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ちまちま中間手続96

2025-06-28 21:42:51 | 仕事日記
弁理士近藤充紀のちまちま中間手続96

拒絶理由 進歩性
 引用例1には、重質油を固定床にて水素化して脱メタル及び脱硫し、次いで沸騰床にて脱硫することが記載されている。
 そして、該重質油を本願発明中の原料留分とすること、水素化条件を本願発明中の条件とすること、さらに生成物を任意の留分に蒸留することは当業者が容易になし得ることに過ぎない。

意見書
 引用文献1には、次の2工程を包含する方法が開示されている:
a)重質油からバナジウムおよびニッケルを除くための水素化処理触媒を含有する固定床反応器における重質油の水素化処理(水素化脱金属および水素化脱硫);および
b)さらなる水素化処理を実施するための工程a)において水素化処理された重質油の懸濁床反応器への水素化処理。
 引用文献1に記載された発明の目的は、重質油を水素化処理することであり、包含される2つの工程により、固定床反応器中の水素化処理触媒の不活性化を制限することが可能になる。第1の反応器中の触媒の耐用期間を延長することができ、全体的に、重質油の水素化処理が実施される期間を延長することができる(段落[0016]参照)。
 しかしながら、引用文献1によると、工程b)の後に得られる油生成物の硫黄含有量(表3および4を参照)は0.30wt%(3000重量ppm)であり、この値は、規格値よりはるかに大きい値である。
 したがって、引用文献1の方法では、硫黄10重量ppm未満のガソリン型エンジン気化燃料および500ppm未満の硫黄含有量を有するディーゼル型エンジン気化燃料を得ていない。
 したがって、本願発明の請求項1は進歩性を有している。
 引用文献2には、Reを含有する特定の触媒を用いる水素化処理およびその後の流動接触分解の2工程により重質油を転化する方法が開示されている。
 しかしながら、引用文献2の方法における「Reを含有する特定の触媒を用いる水素化処理」は本願発明の請求項1の工程(b)に相当し、「流動接触分解」は、本願発明の請求項2の工程(d)に相当しており、引用文献2の方法では本願発明の請求項1の工程(a)に相当する工程はなされていない。
 また、引用文献2では、重質油原料の全体が流動接触分解工程に付されるのに対して、本願発明では、請求項1および2に規定されるように、工程(c)により得られるガス留分、ガソリン型エンジン気化燃料留分、ガスオイル型エンジン気化燃料留分および重質の液体留分のうち、重質液体留分のみが接触クラッキング工程(工程(d))に投入される。
 さらに、引用文献2には、特定の水素化処理によって硫黄分が低レベルになるように除去されることが記載されている(段落[0020]等)が、本願発明に規定されるように高度に硫黄含有量を低減させることができることは記載されていない。
 したがって、引用文献1に記載の発明に引用文献2に記載されたクラッキング工程を組み合わせても本願発明の請求項2とは同一とはならず、また、容易に想到することもできない。
 したがって、本願発明の請求項2は進歩性を有している。
 以上のように、本願発明の請求項1および2は進歩性を有している。本願発明の請求項2~13は、新請求項1および2の従属項であるため、当然、これらの請求項も進歩性を有している。
 以上に説明したように、補正により本願発明の拒絶理由1および2は解消した。

拒絶査定
 出願人は意見書において、引用例1お呼び2には水素化重質油の製造方法が記載されているに留まり、その硫黄濃度は本願発明の濃度と異なる旨主張する。
 しかしながら、本願発明は工程a及びbで得られた生成物をさらに蒸留する工程を有するものであるところ、燃料油の製造において、求める蒸留性状の油をえるために任意の条件にて蒸留することは常套手段であるから、引用例1記載の発明において得られた重質油をさらに蒸留して、硫黄濃度が低減されたガソリンやディーゼル燃料をえることは当業者が容易になしえることに過ぎない。
 また、引用例2の【0038】に記載されているように、水素化処理は固定床の水素化触媒等により処理することにより行うことが記載されているので、引用例2には、本願発明中の工程a及びbに相当する工程が記載されていると認められる。
 よって、本願発明は依然として特許を受けることができない。

審判
補正なし

理由
 以下、本願発明が進歩性を有する理由について説明する。
 拒絶理由通知および拒絶査定では、本願発明の工程aおよびbが、引用文献1および2に記載されている旨が認定されているが、引用文献1および2を参照すると、この認定は誤りである。以下、この点について詳細に説明する。

 引用文献1には、次の2工程を包含する方法が開示されている:
a)重質油からバナジウムおよびニッケルを除くための水素化処理触媒を含有する固定床 反応器における重質油の水素化処理(水素化脱金属および水素化脱硫);および
b)さらなる水素化処理を実施するための工程a)において水素化処理された重質油の懸濁床反応器への水素化処理。
 引用文献1に記載された発明の目的は、重質油を水素化処理することであり、包含される2つの工程により、固定床反応器中の水素化処理触媒の不活性化を制限することが可能になる。第1の反応器中の触媒の耐用期間を延長することができ、全体的に、重質油の水素化処理が実施される期間を延長することができる(段落[0016]参照)。
 しかしながら、引用文献1の段落[0005]には、「本発明の方法では、最初に固定床で、原料の重質油を水素化処理する(a)工程を、前記従来技術のように該工程で・・・高い脱硫、・・・を行うことを目的としてきびしい条件で実施すると、・・・この様なきびしい条件では重質油中に含まれるアスファルテンは、・・・ドライスラッジの発生原因となる。また、アスファルテンが熱分解を生じ、コーク質が生じるため、・・・長期間の運転が不可能になる。従って該工程では温和な反応条件により反応性に富んだ不純物だけを除去することが望ましい。」と記載され、また、段落[0007]には、「本発明の方法における(b)工程では、・・・高い脱硫・・・を行うことが望ましい。」と記載されており、引用文献1の工程(a)は、本願発明の請求項1における(a)工程のような脱硫工程ではなく、むしろ脱硫が生じることを避けるようにしてなされる工程であり、脱硫が行われているのは工程(b)である。
 したがって、「固定床水素化脱硫触媒を含む少なくとも1つの反応器によって低減された硫黄含有量の液体流出物を得る」ための本願発明の請求項1の工程(a)は、引用文献1の工程(a)とは全く異なるものである。
 また、引用文献1によると、工程b)の後に得られる油生成物の硫黄含有量(表3および4を参照)は0.30wt%(3000重量ppm)であり、この値は、規格値よりはるかに大きい値である。
 したがって、引用文献1の方法では、硫黄10重量ppm未満のガソリン型エンジン気化燃料および500ppm未満の硫黄含有量を有するディーゼル型エンジン気化燃料を得ていない。
 引用文献2には、Reを含有する特定の触媒を用いる水素化処理およびその後の流動接触分解の2工程により重質油を転化する方法が開示されている。
 引用文献2では、その段落[0018]~[0042]において水素化処理の説明がなされている。この水素化処理は、モリブデンとアルカリ土類金属および/または希土類金属を含有する触媒を用いてなされるものであり、固定床、沸騰床等の種々の反応方式で行われている。
 また、段落[0022]には、水素化処理として、水素化脱硫反応、水素化脱金属反応、水素化脱窒素反応、芳香族環の水素化反応、水素化開環反応、側鎖の脱アルキル化反応等の多様な反応が挙げられている。
 これに対して、本願発明の請求項1では、工程(a)が、「水素化脱硫触媒を含む」として規定された脱硫工程であり、工程(b)が、「沸騰床水素化処理触媒を含み」と規定される水素化処理工程である。本願発明の請求項1では、各工程に用いられる触媒について「水素化脱硫」および「水素化処理」と機能上の規定のみに留まっているものの、本願明細書の段落[0010]の11~12行に第VIB族金属であるモリブデンが例示されており、引用文献2の水素化処理工程において用いられる触媒がモリブデンを含有するものであることと一致し、かつ、本願発明の請求項1の工程(b)が水素化処理工程として規定されていることを考慮すれば、引用文献2の水素化処理工程に相当するのは、本願発明の請求項1の工程(a)および(b)のうち、工程(b)であるといえる。
 また、上記のように、引用文献2の水素化処理では、水素化脱金属、水素化脱窒素等の多種多様の反応のうちの一つとして水素化脱硫が挙げられているに過ぎず、水素化脱硫を主目的として水素化脱硫触媒を用いて脱硫反応を行っている本願発明の請求項1の工程(a)とは同一とはいえない。
 さらに、引用文献2における第2工程である、流動接触分解処理は、本願発明の請求項3の接触クラッキングの工程(d)に一致する。
 以上から、引用文献2の水素化処理は、本願発明の請求項1の工程(b)に相当し、流動床接触分解工程は、本願発明の請求項2の接触クラッキング工程(d)に相当するので、引用文献2には、本願発明の請求項1の工程(a)に相当する工程は記載されていない。
 また、引用文献2では、重質油原料の全体が流動接触分解工程に付されるのに対して、本願発明では、請求項1および2に規定されるように、工程(c)により得られるガス留分、ガソリン型エンジン気化燃料留分、ガスオイル型エンジン気化燃料留分および重質の液体留分のうち、重質液体留分のみが接触クラッキング工程(工程(d))に投入される。
 さらに、引用文献2には、特定の水素化処理によって硫黄分が低レベルになるように除去されることが記載されている(段落[0020]等)が、本願発明に規定されるように高度に硫黄含有量を低減させることができることは記載されていない。
 以上に説明したように、引用文献1および2のいずれにも、本願発明の請求項1の工程(a)に相当する工程は記載されておらず、示唆する記載もない。
 次に、本願の出願人は、処理対象となる炭化水素留分の硫黄濃度が異なることにより得られる差異を説明するために、引用文献1の実施例1において得られた流出物の蒸留をシミュレートして、その硫黄含有量を算出した。
 その詳細について、以下の追加実施例において説明する。


 上記追加実施例1の結果から、当業者が流出物の蒸留により引用文献1の出発原料について本願発明の方法を行ったとしても、本願請求項1のような低硫黄含有量の生成物を得ることはできず、これらの生成物は、より高い硫黄含有量を有するので、法定価格に達するために化学方法によって処理されなければならない。
 したがって、引用文献1の出発原料について本願発明の処理を行っても、直接的な蒸留工程のみによっては低硫黄含有量の硫黄製品を得ることはできない。
 以上に説明したように、本願発明の請求項1は、引用文献1および2に対して進歩性を有している。また、本願発明の請求項2~13は、直接的または間接的に本願発明の請求項1を引用しているので、当然、これらも進歩性の要件を満たしている。

拒絶理由
36条第6項第1号
36条第4項

補正書提出
意見書
 追加実施例提出で解消

特許審決
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ちまちま中間手続95

2025-06-22 21:10:11 | 仕事日記
弁理士近藤充紀のちまちま中間手続95

拒絶理由 進歩性
 引用文献1には、基板上に触媒粒子を核として成長させたカーボンナノチューブを導電性を有する基材の導電層に転写する、カーボンナノチューブを用いた導電性材料の製造方法が開示されている。
 そうしてみると、本願請求項1~6に係る発明は、引用文献1に開示された発明であるか、もしくは、同文献に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

意見書
 引用文献1には、カーボンナノチューブの成長作用を持つ金属触媒を含有する成長用基板と接合面を有する支持基板とを対向配置し、前記成長用基板および前記支持基板間に電界を印加しながら前記成長用基板および前記支持基板間に前記カーボンナノチューブの原料ガスを導入して前記成長用基板表面から前記カーボンナノチューブを前記支持基板に接触するまで成長させることで、前記カーボンナノチューブを前記支持基板に接合し、前記成長用基板を除去することを特徴とするカーボンナノチューブ接合体の製造方法が開示されている。
 これに対して、本願請求項1は、基板上の触媒粒子を核としてカーボンナノチューブを成長させる工程(成長工程)と、該基板のカーボンナノチューブを、導電層を有する基材の導電層に押し付けることにより該基板から該基材にカーボンチューブを転写する工程(転写工程)とを包含することを特徴とするものである。
 本願請求項1の発明と引用文献1の発明とを比較すると、本願請求項1が、成長工程と転写工程との2つの工程を包含するのに対して、引用文献1は、一つの製造装置内において、電界の印加と原料ガスの導入とによって成長用基板からカーボンナノチューブを対向する支持基板に到達するまで成長させ、支持基板に到達したカーボンナノチューブ先端の触媒粒子を支持基板にろう付けするようにしたものであり、本願請求項1の成長工程と転写工程に相当する工程を同一装置内で同時に行っており、本願発明の成長工程と転写工程とを明確に区別することができない点で異なっている。
 上記相違点により得られる本願発明の効果について説明する。
 引用文献1の方法では、両工程が区別されず、カーボンナノチューブを成長させるための装置内に支持基板が導入されなければならないため、接合面を有する支持基板は、耐熱性を有するものに限定されなければならない。これに対して、本願請求項1では、引用文献1の支持基板に相当する導電層を有する基材がカーボンナノチューブの成長工程の装置に導入される必要がないため、引用文献1のような制限はない。
 また、引用文献1の方法では、触媒粒子と支持基板の接合面の金属とをろう付けすることが記載されているが(段落[0020])、Fe等の一部の触媒粒子では、引用文献1の記載とは異なり触媒粒子上からカーボンナノチューブが成長するため引用文献1に記載のろう付けは適用することができない。これに対して、本願請求項1では、カーボンナノチューブを導電層を有する基材の導電層に押し付けることにより転写するものであるため、引用文献1のような制限がなく、基材の表面(転写面)が導電層であれば、基材の材質について制限が全くなく、転写された導電性材料はすぐに電極等に用いることが可能である。
 さらに、引用文献1の方法における成長基板から成長したカーボンナノチューブの支持基板への接合は、カーボンナノチューブ接合体の製造装置内で行われるため、一度に接合できる範囲(面積)は、前記製造装置の大きさに依存するために限界がある。
 以上説明したように、本願請求項1の発明は、引用文献1と比較した場合に明確な相違点を有し、このような相違点を有することにより引用文献1から得られない多大な効果を得ることができるものである。このような相違点および効果は引用文献1の記載からは容易に想到することはできないので、本願請求項1は新規性および進歩性を有する。
 本願の他の請求項は、請求項1の従属項であるので、当然、これらの請求項も進歩性を有する。

拒絶理由 新規性・進歩性
 引用文献1には、カーボンナノチューブを基板上に成長させ、その後、別の導電性の基材にカーボンナノチューブを転写することが開示されている。
 したがって、請求項1~6に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるか、若しくは、同文献に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

拒絶査定
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雨期入り前の高知ツー 3

2025-06-22 14:29:00 | ツーリング
6月2日の日記

帰宅移動の日。移動の途中で何カ所か寄りたいが、もたもたすると西方からの雨雲が追いついてくるおそれがあるので、どこもよらずに帰る。

無難に、大豊、大歩危、池田を経て徳島への国道へ。

途中で、ラーメン屋で昼飯。あまり美味しくなかったので写真等なし。

2回ほど、道を間違えた後に港に着く。

出向ギリギリだった。

船賃えらく高くなっている印象。

最後の曲がるところ、道案内が消えている。

売店で竹輪買う暇もなく、船内へ。

中は、ガラガラ。



フェリー内に売店なし。寝転べるスペース少ない。

フェリーは新造船で外見も中身も綺麗ではあるし、高速走行ではあるが、今後の利用は、ちょっと考えないといけないかな。

鳴門大橋は強風怖いし、四国へのアプローチはなかなか難しい。

日が暮れないうちに、雨が来ないうちに和歌山着。

余裕があるので、京奈和経由で奈良周りにて帰宅。

走行距離 286.5km
総走行距離 852.2km


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ちまちま中間手続94

2025-06-21 21:51:49 | 仕事日記
弁理士近藤充紀のちまちま中間手続94

拒絶理由 新規性・進歩性
 各引用例には、本願所定の窒素酸化物を除去するための物質及びその使用方法が記載されている。

意見書
 引用文献1には、クリプトメラン、ホランダイト、ロマネチャイトおよびトドロカイト構造の物質から選ばれ、該構造が孔路形態のミクロポアを生じるように互いに繋がる八面体MO6を含み(引用文献1:請求項1、[0010]、[0013]参照)、前記八面体は、元素周期表の第IIIB族、第IVB族、第VB族、第VIB族、第VIIB族、第VIII族、第IB族、第IIB族および第IIIA族の元素から選ばれる少なくとも1つの元素Mを含み、アルカリ元素、アルカリ土類元素、希土類元素、遷移金属、並びに元素周期表の第IIIA族、第IVA族の元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素(B)をさらに含む、物質が開示されている。
 これに対して、本願請求項1の物質は、八面体MO6が結合し合って形成されたラメラ構造を有するものである(本願:請求項1、[0010]、[0013]参照)。
 引用文献1には、ラメラ構造は開示されていないので、本願発明の請求項1は引用文献1に対して新規性を有している。
 引用文献2には、ホランダイト型の複合酸化物が開示されており、このホランダイト型は、上記の引用文献1において開示されるように(引用文献1:段落[0013])、Octahedral Molecular Sievesを意味する頭文字OMSによって知られる物質に属し、孔路を生じさせる特徴的構造を示すものである。
 これに対して、本願請求項1の物質は、八面体MO6が結合し合って形成されたラメラ構造を有するものである(本願:請求項1、[0010]、[0013]参照)。
 引用文献2には、ラメラ構造は開示されていないので、本願発明の請求項1は引用文献2に対して新規性を有している。
 引用文献3および4には、NOx捕捉剤として用いられる組成物であって、担体と、活性相とを含み、該活性相は、マンガンと、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の中から選択される少なくとも1種の別の元素(A)をベースとする組成物が開示されている。
 しかしながら、引用文献3および4のいずれにも、本願発明の請求項1のような、「周期表の第IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、VIII、IB、IIB、IIIA、およびIVA族からの元素から選ばれる少なくとも一つの元素(M)か、または前記元素の少なくとも二つからなり、各元素(M)は6個の酸素原子と配位し、かつ酸素八面体の中央に位置している混合物を含んでなるMO6八面体を含んでおり、前記八面体が結合し合ってラメラ構造を形成している吸着相を含んでなり、さらに、アルカリ元素、アルカリ土類元素、希土類元素、遷移金属元素、および周期表の第IIIA、IVA族からの元素により形成される群から選ばれ、かつラメラ間の空間に局在する少なくとも一つの元素(B)を含んでなる」物質は開示されていない。
 引用文献3および4には、組成物がCdI2型のラメラ構造を有し得ることのみが開示されている(引用文献3:3頁28~29行、引用文献4:3頁13~14行)。
 しかしながら、本意見書に添付する添付書類の記載を参照すると、CdI2型のラメラ構造を有するカーバイド、ハライド、水酸化物等は知られているが、酸化物は知られていないので、本願発明の請求項1のような八面体MO6型の酸化物であり、かつ、CdI2型のラメラ構造を有するものは存在しないと考えられる。したがって、本願発明の請求項1の酸化物八面体MO6は、引用文献3および4に開示されたCdI2型のラメラ構造とは全く別の構造を有するものである。
 したがって、本願発明の請求項1は、引用文献3および4に対して新規性を有している。
 また、上記の引用文献1~4のいずれにも、本願発明の請求項1のような「ラメラ構造」が開示されていないので、引用文献1~4の記載に基づいても、また、これらの文献を組み合わせたとしても、本願発明の請求項1に規定された「ラメラ構造」に想到することは容易ではない。したがって、本願発明の請求項1は進歩性を有している。
 請求項1が引用文献1~4に対して新規性および進歩性を有しているので、当然、請求項1に従属する請求項2~23も新規性および進歩性を有する。

拒絶査定
 出願人は意見書において、引用例1,2には「ラメラ構造」は開示されていない旨主張する。 
 しかしながら、例えばホランダイト、ロマネチャイト、トドロカイト等の孔路が「層」によって形成されることは明らかであり(例えば特表2003-521370号公報【0018】【0019】や特開平08-208220号公報【0 007】、図1等参照/なお、例えば引用例1【0010】【0013】等の記載と本願明細書【0010】【0013】等の記載を対比しても、引用例1記載の孔路を形成する各面における対向する面を、本願で単に「ラメラ構造」と表現しただけであると解さざるを得ない)。
 また引用例3についても、CdI2型が本願の「ラメラ構造」であるか否かにかかわらず、結晶構造としてホランダイト等が明記される以上、引用例1,2と同様である。
 なお、引用例3,4には、酸化物がCdI2型の「ラメラ構造」を有することもできる旨明記されている一方、出願人の提出した参考文献のみでは、CdI2型の「ラメラ構造」を有する酸化物が絶対に「存在しない」ことを立証したことにはならない。
 したがって、上記拒絶理由通知書に記載した理由は、依然として解消していない。
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ちまちま中間手続93

2025-06-20 21:41:16 | 仕事日記
弁理士近藤充紀のちまちま中間手続93

拒絶理由 新規性・進歩性
 引用例1には、、ノルマルパラフィンを吸着して除く前処理を行った後に、イソペンタン、モノメチル分枝パラフィン、ジメチル分枝パラフィンを吸着処理により分離することが記載されている。

意見書
 引用文献1には、ノルマルパラフィンを吸着して除く前処理を行った後に、イソペンタン、モノメチル分枝パラフィン、ジメチル分枝パラフィンを吸着処理により分離することが記載されている。
 しかしながら、引用文献1には、本願の請求項1に規定された「前記留分に含まれるイソペンタンまたはイソヘキサンが該留分から分離され、吸着による1つ(または複数)の分離装置の再生用溶離剤として、および/または、透過による1つ(または複数)の分離装置の再生用掃気ガスとして役立てられる」ことは記載されていない。
 したがって、本願の新請求項1は新規性を有している。

 引用文献2にはイソペンタンを除去した後に分離工程に供給することが記載されている。
 引用文献2には、イソペンタンに富むストリッピングガスによる(n-パラフィンのみを保持する吸着剤についての)脱着工程が記載されているが(段落[0036])、ここで用いられる脱着剤は、引用文献2に記載された分子ふるいでは吸着可能でない。実際に、引用文献2によると、用いられる吸着剤は、一般的に、ゼオライト5A(段落[0035])であり、ストリッピングガスとして用いられるイソペンタンは、ゼオライト5Aによって吸着されない。
 本願の請求項1によると、再生は、イソペンタンまたはイソヘキサンにより、直列に配置される少なくとも2つの分離装置について実現され、第2の分離装置(多分枝からの1分枝パラフィンの分離)は、例えば、段落[0034]~[0035]に記載されるような吸着剤上で吸着されるイソペンタンまたはイソヘキサンにより再生される。これらの異なる吸着剤は、C5~C8の中間留分の異性体または中間留分のそれぞれが吸着され得るような細孔サイズを有している。第2の分離装置において用いられる脱着剤は分子ふるい上で吸着可能であるという事実は、第2の装置の再生をより効率的にし、脱着剤が分子ふるいの多孔度に入ることを可能にする分子ふるいの細孔サイズに関連する。
 以上のように引用文献1および2は、いずれも吸着可能な脱着剤による再生については全く記載していない。逆に、引用文献1は、吸着剤を再生するための好ましい方法が、水素等の非吸着性パージガスによる向流脱着によることを教示する(第5頁左下欄第19行 ~同頁右下欄第4行参照)。
 以上に説明したように、引用文献2の分離工程は、本願の請求項1のように吸着によるものではないので、引用文献1に記載の発明に引用文献2の発明を組み合わせたとしても本願発明の請求項1と同一とはならず、また、引用文献1および2には本願の請求項1に想到するような記載も示唆もない。したがって、本願の請求項1は、進歩性を有している。旧請求項2~4、5、7、9および12~14に対応する新請求項2~4、5、7および10~12は進歩性を有する新請求項1の従属項であるため、当然、これらの請求項も進歩性を有している。

特許査定
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