窓辺の小太郎

野付半島の渡り鳥や動植物の生き生きした「瞬間の美」を目指します。

若きオスジカ

2019-08-21 18:58:40 | 日記

夕方になると森の中からエゾジカがぼつりぼつりと出てきます。ほとんどがオスです。

10数頭の群れ、3、4頭の小さな群れ。大小様々です。

おばんです。小太郎でごじゃります。

              ◆  若きオスジカ  ◆ 

天敵がいない環境とはいえ、ニホンオオカミやヒグマがたくさんいた頃からまだ150年

ほど、遺伝子に組み込まれた本能はそう簡単には抜けるものではありません。

シギを探しに森の横にある湿地に行ってみると頭に角を生やしたオスたちが移動して

来ていました。私が気づかないうちに見つけ、動きを止め、じっと見つめています。

森にいるときは「キュイッ」と甲高い声を出し、周りの連中に警戒させる声を出しますが、

草原では無声です。

遅れて私が気づくと動きで察知するのか、あわてて走り出します。ある距離感を維持し

ようする本能が働くのです。

下はぬかるんでいるのに滑ることなくホップ、スッテップ、ジャンプ的に走って遠ざかり

ます。そして私を見ることができる距離をおいて止まります。捕食者ではないことは

よく解っているのです。

どんな行動を起こすのか、見極めようとしているのです。銃を持っていれば、違う行動を

取るはずです。カメラは命を狙わない。これだけは分かるようです。

 


キアシシギが鳴いて行く

2019-08-20 23:35:02 | シギ・チドリ

夜中にシギが飛んでいきます。声がして遠ざかって行きます。渡って行くんだなと声を

聴くたびに寂しくなります。ピュィーという鳴き声はキアシシギの声です。

おばんです。小太郎でごじゃります。

           ◆  キアシシギが鳴いて行く  ◆

私が夜、声だけで分かるのがキアシシギの声だけです。夜の8時ころに聴きますが、他の時間帯

でもどんどん渡って行っている様子。声を聴く頻度からどのくらいのシギたちが渡って行く

のか推定できるのではないか、考えたことがありました。

キアシシギ以外の声も聞こえますが、確固たる自信がありません。もっと分かればいいのに

と思いますが、経験値が足らないのでどうしようもありません。

昼間もキアシシギは良く鳴きながら飛んでいきます。その声をしっかり体に染み込ませる

からこそ、夜に聴き分けられるのです。キョウジョシギ、ハマシギ、メダイチドリ、

アオアシシギ、タシギ、チュウシャクシギなどの声も聴き分けられますが、夜中となると

ちょっと自信がないのです。

以前ほど夜中に聴くことが無くなりました。これも気のせいかもしれません。しっかり耳を

澄ますとたくさんの声を聴き分けらるかな。


ときどきプレゼント

2019-08-19 19:20:37 | ワシのいる風景

滅多にないことですが、若いエゾジカが死んでいました。死因は分かりません。死後1-2日

ほどでしょうか。胃の中のガスの発酵状態からの推察です。

おばんです。小太郎でごじゃります。

 

              ◆  ときどきプレゼント  ◆

冬季には年老いたシカが死んでいるところに出会いますが、食糧の豊かな夏季は珍しい。

見つける前にオジロワシが数羽、飛んで行くのを見ていました。彼らが集まってくるには

理由があります。食べ物が転がっているのです。

波ぎわを歩いて行くと1羽また1羽と警戒したオジロワシが飛び去って行きます。いよいよ

近い。逃げずに浜に降りているヤツ。流木に止まってこちらをうかがっているヤツ。まだ5,

6羽はこちらを見ています。

発見。鹿の子模様が綺麗なオスのシカです。角が二股。3歳くらいでしょうか。毛つやは悪く

なく、痩せていません。病気で死んだようには見えません。

もしかしたら海でおぼれてのかもしれません。二日前に低気圧が通過して強風が吹いていました。

前にも見たことがあります。泳ぎ出したのはいいが、引き潮でどんどん沖合に流されていき、

慌てて岸に向かい泳いでくるのを。

集まっていたオジロワシは10数羽。多くありません。死体を見ると口の周りだけ皮膚が

剥がされています。歯が露出していますが、他のところは食べられた形跡はありません。

新鮮で皮膚が引きちぎれないのです。腐敗が進み、皮膚が裂きやすくなるのを待っている

段階です。

近隣のオジロワシにはまだ情報が流れていないのか、いつも野付半島にたむろするオジロワシ

の数ほどしか集まっていません。

1週間後、同じ場所に行ってみると死体は跡形なく、すべてがなくなっていました。

いつもならいるカラスやカモメは繁殖に忙しいのか、姿を見ませんでした。オジロワシだけ

で平らげたようです。それか海がさらっていたのかもしれません。

 


コアオアシシギ

2019-08-17 15:01:19 | シギ・チドリ

シギ・チドリの秋の渡り、真っ最中です。北極圏地方の天候に寄りますが、各地域で繁殖を

終えた種が次次に渡ってきます。野付湾に寄ってくれる種、寄らない種、たまに寄る腫、様々

です。

おばんです。小太郎でごじゃります。

              ◆  コアオアシシギ  ◆

どれも興味があります。出会ったときにはできるだけ懸命に観察しようと心がけています。

コアオアシシギはたまにやってくる種。6年前に見つけたときは16羽の群れでやってきました。

コアオアシシギは干潟には出てきません。湿地の中の沼にやってきます。今年は水量が少なく

やってくる可能性あると思っていました。

予想どうりやってきましたが、1羽だけでした。昨今、シギ・チドリの減少が取りざたされて

います。立ち寄って行く環境が半世紀前から減少し、毎年シギたちの数が減少して行くのを

この目で確かめてきたので、1羽でも発見できればホットします。

コアオアシシギは相変わらず動きのきびきびしたシギです。セイタカシギに比べれば脚が

短いですが、他のシギに比べれば長く、スマート。体も引きしまり、細いくちばしをせっせと

泥の中に入れ、水の中の昆虫を食べていきます。

採餌姿勢は体を水平に保ち、お腹が水面すれすれになるまで深みに入ることができます。

真剣に水の中を探し、細いくちばしを差し込んで食べ物を捕っています。体は水平なので

抜き足差し足で歩くことができます。長い脚を後ろに引きやすく、ゆっくり歩くことが

できます。

急ぎ足、忍び足。どっちもできるキュートなシギです。1週間後にはいなくなっていました。


干潟のタンチョウ

2019-08-15 19:44:32 | タンチョウのいる風景

鳥の繁殖期がほぼ終わりに近づきました。タンチョウはヒナの保育に邁進している夫婦、

失敗した夫婦、若いタンチョウのグループに分かれます。

おばんです。小太郎でごじゃります。

 

             ◆  干潟のタンチョウ  ◆

保育中の夫婦はヒナに付きっ切りで、すごく警戒心が強く、神経質になりオープンな

場所にはほとんど出てきません。ところが失敗した夫婦や若きものは広大な干潟に

出てくることが増えてきました。

とくになわばりを持っている夫婦は潮が引くと真っ先にやってきて、アマモの下に隠れ

ているギンポやカレイ、カニなどを捕って食べています。

干潟を遠くから双眼鏡で探すと白い小さな姿のタンチョウ夫婦を見つけることができます。

潮目が変わるころ近寄って行くとすっかりお腹が膨れたのか、のんびりと毛づくろいしたり

してくつろいでいます。のどかな干潟の風景にとてもマッチして風情があります。

脅さないように警戒されない距離で待つこと一時間。押し寄せる潮に押し出されるように

近寄ってきます。そのうちクルー、クルーと互いに鳴きだし飛び立ちの準備に入ります。

それが合図です。大きい方のタンチョウ(たぶんオス)が前傾して走り出します。すぐ、

小さい方のタンチョウが続きます。大きな歩幅で水しぶきを上げ、離陸姿勢に入ります。

力強く、水面を切るようにスピードを上げます。

飛び上がると力強く翼を煽り、高度をぐんぐんあげます。脚は後方に伸ばし、体と水平に

します。姿勢が整うとさらにスピードを上げ、縄張りの中心、湿地の方へ飛んでいきます。

お腹が膨れれば、干潟に用はありません。安全な湿地へ。