーションに頼った車の運転も同様ですが・・・