Not doing,but being ~在宅緩和ケアの普及を目指して~

より良い在宅訪問診療、在宅緩和ケアを目指す医師のブログ

皮下輸液

2010-04-28 06:45:26 | 輸液関連
皮下輸液

癌に限らず在宅で終末期を迎えた患者様に輸液をする場合、
皮下輸液という方法があります。方法は知っていましたが
在宅をやるまで自分では行った事がありませんでした。
経験がないので躊躇する医師が多いようですが
実際やってみるとなかなか良かったので報告させて頂きます。

利点は何と言っても
1.血管を捜して何度も針を刺さなくて良い。部位の変更も
1週間に1度程度で済む事が多い。
2.生食/ヘパリンロックが不要
→点滴をシュアプラグの接続部分から外せば良いだけなので
輸液を外しに再び医療者が訪問する必要は殆どない。

この点、在宅ではかなり有利です。

欠点は、
1.直後はかなり浮腫む(御家族には少し大袈裟に説明しないと
びっくりされる場合がある)。腹部から輸液すると大腿や側腹部、
背中のほうまで輸液が溜まってしまう事もある。翌日には殆どが
吸収される。吸収しきらない時は量を調節したり休みを作ると
良い。
2.点滴出来る輸液の種類が限られている。生食やソリタは大丈夫。
3.身体の向き等で吸収が大きく異なる事があり、点滴の時間は
かなりアバウトになる傾向。
4.現実的には500ml程度の輸液が精一杯

下記に具体的な方法を示したサイトを紹介致します。

OPTIM
http://gankanwa.jp/index.html

ここで、医療者向けツール・資料→ダウンロード用PDFと
進み、IV. 緩和ケアのスキルのPDFファイルを参照して下さい。
また、「関連ムービー」でも実際の皮下輸液の方法を動画
で観ることが出来ます。

また、褥瘡のラップ療法(OpWT)で有名な鳥谷部先生のサイト
でも、実際に皮下輸液を行った経験について説明があり、
かなり参考になりました。

最後に私の方がらひとつ提案を。まず、トンボ針は在宅では
外れた時に危ないです。また胸部にトンボ針を使用し、動いた時に
針が肺に刺さり、気胸となったケースを聞いた事があります。
痩せた方が多いので、サーフローの方が無難だと思います。
22G程度で十分です。