夜の光坂木 司新潮社このアイテムの詳細を見る |
特に天文が好きというわけではなく なんとなく天文部に集まった4人の高校生の物語
彼らは平穏に学校生活を送っているように見えて 実は密かに戦っている
家族や周囲の人たちの押し付ける価値観や恵まれない環境
それぞれがいろいろなものと日々向き合っている
つらいことや心が折れちゃいそうになることも ほんの少し共感しあえる仲間がいると よしまたがんばろうと思える
この4人の距離感がとてもいい
この頃って いつでもどこでも一緒みたいな仲良しごっこグループを形成しがちだけど
でも かれらは 無駄につるまない
普段一緒にいなくても 全部を打ち明けなくても お互いを認め合ってて 困ってるときはひょいと手を貸してくれる
こういう友達ってなかなか見つかるもんじゃない 心底羨ましいと思う
『屋上でずっと夜空を見上げていると、たまに自分の方が星に向かって登っていくような感覚になる。それは雪が降った日に空を見上げるのと同じようなものだが、晴れた夜の星空だとより美しい。
空にあるのは星だけではない。飛行機のライトに、遠く離れた人工衛星の光。かすかな瞬きを放つそれらが、星と一緒にふわりと私の魂を持ち上げてくれる。もしかすると、飛べるのかもしれない。そう錯覚させるほどに。
飛びたい。私は夜空を見上げるたびに強く願う。理由はわからない。いや、わかりたくないのかもしれない。ただ言葉にしてしまった途端、それは陳腐でありきたりな何かに変わってしまいそうな気がする。だから私は沈黙する。いつか、それを本当に理解してもらいたい相手に出会うときまで。』
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