セイショウ坊のブログ

埼玉県飯能(はんのう)市 真言宗智山派・円泉寺住職です。
円泉寺ホームページにもブログがございます。

飛鳥時代の山王廃寺跡とユネスコ世界の記憶・山ノ上碑

2021-09-04 07:34:13 | いろいろ
山王廃寺跡(放光寺)

群馬県前橋市総社町の山王廃寺跡です。群馬県山王廃寺跡PDFlink
山王廃寺跡ウィキペディアlink
今までに二度ほど訪れています。



上野三碑の内、山上碑を残した放光寺の僧侶・長利がいたところです。
発掘時に放光寺の文字がある瓦が出土しました。
飛鳥時代の遺跡ですから、東国では最も古い時代の寺院であることが分かります。

車は神社の前を西に行った駐輪場に駐めさせていただきました。
駐車場はありません。






東西80メートル、奈良県斑鳩の法起寺と共通した配置なのだそうです。

日枝神社には、遺構の石製鴟尾(しび)や心礎などが残されていました。





塔心礎



山王神社には、いろいろな石仏が祀られています。




おそらく養蚕神と思います。
手に持つ枝の葉が、緑色に塗られていました。



向かって左には霊符神、右は秋葉権現の文字が彫られています。
他にも大日如来、不動明王、庚申、日枝神社に因み猿の石像などが祀られていました。


知られていませんが、鴟尾は近在の民家にもあります。





民家ですから、場所は明らかにしませんが、こちらの方が良い姿をしています。
近在の方に案内していただき、ここにもあることを知りました。

今はコロナのため閉館していますが、前橋市総社歴史資料館には、山王廃寺の出土品などが展示されています。
前橋市総社歴史資料館 link


山ノ上碑

放光寺にいた長利が、天武天皇10年(681年)に母の黒売刀自(くろめとじ)のために墓誌を建てました。
その墓碑が山ノ上碑です。
山ノ上碑ウィキペディアlink





『辛巳歳集月[かのとみ(しんし)としじゅうがつ]三日に記す。佐野三家[さののみやけ]を定め賜える健守命[たけもりのみこと]の孫の黒売刀自[くろめとじ]、此れ新川臣[にいかわのおみ]の児の斯多々弥足尼[したたみのすくね]の孫の大児臣[おおごのおみ]に娶[とつ]ぎて生める児の長利僧[ちょうりのほうし]が、母の為に記し定むる文也。 放光寺[ほうこうじ]僧』(上野三碑ホームページより)

漢字を使用し、日本語の語順出書かれた最古の石碑です。




この古墳が長利の父と母・黒売刀自の墓とされているようです。

三古碑の他の二ヵ所も見学に行きました。上野三碑link