地球の裏からまじめな話~頑張れ日本

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2006-05-07 04:45:45 | 正しい金融知識
世の中はGWなのでまあそんなにここを訪れる方もいないかなぁ、さらに私自身少々ばたついておりまして、あれだけやる気を見せながらの裏切り、すみませぬ。

さて、コメント欄に双日に関するものを頂いた。
あっし、それに気付き急いで双日の「優先株式の一掃による当社の資本構造再編について」と言う資料を打ち出して読んでみたのだが、何せこれが長い・・
約30Pに渡る資料なのである、よって多少めげた、すまぬ。

まず頂いたコメントは以下の通りである。
『双日が優先株5760億円を約3500億円で買入消却するために3000億円のMSCBを新たに発行するとの発表がありました。
基本的な質問で大変恐縮なのですが、なんで優先株を持っている人はこんな条件を受けるのですか。またMSCBを受ける側の目論見って何なのでしょうか。』

その後に通りすがり様から今回の経緯に関する記事のコピーを頂いた。
さて、ざっくりした印象は、私の解釈では以下の通りであるが、これは全く無責任なものなのをご承知おき頂きたい。

確かになんで6000億近い優先株の買入消却を銀行は3500億程度で受けるのか、これは不思議であるね。
ただ、記事によれば各行は既に減損処理、つまり簿価を落としているので、逆に3500億でやってもらえればかえって利益が出ちゃうので、WHY NOT?って事だ。
例えば私がブックを持ってCBをやっていた時は、常にポジションに対してはMark To Market、すなわち単価100で仕入れたものが翌日99になれば、もうそこで1ポイントの損を出す、という事をしていたのだが、これはマーケットに対峙する所は全てやっているはずだ。
翌日99になったものがその翌日101になったので売っちゃえば、昨日比2ポイントの利益が計上されることになる。もちろんそれはブックの上であって実現益は1ポイントであるのだが、このような作業を日々行っているのであるね。
そしてそれが決算(私の時は毎月月末であったが)の時に評価損益も全て実現されて、翌期ないし翌月からの新コストが決まるわけである。
つまり私の100で買ったモノ、日々評価損益を計上しながら期末に95になっていた場合、今期5ポイントの実現損を出して、来期の新コストは95でスタートする、と言う事になる。
ここで私は新しい期に入った途端それが98で売れるなら喜んで売るね。それで3ポイントの実現益が発生するのだから。

つまりこの双日の優先株も、全て処理して簿価を下げた中で、双日が新コストよりも高いところで買入消却をするって事になれば、私なら喜んでそれを受ける。将来的にもっと高く売れるかもしれないし、色々起こるかも知れないけれど、この優先株が将来普通株に転換された段階で、例えば市場が陰の極であったりしたらその処理でまたまた面倒が起こるかも知れないのだから、そしたらさっさとこのポジションを掃いてもっと別なことにお金を使ったほうが良い、と考えると思われる。
これは双日側もハッピーだし、銀行側も面子を保ちつつ堂々と売れるわけだから、両社の利害がきっちり合致したと考えられる。

さて、その資金をMSCBで、って話でこれは野村が引き受けたようだ。
MSCBってのはここで何度も書いているけれど、基本やれば儲かる、いやその儲かるところはどこかと言えば、引き受けたところであるね。
今回のMSCBの条件は今度ゆっくり検討するけれど、色々この資料には「株価に影響を与えないようにどうのこうの」って書いてあるけれど、天下の野村に抜かりがあろうはずは無く、もちろん多少のリスクはあると思うけれど、現在の野村にとってはそのリスクたるや微々たるものだろうって。
MSCB自体はこの間書いたように日々それを遂行することが難しくなってきているので、恐らく今年中には完全に廃れるであろうと思われる。つまり今の段階ではブローカーにとってはとにかくやれるだけやっておいて、将来的な含み益を残しておくことが重要なのであるね。

さらに一般株主に取ったって、将来確実に普通株に転換されるモノが出回っているより、もしかしたらCBのまま終わってしまうMSCBになる方がまだ希薄化の面では有利になると言えようし、双日だってここで言っているように資本構造を根本的に改善出来るのだから、まあそうやって考えればこれはほとんど全ての利害関係者の利害関係を満たすスキームと言えようかなぁ、と。

取り急ぎ、詳細はもうちょい検討させて下さいな!