地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

TO図

2009-03-20 22:37:06 | Weblog
中世の世界地図

4世紀から14世紀の1000年間を中世期といいますが、西ローマ帝国滅亡(476年)後、キリスト教の教義が席巻した時代で、全ては聖書に記された世界観によっていました。

「東が上を向き、エデンの園=エルサレムを中心に置き、その外は怪獣がうごめいている」といったような考えです。

中世の地図の最も一般的な形は、円盤ないしは車輪のような円形であり、
聖書にある「円形の台地」を忠実に辿ったものです。
いわゆる上に示した「TO図」です。

「神は地球を丸く作り、天空の真ん中に置かれた」。
地球球体説も排斥され、「世界は平たい円盤状をなしており、その周りを海が囲み、・・・」
エルサレムが「エデンの園」として地図の中心に位置していた。

陸地全体の周りを大海、すなわち「O」が囲んでいる。「O」の内側の大陸は「T」字型の水部によって三つに分かれていて、かつ、東が上になっている。

具体的には、アジアが上半分を占め、ナイル川とドン川が真横に走って、アフリカとヨーロッパと隔てている。
そして、地中海が縦に走って、ヨーロッパとアフリカを隔てています。

こうした考えの下で、地図は装飾的になり、彩色され、羊皮紙に描かれて教会に飾られています。

その代表的なものが、現在もイギリスのヘレンホード大聖堂に飾られている、1,3m*1.6mの地図ですが、写真画像が明確でないのと、あまりにも世界地図としての価値がないので省略しました。