現在、当館では三坂道路開通記念として「完結、井部コレクション」展を開催していますが、これにあわせ、明治期に着工した現在の国道33号の工事計画書等をまとめた資料「要用雑記」3冊を公開しています。本邦初公開となります。
井部栄範氏といえば今日の久万林業の基礎を作った人物として知られていますが、林業だけではなく、久万地方の行政や産業全般において発展のため尽力した人でした。その井部氏が手がけた事業の一つに道路建設があります。
これらの資料には行政機関への申請書の控えや建造物設計書のほか、井部氏の手記も綴じられており、そこには久万山で林業を興した理由として、道路工事は多額の費用がかかり難しいが、久万地方で産業を興し、道路の必要性を高めることで地元のみならず他からも要望が集まり開通が可能になるからであると記されています。
三坂道路開通の祝賀ムードの中、100年以上前に地域の将来を見据え、行動した先人の気概に触れていただく機会になればと思い、今回の展示となりました。
久万高原にお越しの際はぜひお立ち寄りください。
資料は「完結、井部コレクション」展最終日(6月3日(日))まで展示しております。