弁理士近藤充紀のちまちま中間手続47
拒絶理由
引用文献1には沈着法において、(i)多孔質支持体の少なくとも一つの表面を、珪酸のオリゴマーが支持体の前記表面に直接統合するようになる条件下で、珪酸の原料を含有する溶液もしくは懸濁物を接触させ、(ii)原料オリゴマーが結合した支持体と、珪酸の原料を含有する前記溶液もしくは懸濁物とを分離し、次いで(iii)前記支持体表面を、結晶化して結晶ゼオ型物質を生成しうる合成ゲルと接触させ、前記結晶ゲルの結晶化を誘発させてゼオ型物質を前記表面上に結晶化させる旨が記載されている。またゼオ型物質として、ゼオライト、アルミノシリケート、メタロシリケートが例示され、必要とされる工程による接触回数は、支持体の性質、気孔寸法、ゼオ型物質の性質及び合成条件に依存する旨、アルコールのような物質から水を除去すべく脱水用に使用できる旨も記載されている。
そして、支持体の細孔直径や、乾燥温度や焼成温度等の処理条件をどの程度にするか、公知の補助剤のうち、どのよう物を選択するか等は、処理効率等を勘案して当業者が適宜決定するものであり、本願発明の数値等に限定したことによる格別な効果、異質な効果を奏するものではない。
意見書
引用文献1には確かに、沈着法において(i)多孔質支持体の少なくとも一つの表面を、珪酸のオリゴマーが支持体の前記表面に直接統合するようになる条件下で、珪酸の原料を含有する溶液もしくは懸濁物を接触させ、(ii)原料オリゴマーが結合した支持体と、珪酸の原料を含有する前記溶液もしくは懸濁物とを分離し、次いで(iii)前記文持体表面を、結晶化して結晶ゼオ型物質を生成しうる合成ゲルと接触させ、前記結晶ゲルの結晶化を誘発させてゼオ型物質を前記表面上に結晶化させる旨が記載されている(請求の範囲第1項)。
すなわち、引用文献1記載の方法では、ゼオライト層は支持体に直接結合している。ゼオライトの結晶化の前に支持体は、珪酸の原料を含有する溶液もしくは懸濁物と接触させられ、珪酸のオリゴマーが支持体の前記表面に形成される。
しかし、引用文献1は、該オリゴマーが結合した支持体が、珪酸の原料を含有する溶液もしくは懸濁物から分離されていることを開示している。
これに対し、本願請求項1記載の方法では、酸化物に転換されるべきゲルは、細孔担体を互いに非相溶性の異なる2つの液体を用いた2つの連続含浸工程を実施することによって生成される。加えて、含浸された第1の液体は支持体内またはその表面に保持されている。
このような点は、引用文献1には記載も示唆もされていない。
よって、本願請求項1記載の発明は引用文献1の発明とは別のものであり、新規性を有する。
また、本願請求項1記載の方法では、酸化物に転換されるべきゲルは、上述のように、細孔担体を互いに非相溶性の異なる2つの液体を用いた2つの連続含浸工程を実施することによって生成されるので、含浸された第1の液体は支持体内またはその表面に保持されている。そのため、本願発明によれば、上述した本願段落[0010]記載のような格別な効果を奏することができる。
加えて、互いに非相溶性の異なる2つの液体を用いた2つの連続含浸工程について記載のない引用文献1からは、含浸された第1の液体が支持体内またはその表面に保持されている点は推考できる筈がなく、また上述した格別な効果を奏することも予測できる筈がない。
よって、本願請求項1記載の発明は引用文献1の記載からは到底推考することができず、進歩性を有する。
引用文献2には、酸素濃縮膜及びその製造方法において、多孔質ガラスにアルコキシド溶液を付着した後、水分によりアルコキシドを分解すると共に、溶剤を蒸発除去し、この後に加熱することで多孔質ガラス表面及び細孔表面に金属酸化物を形成する旨が記載されている(特許請求の範囲)。
引用文献3には、多孔質隔膜の製造方法において、多孔質体の細孔中に液状のアルミニウムアルコラート又はアルミニウムキレートを含浸した後加水分解し、次いで水熱処理して焼成する旨が記載されている(特許請求の範囲)。また、当該膜はガス分離等に使用する旨、多孔質体として発泡シリカ、焼結アルミナ等が記載されている。
しかし、引用文献2および3には、本願請求項1の発明のように、細孔担体を互いに非相溶性の異なる2つの液体を用いた2つの連続含浸工程を実施することによってゲルが生成され、これにより支持体表面に酸化物膜が形成されること、加えて、含浸された第1の液体が支持体内またはその表面に保持されていることは、記載も示唆もなされていない。
よって、本願請求項1記載の発明は引用文献2および3の発明とは別のものであり、新規性を有する。
また、本願請求項1記載の方法では、酸化物に転換されるべきゲルは、上述のように、細孔担体を互いに非相溶性の異なる2つの液体を用いた2つの連続含浸工程を実施することによって生成されるので、含浸された第1の液体は支持体内またはその表面に保持されている。そのため、本願発明によれば、上述した本願段落[0010]記載のような格別な効果を奏することができる。
加えて、互いに非相溶性の異なる2つの液体を用いた2つの連続含浸工程について記載のない引用文献1からは、含浸された第1の液体が支持体内またはその表面に保持されている点は推考できる筈がなく、また上述した格別な効果を奏することも予測できる筈がない。
さらに、引用文献2および3記載の方法では、本願段落[0006]に記載の問題、すなわち、「合成ゲルを原料とする複合膜の生成方法により、一般には担体の外部にゼオライトの結晶体の形成を生じる。さらに、ゲル中への反応体の分配の法則の調整は困難であることが証明される。このゲルをコロイド溶液または反応体の溶液で置き換えることによって、担体の細孔容積内での結晶体の形成が可能になり、その結果、担体へのゼオライトの良好な接着および反応体のより規則的な分配が可能になる。しかしながら、反応体およびそれ故ゼオライトは、担体の全部を占めることになり、膜の生成箇所に必ずしも局在しない。従って、均一でありかつ担体の表面近辺に局在する、担体に良好に結合された層の形成が可能になる新規方法が必要とされる。」が依然として残る。
よって、本願請求項1記載の発明は引用文献2および3の記載からは到底推考することができず、進歩性を有する。
拒絶理由
理由1について
(1)
・請求項 22~25、27、33、36、37
・引用文献等 1
・備考
多孔質担体の表面にゼオライト、チタノシリケート等のシリコ・メタレート、メソ細孔酸化物、非ゼオライトミクロ細孔酸化物を有する複合膜は引用文献1~6に記載されているように周知であり、それらの膜をガスや液体分離に利用することも周知である。また、引用文献1にはゼオライト膜層の厚さは1~100μmとすることができる旨が記載されている。
(製造方法については、本願発明と引用文献の差異は認められるが、そのことにより製造された膜自体にどのような差異を生じるのか不明である。特に、水性液体として純水を使用した際には、後段で乾燥処理を行うことから、支持体内またはその表面に保持されるものとは認められない。また、水性液体が他の溶媒であったとしても、その溶媒自体を使用することは公知であり、支持体内等またはその表面に保持されることによる引例との差異とは認められない。)
意見書
本意見書と同時に提出した手続補正書による補正により上記拒絶理由は解消された。
すなわち、本日同時提出の手続補正書にて、拒絶理由が通知された旧請求項22~25、27、33、36および37を削除した。なお、新請求項22~30は、それぞれ、旧請求項26、28~32、34、35および38に対応しており、請求項削除に伴う項番号の修正がなされたものである。
特許査定
丁寧に仕上げた点がよかったかな。今回は、それほど強い感じの対応ではなかた。