セイショウ坊のブログ

埼玉県飯能(はんのう)市 真言宗智山派・円泉寺住職です。
円泉寺ホームページにもブログがございます。

供養と地蔵菩薩

2019-05-11 17:49:47 | 法要
以前はほとんど無かったのですが、檀家さん永代供養の水子さんやお子さんの葬儀・納骨供養が時折あります。
特につらそうなお顔の奥様の姿は、拝む側としての私としても辛いものです。

御本尊がお不動様ですので、このような時お地蔵様に守られ御供養できるようお招きしました。
お地蔵様や観音様ほど、なじみの深い仏様はいないでしょう。

地蔵菩薩は三十五日忌担当のご本尊様でもあります。



水子さんやお子様のお骨をお位牌の後ろにまつり、お地蔵様のお話をしたあと葬儀、御供養をおこないます。
宗旨宗派により、立場も違いますので、内容は書きませんが、ただ拝むだけでなく、励ますのでもなく、自然とお地蔵様に手を会わせていただくことにより、穏やかな気持ちになっていただけたらと思っています。



以前水子のたたりなどと宣伝し、水子を供養しないと災いが起こると、騒ぎ立てた人たちがいました。
当寺にも水子供養の施設を作らないかと、パンフレットを持ってきた業者もいます。暗に儲かりますよと言っていました。
今は水子産業も下火になりました。良いことです。

水子や子供は生まれ変わると言われています。お地蔵様にいつどこに生まれ変わっても、元気に育ってくださいと祈ることが大事なことです。

御供養することにより、心のやすらぎを得ることが出来ることは、間違いないとは思いますが。

成仏ではなく、良いところに生まれ変わり、元気に育って欲しいと願うための御供養だと思っています。
たとえ流産や中絶した人でも、気になる人は各地のお寺のお地蔵様にお花お線香を手向けるだけでも良いと思っています。

かつて水子供養で多くの方が行ったお寺が、一昨年言ったときは平日だからかもしれませんが閑散としていました。
ご近所の方で、そのお寺で分けていただいたお地蔵様をもてあましていました。
お預かりして、後日脱霊の儀式を行うことにしましたが、今でもお寺に祀ってあります。
お地蔵様をゴミに出したり、業者に処分してもらうのも躊躇しますよね。

水子の祟りなど、あり得ません。
水子供養の宣伝を禁止するよう決議した宗派もありました。当然ですよね。

菩提寺のある方は、菩提寺さんに御供養していただくのが本来だと思います。



昔は災いや病気は悪霊が外から運んでくると思われていました。
村の辻々にお地蔵様が祀られているのは、自分たちの村に悪霊が入り込まないよう、結界の役割をしていました。

お寺の入り口の六地蔵様もお寺の外と境内とは違う世界だという意味があり、祀られています。
ここでもお地蔵様はお寺に檀家さん信者さんに災いが及ばないよう、ご先祖様、亡き人が間違いなく成仏していただけるよう、お力になっているのです。



境内の仏様は、いつも私たちを見守っています。