あなたのすきな本は何ですか?

桔梗です
訪問ありがとうございます
いろいろな想いを残してくれたお気に入りを紹介しています

ナイチンゲールの沈黙 海堂尊

2009-09-18 12:29:00 | ★か行の作家
ナイチンゲールの沈黙(上) (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)
海堂 尊
宝島社

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「チームバチスタの栄光」と主な登場人物は同じ
続編ということですが でも雰囲気は何だかちょっと違ったような…
ミステリーというよりはエンターテイメント
ただ 前作の方がテーマが面白くてスピード感も上だったかなぁと思う


網膜芽腫という病気のため眼球摘出の手術を控える少年
病院に見舞いにもこない彼の父親が殺される
犯人も殺害方法も読者には提示されているけど 不定愁訴外来医師・田口とロジックモンスター・白鳥のコンビに新たな人物も加わり 謎を解き犯人を理論で追い詰めていく


今回軸になるのは天才的に歌のうまい小児科のナース・小夜 
上手いだけではなく聴いてる人の心を揺さぶる力がある歌
彼女は歌とともに自分の思い描いた画像を相手の脳に届けることができる

『世の中には、感覚の閾値が低くて五感が混沌とするタイプの人間がいるんだそうだ。例えば味覚と聴覚が入り混じる。あるいは言語に色がつくのを感じる、とか。』

それは共感覚といって “音に色が見える”ってのもあるそうで
歌と画像を混線させる小夜の力は この「共感覚」に近いとのこと


そんな話とか 救急医療が抱える問題点とか 医者の志の話とか
書き手がお医者さんならではって感じの話題が盛り込んであって
その辺はさすがだと思う
おもしろい医療エンターテイメント小説

第3弾「ジェネラル・ルージュの凱旋」も楽しみ

bk1 書評ポータル

2009-09-18 00:09:38 | 番外編
少し前からこのブログに書いているレビューを再編集して
オンライン書店・bk1さんの書評ポータルに投稿しています

ひと月ほど前に一度「今週のオススメ書評」に選んでいただいたのですが
先週は「ジャンル担当者のオススメ書評」で紹介していただきました

明日にはまた更新されて変わってしまうので
証拠にというか記念にというか(笑)ここに貼り付けておこうかと思いまして…

紹介した本は 三崎亜記さん「鼓笛隊の襲来」


以下『bk1書評ポータル(9/11更新)』より


“桔梗 ”さんの書評をご紹介します

「忽然と目の前から消えてしまった恋人への想いと期待を断ち切れずにいる主人公が知恵の輪が解けるのと同時に 自分の気持ちにも決着をつける
 『同じ夜空を見上げて』は ふんわりと温かい気持ちになれる」。
何とも魅惑的な物語。日本文学は伝統的に、こうしたデリケートな感情の機微を描くのに長けていますよね。 “桔梗 ”さん、ご紹介ありがとうございました。


オンライン書店ビーケーワン
http://www.bk1.jp/

ジャンル担当者のオススメ書評
http://www.bk1.jp/contents/shohyou/genre

きみに読む物語 ニコラス・スパークス

2009-09-18 00:04:24 | ★な・は行の作家
きみに読む物語 (ソフトバンク文庫)
ニコラス・スパークス
ソフトバンククリエイティブ

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10代の夏 恋に落ちたノアとアリーは幸せなひとときを過ごす
生まれが違うからふさわしくないと ひと夏で引き裂かれてしまったふたり
それぞれ違う人生を歩きながら過ごした十数年間。。。
他の男性と婚約したアリーはノアに会いに行く
今さら再会してどうなるわけでもなく 自分自身もどうしたいのかよくわからないまま ただずっと心にしまい続けていた言葉を伝えるために
伝えずに後悔することだけはしたくなかったアリー
幾度となく飲み込んで伝えられなかった言葉 一回くらい言ってみたくなるだろな


ノアがとても魅力的
自らはありふれた男だと評してるけど 詩を愛し 空や森や川を愛し 穏やかに自由に暮らすノアは なかなか得がたい稀有な男性
一途にアリーへの愛を貫き通す姿は感動的

アリーもまた 美しいだけではなく 知性や才能 強い精神力や情熱をもち
自分ではなく人に力を与えるような そんな素敵な女性


晩年
ノアは記憶を失くしてしまうアリーに 毎日自分達の恋の物語を話して聞かせる
夜にはまたすべて忘れてしまうアリー
それでも
毎日毎日 ノアに会うたびに何度でもまたそこから恋が始まるというのは なんだかいいなぁと思う


それから 
よく手を繋いだり手を握りしめたりするふたりの姿がすごく印象的
手を繋ぐ瞬間のあの独特のふわりとした温かさが心地よい

夜の光 坂木司

2009-09-18 00:00:24 | ★さ・た行の作家
夜の光
坂木 司
新潮社

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特に天文が好きというわけではなく なんとなく天文部に集まった4人の高校生の物語

彼らは平穏に学校生活を送っているように見えて 実は密かに戦っている 
家族や周囲の人たちの押し付ける価値観や恵まれない環境
それぞれがいろいろなものと日々向き合っている

つらいことや心が折れちゃいそうになることも ほんの少し共感しあえる仲間がいると よしまたがんばろうと思える

この4人の距離感がとてもいい
この頃って いつでもどこでも一緒みたいな仲良しごっこグループを形成しがちだけど
でも かれらは 無駄につるまない
普段一緒にいなくても 全部を打ち明けなくても お互いを認め合ってて 困ってるときはひょいと手を貸してくれる

こういう友達ってなかなか見つかるもんじゃない 心底羨ましいと思う


『屋上でずっと夜空を見上げていると、たまに自分の方が星に向かって登っていくような感覚になる。それは雪が降った日に空を見上げるのと同じようなものだが、晴れた夜の星空だとより美しい。
 空にあるのは星だけではない。飛行機のライトに、遠く離れた人工衛星の光。かすかな瞬きを放つそれらが、星と一緒にふわりと私の魂を持ち上げてくれる。もしかすると、飛べるのかもしれない。そう錯覚させるほどに。
 飛びたい。私は夜空を見上げるたびに強く願う。理由はわからない。いや、わかりたくないのかもしれない。ただ言葉にしてしまった途端、それは陳腐でありきたりな何かに変わってしまいそうな気がする。だから私は沈黙する。いつか、それを本当に理解してもらいたい相手に出会うときまで。』


bk1投稿書評はこちら
http://www.bk1.jp/review/0000478383