2月22日に行われる愛媛白バイ事件・高松高裁事故現場検証に関連した資料を紹介します。
一回目の今日は、裁判所に現場検証を求めた山本さんの意見書と、現場検証に反対する愛媛県警や国の意見書です。やや言葉がわかりにくいところや、個人名に関してはある程度の配慮をしております。例 控訴人運転者車両=大型スクーター
平成22年(ネ)第216号
控訴人 山本
被控訴人 愛媛県 外2名
検証方法に関する意見書
2010(平成22)年11月30日
松山地方裁判所 御中
控訴人訴訟代理人弁護士 水 口 晃
検証申出書の証明すべき事実に記載したとおり,本件事故の交差点の形状が変則的であることを検証するが,その形状から,事故当事者である控訴人の運転するスクーターと被控訴人兵頭の運転する白バイが行った行動が明らかになる。そこで,検証の方法として,次のことをするべきである。
1 道路や交差点の形状を検証するが,その際に,俯瞰できる位置からも確認すれば,通行する自動車等の動きが分かる。控訴人が提出しているCDの撮影場所が3階建てのマンションの屋上であるから,その屋上からも確認するべきである。
2 山西町方面から南へ進行してきた車が本件交差点を右折する場合において,対向車が自車の右側(西側)を通過できる間隔を開けて停止したときの位置(右折するために,道路中央へ寄れないこと)を確認する。
3 乙3号証の実況見分調書において,控訴人が指示する「ワンボックス車」を同調書の現場見取り図のAの位置に配置し,その状況において,
① 控訴人が停止した地点から,前方の視認状況
② 白バイが左方道路を確認した地点ウ,最初に相手を発見した地点エ(乙3号証)から,前方の視認状況
③ 白バイがワンボックス車の横(西側)を通過する場合の走行位置(道路のどの位置を通るか)を確認する。
4 第3項の状況から,「ワンボックス車」を除き,スクーターだけを配置し、その状況において,白バイがスクーターの横(西側)を通過する場合の走行位置(道路のどの位置を通るか,白バイが道路の左端を通過すれば,スクーターと衝突しないこと)を確認する。
5 乙5号証の2の愛媛県警の鑑定書によれば,白バイの速度が時速57kmになっているので,白バイが時速57kmで本件交差点を通過する状況(速度が速くなると,道路の左端側へ寄って通過できないこと)を確認する。
以上
次に上記意見書に対する被控訴人(県警・国等)の反対意見
平成22年(ネ)第216号 損害賠償請求控訴事件
控訴人 山本
被控訴人 国ほか2名
検証申出等に対する意見書 平成22年12月9日
高松高等裁判所第2部A2係 御中
被控訴人国指定代理人
略
被控訴人国、,本件検証申出(控訴人の平成22年7月1日付け検証申出書)に係る検証を行う必要性がなく、同申出を却下すべきことを改めて述べるほか、控訴人の平成22年11月30日付け「検証方法に関する意見書」(以下「検証意見」という。)に対する意見を述べる。
なお、用語例等については,本書面で新たに定義するもののほか,原判決又は従前の例による。
1 本件検証申出及び控訴人の検証意見に対する意見本件検証申出は去口下されるべきである。
2 理由
(1) 控訴人は、本件検証申出の「検証によつて明らかにしようとする事項」記載に係る各事項を検証により証明しようとするが、被控訴人国の平成22年8月26日付け第1準備書面第2(12ページ以下)で述べたとおり,これらの事項を証明するために検証を行う必要性はない。
また、検証意見において検証を行う場合における検証方法について意見を述べるが、そこで示された内容を検討しても、書証提出等ほかの代替手段が十分に考えられる上,この検証方法により証明しようとする事項は本件訴訟の争点と直接関係がないものが多く,検証の必要性を基礎づけるものとは認められない。
(2) 検証が証拠調べとして行われる以上は,「その結果が争点に対する判断に生かせるものでなければならず」、,「単なるイベントと化さないように,その採否・実施は慎重にすべきである」(門口正人編・民事証拠法体系第5巻86ページ)と指摘されているとおり、本件においても,検証を行うかどうかの判断は慎重にされるべきである。
(3) ア 控訴人は,検証意見において「本件事故の交差点の形状が変則的であることを検証する」とするが、本件事故現場の状況を明らかにしたいのであれば、実況見分調書等の図面のほか、その状況,あるいは車両が進行する状況等を撮影した写真や、ビデオテープを証拠提出するなどの代替手段が十分に考えられるところであり、裁判所が本件事故現場を直接見分する必要はない。
控訴人は,本件事故現場の状況を検証するために,「控訴人が提出しているCDの撮影場所が3階建てのマンションの屋上であるから,その屋上からも確認するべきである。」とするが(検証意見1項),控訴人が提出した「CD」(甲40, 41号証)により代替手段が取られたともいい得る。
イ 控訴人は,本件交差点を北から西へ右折する車両が、自車の右側を対向車が通過することができる程度の間隔を空けて停止した場合における停止位置を確認するとするが(検証意見2項)、本件事故の際、大型スク―ターが本件市道(本件交差点を南北に交差する道路)の中央寄りに位置していたことは、本件事故現場のタイヤ痕、擦過痕等の状況から明らかであり、目撃者Aもこの点に関しては一貫して供述等している。
控訴人は,本件事故時に大型スクーターが、本件市道の東側(進行方向の左側)に位置していたことを立証しようとするものと思われるが,、本件交差点を右折する一般車両の停止位置等を明らかにしても、大型スクーター
の右折方法が明らかにはならない。
ウ 控訴人は,平成16年11月25日付け実況見分調書(乙3号証)において、控訴人が指示説明する「ワンボックス車」を同調書の現場見取図のA地点に配置の大型スクーターが停止していたとする地点からの視認状況等を確認するとするが(検証意見3項)、本件訴訟においては、上記実況見分における控訴人の指示説明の信用性に争いがある。
控訴人の指示説明が信用できることを当然の前提として,検証意見3項に記載する事項を確認したとしても,原判決が認定したとおり,本件事故が控訴人の右折進行中に発生したのであれば,その前提が失われるのであ
るから,検証結果を争点に対する判断に活かすこととはならない。
工 控訴人は,、記実況見分調書における控訴人指示説明に係る大型スクーターの停上位置に自動二輪車(スクーター)を配置し、同車両の(西側)を自動二輪車(自バイ)を通過させることで、「白バイが道路の左端を通
過すれば,スクーターと衝突しないこと」を確認する(検証意見4項)とするが、本件事故時に大型スクーターが停止していたことを前提としているように思われる。
上記ウのとおり、本件事故は右折進行中の事故と考えられるから、上記のような状況を確認する必要は認め難い。そもそも,控訴人が提案する上記検証方法は、仮定の状況を再現しようとするものにすぎず,、およそ必要
性は認められない。
オ 控訴人は、自動二輪車(白バイ)を時速57キロメートルで走行させた場合における本件交差点の通過状況を確認するとし、これにより「速度が速くなると、道路の左端側へ寄って通過できないこと」が明らかになるとするが(検証意見5項),先行右折車両が存在していたこと、本件事故時に同車両又は大型スクーターが本件交差点で停止していたことが認められることを前提としているものと思われることに加えて、
本件事故現場に残されているタイヤ痕等によれば、白バイが衝突前に左端側を走行していたとは認められず、前記エと同様、仮定の状況を再現しようとするものであって不当である。
(4)上記のとおり、検証意見に示された検証の方法は、いずれもその必要性がないというべきところ、その実施に当たっては,道路上に車両を配置した上で、各当事者の視認状況等を確認するというのであるから、各当事者の指示説明内容を含めて記録化し、その間の関係者の安全を確保するためには、本件事故現場周辺の交通を長時間にわたつて遮断することが必要であり、周辺に及ぼす影響を考えると,検証方法としても相当でないといわぎるを得ない。
(5)したがって、控訴人提出の検証意見を含めて検討すると、本件検証申出には必要性がなく、実施方法としても不相当であることがより明瞭となったといえるから、同申出は却下されるべきである。
以上。
これに対する被控訴人=山本さんの反論は次の記事へ
さてさて、どちらの意見がまっとうであるかは皆さんのご判断にお任せします。
2月22日の現場検証はどのような内容になるのか?
当日はマスコミも来るようです。 場所・時間は→
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