第1 初めに
白鳥決定(昭和50年5月20日刑集29巻5号177頁)により、再審事件についても「疑がわしきは被告人の利益に」の原則の適用及び証拠の総合評価が確立された。以下、最終意見書において、白鳥決定後の再審審理の方法を参考に、意見書を提出する。
第2、旧証拠のみによっても、原審有罪判決が支えられておらず本来無罪判決が相当であった点
1、過失犯の構成要件を欠如した欠陥起訴状及び欠陥判決の罪となるべき事実
⑴ 駐車場から国道に出る運転者にとって目視できる距離に相手車が居なかったとして、無罪となった神戸地裁尼崎支部の2013年10月28日の判決
『 安全確認「不可能」=運転手に無罪、5人死傷事故―神戸地裁支部
(時事通信 10月28日(月)16時55分配信)
兵庫県西宮市で5人が死傷した交通事故で自動車運転過失致死罪に問われた男性(44)の判決が28日、神戸地裁尼崎支部であった。飯畑正一郎裁判長は「車両の接近に気付くことは不可能で、過失は認められない」と述べ、無罪(求刑禁錮1年4月)を言い渡した。
事故は2010年12月に発生。駐車場から国道に出ようと左折した男性の車が、右側から来た車と接触。さらに、その車が対向車2台に衝突し1人が死亡、4人が重軽傷を負った。飯畑裁判長は、右側から来た車が制限速度を約20キロ超過しており、男性が一時停止地点で右方向を確認しても目視できる距離になかったと認定。「男性に安全確認を求めると、永久に発進できなくなる」と述べ、「注意義務に反したとは言えない」と判断した。
⑵ 本件起訴状及び罪となるべき事実は、片岡晴彦が国道に出る際、白バイの位置を明示しておらず、過失犯として、欠陥起訴状であり、欠陥罪となるべき事実である。この点については、再審請求書別紙1の13頁~21頁にわたって、起訴の被疑事実及び罪となるべき事実の例まで挙げて詳論している。
⑶ 罪となるべき事実は、過失犯の構成要件を充足していないもので、無罪である。
2、≪同僚隊員≫の目撃証言では、罪となるべき事実の本件衝突事故は発生していないこと。
⑴ ≪同僚隊員≫の証言の矛盾点等については、再審請求書別紙8の≪同僚隊員≫証言の5,6頁で詳述して る。そもそも、中央分離帯の植樹、バスの高さのため目撃不可能であること、衝突を感じながら警笛等を鳴らしていないこと、救護に行くに当たっての停車位置が不合理であることなど、目撃と矛盾することが多々ある。
⑵ ≪同僚隊員≫証言は、バスは時速10キロで③~④の6.2メートルを進行する。これは、計算すると2.2秒である。白バイは時速60キロで㋐―㋑の55メートルを進行する。計算すると3.29秒かかる。そうすると、衝突点は、検察官、原判決のいう④では無く、片岡の主張する⑤の地点(バスは止まっている)と言うことになる(再審請求書別紙8の4頁)。原判決の事実誤認は明らかであり、片岡の過失としての④の本件衝突は無い。⑤の地点の事故があるのみである。
3、≪同僚隊員≫証言なら、被害者隊員は衝突を回避出来ていること。
≪同僚隊員≫証言にいうように、吉岡が55メートル先でバスを発見できていれば、白バイの運転手として、当然に衝突を回避できている。まして、ノーブレーキで衝突するということなど、あり得ない。
本件は、被害者隊員のよそ見運転等の特殊事情によるもので、被害者隊員の過失以外の何ものでもないのである。
4、不合理極まりなく、有罪の証拠となり得ない本件バスのスリップ痕
⑴ 長さ
時速10キロ以下で走っているバスが急ブレーキをかけても、左右1メートル~1.2メートルといった長いブレーキ痕はつかない。せいぜい30センチメートル以下である。
⑵⑶ 後輪にスリップ痕が無いこと、タイヤ痕の無いスリップ痕は、あり得ないこと
タイヤ痕(タイヤのすじ、溝)の無いスリップ痕、後輪にスリップ痕が無いことがあり得ないこと等については、再審請求書別紙6のスリップ痕2で詳述している通りである。
⑷ ハの字型
ハの字型、オタマジャクシのスリップ痕は、人為的に作ったスリップ痕の根拠である
以下 LM767の補足
●2-(2) ③~④の6.2m
この距離はスクールバスが進入直前に一旦停止した位置③から白バイと衝突した地点④の間の距離(土佐署見分調書より)
● 同 ㋐~㋑の55m
この距離は、証言をした同僚隊員がはっきりと白バイを目撃した地点㋐からバスと衝突した地点㋑の距離
参考ブログ「なぜ交通事故で冤罪やねつ造が・・」のカテゴリー「同僚の証言は事実か」
この他 2010年10月に提出された再審請求書を参考にしないと弁護側の主張が詳しく伝わらないと思うが、デジタル化されたデーターがないので全文掲載は時間的に厳しい。 参考リンクでご容赦ください。
●再審請求書別紙8の≪同僚隊員≫証言の5,6頁
●(再審請求書別紙8の4頁)。
参考ブログ「なぜ交通事故で冤罪やねつ造が・・」のカテゴリー「スリップ痕の真実」
今宵これにてご勘弁。
次回は(5) 「無罪の有力証拠になる高知県警科捜研算定書を逆に有罪の証拠としていること」です
ここまで最終意見書の5Pを転載。あと45P・・・・・