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言葉のかけら

エルヴィスのレパートリーを日本人の視点から読み取る訳詞プロジェクト「言葉のかけら」

かけら補足資料「How The Web Was Woven」

2021-03-30 20:00:00 | かけら補足資料

【 thoughts of you fill my head 】
「エルヴィスの歌声が聞ければ、それで充分に幸せなファン」である、わたくしバークレー氏などは、 ファンの多くが疑問に感じるサントラ曲だって幸せに聞けてしまうので、 これまでは歌の内容がどうとか、歌の作者がどうとか、まったく気にしない、ある意味「強情なファン」だったわけですが 、 「言葉のかけら」のような文化的なアプローチに立ち会うとすれば、 少しは文化的に「歌の作者」について関心を持つべきなのかと、
最近気が付いたのです (← 充分に遅い)

今回の「かけら化」対象曲LP「That's The Way It Is」A面3曲目の「How The Web Was Woven (恋のはた織り)」の作者は 「David Most / Clive Westlake」でして、前回の「Twenty Days And Twenty Nights」 の作者が「Weisman/ Westlake」だったので、2曲連続で作曲者が「Clive Westlake」なんてな事実に気付いていたファンは・・・ 正直に言って「エルヴィスのファン」の中には少ない気がします
That's The Way It Is

FTD Writing For The King

さてそんな「Clive Westlake」の証言ですが、エルヴィスが歌った彼の作品4曲はそれぞれ

  How The Web Was Woven(恋のはた織り) → Wilson Pickett
  It's A Matter Of Time(もうすぐ逢えるね) → 想定無し
  It's Diff'rent Now(イッツ・ディファレント・ナウ)→ 言及無し
  Twenty Days And Twenty Nights(20昼夜) → Glen Campbell

向けに書いた曲であると、FTD「Writing For The King」p.253に書かれていました。

Wilson Pickett 向けに想定」って言うならば、もっとソウルフルなアレンジのデモを作っていたのかな?と思ったりもするのですが、現状では資料が無く、なんとも言えません。
で、「Roots Of Elvis」なんてな資料をペラペラとしましたら、「How The Web Was Woven」は「Jackie Lomax」なる歌手(← 「良く知らん」って表現)が1969年に歌い、ジョージ・ハリスンのプロデュースでアップル・レコードから発表されたようです。
YouTube(資料1資料2)で聞いてみると、まあ、ソウルフルとは言えないまでもロックの範疇に入る出来で・・・結局こーゆーものを聞いた後には「自分はエルヴィスのファンで幸せだ」って再確認をするようになっちゃうんですけどね

【 that's where, where I wanna be 】
歌詞を読んでみると「web = (逃れられない)蜘蛛の巣」であることがわかるのですが
邦題は何故か「web = (機織りで作られる)織物」になってしまいました。
これが歌詞を深く認識した上での比喩的な表現だったのか?
それとも単純な間違いだったのかは分かりません。

その昔、バークレー氏は、助けた鶴が奥の部屋で機織りをしているところを
障子の陰から覗いたことがありましたが
蜘蛛が機織りをしているところを見る機会があるとすれば
「カンダタ」ぐらいなものだろうと、旧友の龍之介くんが言ってました。

まあ、そんなボケはともかく、「一旦捕らえられたら逃れられない」で言えば
前年の1969年作品「Suspicious Minds」の続編的な解釈もできますが
今回は「それもまたよし」が強くなっているのが異なる点です。

「機織り」と、大きくミスリードするような邦題を見てしまうと
蜘蛛やアオバエ(blue fly)が出てくる世界から意識を遠ざけてしまうのですが
蜘蛛の巣で、粘り気があって虫を捕獲するのは「縦の糸」であり、
蜘蛛自身が移動する際には粘り気が無い「横の糸」を辿ることなどの無駄知識が働くと
蜘蛛の立場では「縦の糸はあなた 横の糸は私」ということになり
やはり「織りなす布は ~」と、中島みゆきさんに再びミスリートされてしまうのでした


     って、もしかしてミスリードしようとしているのは俺か!


1970年7月15日のリハーサルで、エルヴィスがピアノを弾き終わり、こてっと倒れる姿は、
切りなくボケをかます「かけら補足資料」に対する「予備行動」だったに違いありません



「言葉のかけら」ページ

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