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超訳百人一首 うた恋。 杉田圭

2010-10-05 14:30:12 | ★さ・た行の作家
超訳百人一首 うた恋い。
杉田 圭
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「超訳」ばやりでしょうか
ニーチェに続き 今度は百人一首の超訳

百人一首をとても読みやすく軽やかな言葉で現代語訳にしてあり
その中のいくつかの歌をマンガ仕立てにしている

例えば有名なこの一首

春過ぎて 夏来にけらし 白たへの 衣ほすてふ 天の香具山
       ↓
『太陽はギラギラ まぶしい山の緑をバックに 洗濯物はキラキラ 夏が来た!』

といった感じ

競技かるたマンガ「ちはやふる」も流行ってることだし 百人一首入門編として読むのになかなかわかりやすくていいのではないかな


それにしても この時代の女性は大変だっただろうなと思う

自由に恋することはおろか 外出さえままならない
贈られる文の中からこれはと思う男性を選んで恋をしたところで 女はただ待つばかり

しかも一夫多妻制 浮気や複数の愛人はあたりまえ

会うまでは頻繁に届けられた恋文も 口説き落として思いを遂げた途端にぱたりと減り 男の足も次第に遠のいていく
それでもただひとり 相手の訪問を待つ中
聞きたくもない本妻との仲や新しい愛人との仲の噂話ばかりが耳に入る
不安や焦りやいらだちや いろんな思いが浮かんでは消える毎日

会いたいけど会えないから来ないのか 会えるけど会いたくないから来ないのか…

現代のように メールや携帯電話など相手の気持ちを確認するすべもないし
仕事や趣味で気を紛らわすこともできない

つのるばかりの想い
詠うことしかできない不自由さの中で そんなたくさんの想いを込められた31文字

気持ちを揺さぶられないわけがない 心に残らないわけがない
人の想いなんて いつの時代もそう変わらないものなんだなと思う


玉の緒よ たえなばたえね ながらへば 忍ぶることの よわりもぞする

超訳:『この恋を忍ぶことにいつか耐えられなくなるくらいなら…私は今消えてもかまわない』

式子内親王のこの歌に対する藤原定家のやさしい返歌がいい

思ふこと 空しき夢の なか空に たゆともたゆな つらき玉の緒


贈られた式子は 心穏やかにひとり待つことができたのかなぁ




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