古墓
道路脇に木々の密集した一画があった。いつからあるのか、なぜそこだけ残っているのか、誰も知るものはなかった。
祠も石碑もないため祀られた土地ではないと判断した役所は道路拡張の施工を建設会社に依頼した。
作業員たちが木を伐採して土をほじくり返す。
ショベルの先に硬いものが触れ、土中から古い墓が六基見つかった。
その際、作業員の中に黒い煙が立ち上ったのを見たという者が数名いた。
数日後、その者たちも含めた作業員全員が原因不明の高熱を出し、わけのわからないうわ言を言い続けた。
建設会社の社長はすぐさま会社が氏子である神社に相談し、除霊、浄霊を行い、作業員たちを救った。
その後、墓をきちんと祀ったその土地は忌み地として残されることが決定する。
無事治まったかのように誰もが思った。
だが、長い間そこに立っていた十数本の木々が製材され売りに出されていることは、騒ぎに紛れて誰一人気付いていない。
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