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ちまちま中間手続77

2025-05-30 21:05:51 | 仕事日記
弁理士近藤充紀のちまちま中間手続77

拒絶理由
 新規性・進歩性1
 引用文献1には、請求項1-9に係る鋼とその合金組成が重複するオーステナイト系ステンレス鋼を用いて化学工業分野の装置または装置の要素を製造することが記載されている。

 新規性・進歩性2
 引用文献3-5には、それぞれ請求項1-9に係る鋼とその合金組成が重複するオーステナイト系ステンレス鋼を用いて装置または装置の要素を製造することが記載されている。

意見書
 本願発明は、上記のような構成を有するので、つぎの効果を奏することができる。
a)本願ステンレス鋼は、優れた耐コークス性を有する。したがって、本願ステンレス鋼は、特定の用途、例えば炉、反応器もしくはダクトのような装置、あるいは例えば管、プレート、シート、スクリーン、型材もしくはリングのような装置の要素の製造に使用することができ、また炉、反応器もしくはダクトの内壁をコーティングするために使用することができる。とりわけ、350~1100℃で実施される石油化学プロセスの装置には、本願オーステナイト系ステンレス鋼を好適に使用することができる。
b)本願ステンレス鋼は、削減されたニッケル含有量にも拘わらずオーステナイト系構造を留めるステンレス鋼である。オーステナイト系構造を有するステンレス鋼の高い温度挙動によって、優れた耐腐食性と、溶接性が含まれる優れた機械的挙動とが組み合わされる。

 引用文献1は、低ニッケル含量のオーステナイト系ステンレス鋼に関するものである。
 しかし、引用文献1のステンレス鋼は、その実施例では常に、本願ステンレス鋼と比べて高いマンガン含量を有する(本願ステンレス鋼:Mn2~10重量%、引用文献1の実施例1:Mn10.5重量%、引用文献1の実施例2:Mn11.0重量%、引用文献1の実施例3:Mn10.8重量%)。
 よって、引用文献1の発明は本願発明とは決して同一ではない。
 また、引用文献1のステンレス鋼は、化学工業分野、家庭厨房品、建築用外板、自動車の諸部品等多岐に亘る用途を企図したものである(引用文献1の第1頁、右欄、第6~8行)。
 引用文献1の発明の顕著な効果として述べられている点は、耐蝕性と加工性であるが(引用文献1の第1頁、右欄、第11~18行)、引用文献1は、耐コークス性については何ら記載していない。
 よって、引用文献1から、上述した本願発明の効果、とりわけ耐コークス性を予測することは、当業者といえども到底不可能である。

 引用文献2について
 引用文献2は、耐コークス性が要求される適用に用いるステンレス鋼の使用方法に関するものである。
 しかし、このステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼ではなく、ベイナイト系もしくはマルテンサイト系の焼戻し構造を有するものであり、本願ステンレス鋼とは甚だ異なるものである。
 よって、引用文献2の発明は本願発明とは別のものである。
 また、引用文献1と2を組み合わせても、本願発明の効果、とりわけ耐コークス性を予測することは、当業者といえども到底不可能である。

 引用文献3について
 引用文献3は、耐蝕性に優れたr-Mn-N系のオーステナイト系ステンレス鋼に関するものである。
 しかし、このステンレス鋼は、自動車、家庭電気製品、厨房、建築などに使用されるものである(引用文献3の段落[0001])。しかみ、引用文献3は、耐コークス性については何ら記載していない。
 よって、引用文献3の発明は本願発明とは決して同一ではない上に、引用文献3から、上述した本願発明の効果、とりわけ耐コークス性を予測することは、当業者といえども到底不可能である。
 引用文献4(特開平11-92885)は、本願明細書の段落[0007]に記載のフランス特許出願に対応するものである。引用文献4は、非常に低いニッケル含量のオーステナイト系ステンレス鋼に関するものであり、これよりニッケル含量の高い標準グレード(AISI 304)と比べ割安で、かつ、同等の機械特性および溶接特性を有するものである。
 しかし、引用文献4は、耐コークス性については何ら記載していない。
 よって、引用文献3の発明は本願発明とは決して同一ではない上に、引用文献3から、上述した本願発明の効果、とりわけ耐コークス性を予測することは、当業者といえども到底不可能である。
 引用文献5も、低ニッケル含量のオーステナイト系ステンレス鋼に関するものである。引用文献5のステンレス鋼は、一般腐食、孔食、間隙腐食に優れることを企図したものである(引用文献5の段落[0001])。
 しかし、引用文献4は、耐コークス性については何ら記載していない。
 よって、引用文献3の発明は本願発明とは決して同一ではない上に、引用文献3から、上述した本願発明の効果、とりわけ耐コークス性を予測することは、当業者といえども到底不可能である。
 引用文献3~5を組み合わせても、上述した本願発明の効果を予測することは、当業者といえども到底不可能である。
 本願ステンレス鋼は、その特有の組成から、優れた耐コークス性を有することを見出だして完成されたものである。
 炭化水素の転換中に炉内で拡大しうる炭質堆積物すなわちコークスは、工業装置において有害であり、管および反応器の壁上にコークスが形成されると、熱交換の減少と、大きな詰まりが引き起こされ、それ故に、圧力損失の増加をまねく。反応温度を一定に保つために、壁の温度は上昇されねばならないこともあり、これによって、壁の構成要素である合金を損傷させるリスクが生じる。装置の選択率の低減も認められ、これは収率の低減をまねく。
 本願発明は、優れた耐コークス性を有するオーステナイト系ステンレス鋼を提供することによりコークス堆積に起因する上記諸問題を解決するものである。このような効果は、引用文献に記載されていないばかりか、引用文献記載の防食効果などとは全く別な効果であり、引用文献からは決して推考できるものではない。とりわけ、350~1100℃で実施される石油化学プロセスの装置には、本願オーステナイト系ステンレス鋼を好適に使用することができる。
 よって、本願発明は、新規性および進歩性を兼ね備えるものである。

拒絶理由 新規性・進歩性
 引用文献1には、本願請求項1,2,6,8,9に係る鋼とその合金組成が重複するステンレス鋼を自動車、家電、厨房、建築用に供することが記載されており、当該記載からみて引用文献1記載のステンレス鋼は「耐コークス性」に関する言及の有無にかかわらずこれら装置やその要素に使用されるものと認める。

意見書
 引用文献1には、自動車、家電、厨房、建築用等に用いられる、耐食性に優れたCr-Mn-N系オーステナイトステンレス鋼が開示されている。
 しかしながら、引用文献1のステンレス鋼の組成は、本願発明におけるステンレス鋼の組成と異なっている。引用文献1のステンレス鋼は、本願発明のステンレス鋼よりも遙かに小さい炭素含有量を有するからである(引用文献1では最大炭素含有量は0.015重量%である)。さらに、引用文献1の鋼の用途は、本願発明のステンレス鋼と完全に異なっている。耐コークス性は耐食性と同一とは考えられ得ない。本願の明細書の段落[0004]において説明されているように、管および反応器の壁上にコークスが形成されることによって、熱交換の減少と、大きな詰まりが引き起こされ、それ故に、圧力損失の増加がもたらされるが、材料上の重大な損傷はない。逆に、耐食現象は、実際に、金属が浸食を受けることによって設備を劣化させる。
 このように本願発明に係わるステンレス鋼と引用文献1のステンレス鋼とは組成も用途も異なるものであり、また引用文献1に基づいて本願発明のステンレス鋼に想到することもできないので、本願請求項10および12と引用文献1のステンレス鋼に対して新規性および進歩性を有する。

拒絶査定
 先の拒絶理由通知書における引用文献1(特開平09-195007号公報)には、補正後の本願請求項1に係る鋼とその合金組成が重複するオーステナイト系ステンレス鋼(特に【表1】の鋼番号4番を参照)、及び当該オーステナイト系ステンレス鋼を自動車、家電、厨房、建築用に供することが記載されており、引用文献1の上記記載に鑑みれば、引用文献1には本願請求項1に係る鋼の合金組成と重複する合金組成を有する「装置」及び「装置の要素」が記載されているものと認められ、当該「装置」と補正後の本願請求項10に係る装置、及び当該「装置の要素」と補正後の本願請求項12に係る装置の要素との間に、それぞれ物としての差異は認められない。
 なお出願人は意見書にて「引用文献1のステンレス鋼の組成は、本願発明におけるステンレス鋼の組成と異なっている。引用文献1のステンレス鋼は、本願発明のステンレス鋼よりも遙かに小さい炭素含有量を有するからである」と主張するが、本願請求項1に係るオーステナイト系ステンレス鋼における炭素量規定は「多くとも0.15重量%のC」とあるように炭素含有量の上限を定めるものであって、他の条件を満足し且つ炭素含有量が「0.15重量%」以下であるオーステナイト系ステンレス鋼であれば須く包含されるものとされていることから、出願人の上記主張は採用できない。
 また、出願人は意見書にて「引用文献1の鋼の用途は、本願発明のステンレス鋼と完全に異なっている。耐コークス性は耐食性と同一とは考えられ得ない」と主張するが、請求項10は用途の規定が成されていない「装置」、同じく請求項12は用途の規定が成されていない「装置の要素」に係るものであるため、出願人の上記主張は採用できない。
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ちまちま中間手続76

2025-05-29 21:23:18 | 仕事日記
弁理士近藤充紀のちまちま中間手続76

拒絶理由 進歩性
 引用例1には、銀/パラジウムの重量比が0.05~0.4で、その80%以上が表層に存在する触媒が記載されている。本願発明の触媒とは、前記銀/パラジウムの重量比のみで相違するが、他の範囲の値も当業者であれば実験により行い得る範囲のものであり(引用例2:5頁左下欄9,10行,引用例3:請求項3参照)、0.4という値にも臨界的意義はないから、本願発明を構成することは、当業者であれば容易になし得るものである。
 引用例4には、アルミナ担体にパラジウム0.3~3.0重量%及び金を0.0157~1.8重量%含有し、該アルミナ担体の表層から中心に向かって30%以下の部分に、パラジウムと金はそれぞれ90%以上が存在するように担持された触媒が記載されている(特許請求の範囲,第1表参照)。

意見書
 引用文献1には、銀/パラジウムの重量比が0.05~0.4で、その80%以上が表層に存在する触媒が記載されている。
 本願請求項1と引用文献1に記載された触媒とを比較すると、その銀/パラジウムの重量比が本願請求項1では0.5~3であり、引用文献1に記載された発明では0.05~0.4である点、および、本願請求項1では、「金属粒子の少なくとも30%が、パラジウムと銀とを同時に含んでいる」ことを規定しているのに対して、引用文献1ではこのような規定がない点で相違しており、他の点では一致している。
 拒絶理由通知によると、「0.4という値にも臨界的意義はない」と認定されているが、本出願人は、この認定について同意することができない。引用文献1の実施例12~14によると、本出願の触媒と同様にして調製された触媒J(Ag/Pd=0.4)およびK(Ag/Pd=0.2)について、Ag/Pd比=0.2で最良の安定性が得られている。しかしながら、銀の含有量が増加すると安定性が減少することが想定されるため、当業者は、銀含有量を増加させ、0.4より大きい、したがって0.5より大きいパラジウムに対する銀の比を得ることに想到しないと考えられる。
 また、引用文献1では、引用文献1に対応する特開平8-53375号公報の表1等に示されるように、安定性を有する触媒を提供することを目的としており、触媒の不活性化抑制については何ら開示されていない。
 本願発明は、その明細書の段落[0011]の1行目「経時的にできるだけ変化しない」(安定性)、かつ、7行目「不活性化は、できるだけ少ない」(不活性化抑制)触媒を提供することを目的としている。
 本願明細書の実施例を参照しながら具体的に説明する。
 本願明細書の段落[0039]および[0040]に示されるように、Ag/Pd比が0.5~3であり、かつ、金属粒子の少なくとも30%が、パラジウムと銀とを同時に含んでいる、触媒A、B、C、Fでは、安定性および不活性化抑制の双方ともに好ましい結果が得られたのに対して、Ag/Pd比が0.1である触媒Dでは、安定性が良好であるものの、不活性化抑制の効果は、上記触媒A等よりも低く、金属粒子の2%だけがパラジウムと銀とを同時に含む触媒Eおよび8%だけがパラジウムと銀とを同時に含む触媒Gでは、安定性および不活性化抑制の双方において上記触媒A等よりも劣っていることが明らかである。
 したがって、Ag/Pd比が「0.5」は、触媒の安定性および不活性化抑制の両方において重要な意義を有しており、臨界的意義を有するものである。
 このような効果は引用文献1には開示されていない。
 引用文献2には、1,3-ブタジエンの液相選択的水素化触媒であって、銀がパラジウムの表面上に沈積しかつ担持されたものが開示されている。引用文献2に開示された触媒は、高比表面積のアルミナ担体および0.3~5の銀/パラジウム重量比が示されている。しかしながら、引用文献2によると、当業者は、非常に特別な方法(パラジウム上への銀の沈積)で触媒を調製することに想到するだけだろう。
 これに対して、本願請求項1によると、銀およびパラジウムの前駆体の両方を含む溶液が担体上に含浸させられ、これにより、金属粒子の少なくとも30%がパラジウムおよび銀の両方を含むようにさせるようにしている。
 引用文献2では、触媒の表層部でのAg/Pd比が全く開示されておらず、金属粒子の少なくとも30%がパラジウムおよび銀の両方を含むことも開示されていない。
 引用文献3には、パラジウムおよび銀を含む担持触媒が開示されており、該金属における銀/パラジウムの重量比として0.7:1~3:1が記載されている。
 しかしながら、引用文献3には、金属粒子の少なくとも30%がパラジウムおよび銀の両方を含むことは開示されていない。
 引用文献4には、気相でのエチレン、酸素および酢酸の反応を通じた酢酸ビニルの製造のための触媒が開示され、触媒は、パラジウムおよび金の両方を含んでいる。しかしながら、引用文献3は、本願発明とは異なる技術課題を扱っており、所定の銀/パラジウム比を有する触媒をアセチレン性化合物の選択的水素化に適用することに想到することはできないだろう。
 また、引用文献4には、金属粒子の少なくとも30%がパラジウムおよび銀の両方を含むことは開示されていない。
 以上に説明したように、本願請求項1は、引用文献1~4に基づいて容易に発明をすることができたものではなく、本願請求項1は進歩性を有する。
 本願請求項2~7は、請求項1の従属項であるから、請求項1が進歩性を有することにより、当然、これらも進歩性を有する。

拒絶査定
 出願人は、意見書において、本願発明は、銀/パラジウムの重量比が0.5~3であるのに対し、引用文献1に記載された発明では、0.05~0.4である点、及び、本願発明では、「金属粒子の少なくとも30%が、パラジウムと銀とを同時に含んでいる」ことを規定しているのに対し、引用文献1ではこのような規定がない点で相違しており、本願発明は、引用文献1~4に基づいて容易に発明することができたものではない旨主張している。
 出願人の上記主張について、検討する。
 引用文献1では、銀/パラジウムの重量比は、最大値として0.4が記載されているにとどまる(実施例12)。しかし、引用文献1において、パラジウム含有量は0.01~0.5重量%、銀含有量は、0.001~0.02重量%と規定されており、銀/パラジウムの重量比の最適な範囲を決めるに際して、上記含有量の範囲において、0.4を超える重量比まで変化させる必要があると考えられる。また、本願発明において銀/パラジウムの重量比の下限は0.5であるが、重量比0.5に近い実施例として、重量比0.6(実施例6、触媒F ただし、実施例6のパラジウムと銀の重量比から計算すると、重量比は1.2となる)及び重量比1.04(実施例3、触媒C)が記載されているにすぎず、0.5の範囲まで明細書記載の効果を奏するとはいえない。しかも、本願発明の実施例の「安定性」は、同じ条件で測定された引用文献1の実施例の「安定性」よりも大幅に劣り、触媒として優れているのか疑問であり、銀/パラジウムの重量比が0.1である比較例(実施例4)はあるものの、他の重量比での比較が不十分であるから、引用文献1に記載の発明より「不活性化」の点で特に優れているともいえない。したがって、銀/パラジウムの重量比を0.5以上の値とすることは、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。
 次に、本願発明の実施例によれば、本願発明の触媒は、パラジウム・ニトレートと銀ニトレートとを含む硝酸溶液60mlを、アルファアルミナベースの担体に含浸させ、120℃で乾燥し、空気下750℃で焼成することによって調製される。引用文献1に記載の実施例の触媒の調製方法も、上記本願発明の触媒の調製方法と全く同じである。しかも、同じ調製方法を採用し銀/パラジウムの比の み相違する本願発明の比較例(実施例4)は、引用文献1に記載の発明の銀/パラジウム重量比を満たすが、金属粒子の35%がパラジウムと銀とを同時に含んでいるとされている。そうすると、上記「金属粒子の少なくとも30%が、パラジウムと銀とを同時に含んでいる」点は、引用文献1に記載の実施例の触媒も満たすといえる。
 以上のとおりであるから、出願人の主張は、採用できない。
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ちまちま中間手続75

2025-05-28 21:03:43 | 仕事日記
弁理士近藤充紀のちまちま中間手続75

拒絶理由 新規性・進歩性
 引用例1には、Re2O7/Al2O3含有触媒に有機アルミニウム化合物を用いた触媒が記載されている(特許請求の範囲,実施例7,表1:実験c参照)。

意見書
 引用文献1には、Re2O7、アルミナおよび
-B2O3、MoO3、WO3またはV2O5、および
-式X(3-m)AlRmの活性剤(式中、Rは、1~8個の炭素原子を有するアルキルであり、Xは、1~8個の炭素原子を有するアルコキシであり、mは1または2である)
を含有する触媒によるメタセシスの方法が記載されている。
 これに対して、本願の新請求項1等に規定されているアルミニウム化合物は、一般式(RO)qAlR'r(式中、Rは炭素原子数6~40を含むアリールまたは置換アリール残基であり、R'は炭素原子数1~20を含むアルキル残基であり、qおよびrは1または2であり且つq+rの合計は3である)を有するものである。
 引用文献1には、本願のようなRがアリールまたは置換アリール基であるようなものは開示されていない。
 ここで、本願の新請求項におけるようなRがアリールまたは置換アリール基であるアルミニウム化合物を用いた場合に、引用文献1のようなR(引用文献1のXが本願ORに相当する)がアルキル基であるアルミニウム化合物を用いた場合よりも良好な結果が得られることを追加実施例により示す。

 上記追加実施例の比較結果から、本発明に係るRがアリールである(RO)qAlR'rを含む触媒の方が、アルコキシ-アルキルアルミニウムを含む触媒よりも触媒活性の点で優れていることが分かった。
 本願の触媒は、引用文献1に記載された触媒よりも良好な転換率を得ることができ、このような効果は、引用文献1から容易に想到することができるものではない。したがって、本願発明は、引用文献1に対して、新規性および進歩性を有している。

特許査定
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ちまちま中間手続74

2025-05-27 21:48:33 | 仕事日記
弁理士近藤充紀のちまちま中間手続74

拒絶理由 新規性・進歩性
 引用文献1には、基板上に成長させたカーボンナノチューブをレーザビームによって部分的に除去することで、カーボンナノチューブからなる多数の同形の突出体を所定ピッチで形成することが記載されている。
 レーザビームを扱う当業者にとって、レーザビームの照射時にその焦点距離と焦点径を適切な値に調整することは、技術常識である。
 したがって、引用文献1記載の発明においても、レーザビームの照射時には、その焦点距離と焦点径とが適切な値に調整して照射していることは明らかである。

意見書
 引用文献1には、陰極として形成された複数の微細突起の集合体の一部にエネルギービームを照射することにより、この複数の微細突起の集合体にエッジを形成することが記載されている。
 引用文献1に記載された「エッジ」について、その明細書の段落[0041]および図4には、「電子放出部材のエネルギービームの加工面が基板とほぼ直角になるようにした場合(図4の(a))において、加工されずに残った電子放出部材の端部191の事である」と説明されている。
 この記載から明らかなように、引用文献1の発明において用いられているエネルギービームは、照射により基板に対しほぼ垂直になるエッジを形成していることから、照射面に一様なエネルギー分布を有するものを用いているのであって、本願発明のように「正規分布のレーザービーム」を照射するものではない。
 本願発明では、正規分布のレーザービームをカーボンナノチューブ層に照射すれば、本願の図2および図3に示すようにレーザービームの正規分布に従って傾斜部が形成されることを利用することにより基板上に所定のピッチ毎に同一形状の突出体を形成するようにしている。また、本願発明において、レーザービームをその焦点距離および焦点径を調整することによって、図2および図3において具体的に示されるように、形成される突出体の傾斜部の角度を種々変更することが可能である。
 引用文献1を参照しても、上記のように、エネルギービームを照射することにより、基板に対して垂直な「エッジ」を形成することができることが記載されているのみであり、本願発明のように、レーザービームが正規分布であることおよび焦点距離等を調整することによって突出体の傾斜角度を調整することができることは引用文献1には一切記載されていない。
 したがって、本願請求項1は引用文献1に基づいて容易に想到することができるものではない。
 引用文献2には、カーボンナノチューブをプラズマに曝して開管させることが記載されている。
 しかしながら、新請求項4は、新請求項1~3の従属項であり、引用文献2には、新請求項1~3の特徴は一切記載されていない。
 したがって、本願新請求項4は、引用文献2に対して進歩性を有している。

拒絶査定
 ・・・日付けで提出された手続補正書によって、請求項1に係る発明においてレーザ光が正規分布であること、およびその焦点距離及び焦点径を一定に調整することが限定された。
 しかしながら、レーザビームによって対象物の加工を行う際に、当該レーザビームの強度分布を正規分布とすることは、当業者にとって技術常識である(必要であれば特開2002-241141号公報【0026】段落、特開平04-203617号公報第3頁左下欄、特開平07-146448号公報【0006】 段落を参照。)。
 そして、上記拒絶理由通知書において通知した引用文献1(特開2003-077388号公報)には、レーザビームの強度分布が明記されていないが、上記技術常識を採用して、正規分布とすることに、格別の技術的困難性および阻害要因は認められない。
 また、引用文献1には、加工中においてビームの焦点距離及び焦点径を積極的に変化させることは記載されておらず、また、加工中にはできるだけ加工条件を変化させないことは当業者にとって周知の技術的事項であるから、引用文献1記載の発明において、加工中にビームの焦点距離及び焦点径を一定に制御することは、当業者であれば容易に想到しうることである。
 なお、上記手続補正書と同日付けで提出された意見書において、出願人は、「引用文献1の発明において用いられているエネルギービームは、照射により基板に対しほぼ垂直になるエッジを形成していることから、照射面に一様なエネルギー分布を有するものを用いているのであって、本願発明のように『正規分布のレーザービーム』を照射するものではない。」(主張1)、「引用文献1を参照しても、上記のように、エネルギービームを照射することにより、基板に対して垂直な『エッジ』を形成することができることが記載されているのみであり、本願発明のように、レーザービームが正規分布であることおよび焦点距離等を調整することによって突出体の傾斜角度を調整することができることは引用文献1には一切記載されていない。」(主張2)と主張している。
 主張1について:
 引用文献1には、レーザビームの強度分布に関する記載はなく、正規分布以外の分布のレーザビームを射出するような特殊なビーム源を用いていることも記載がされていない。
 また、引用文献1において、基板に対してほぼ垂直なエッジを形成するための方法として、正規分布のレーザビームを用いて、無限遠の焦点距離すなわち平行ビームを照射することによって形成する方法も考えられることから、引用文献1に基板に対してほぼ垂直なエッジが形成されるとの記載があることが、引用文献1記載の発明におけるレーザビームが正規分布ではありえないことの証拠とはならない。
 したがって、上記主張1は、引用文献の記載に根拠をおくものではないため、採用できない。
 主張2について:
 本願の請求項には、焦点距離等を調整することによって、突出体の傾斜角度を調整することは、限定されていない。
 また、出願人が主張する【0041】段落の記載は、エネルギービーム加工面が基板とほぼ垂直になるようにした場合におけるエッジの説明であって、【0074】段落の「ここでいうエッジ形状とは、…角をつくるという意味である。角が鋭利であるほど電界のエンハンスには有効である」との記載を参酌すれば、引用文献1記載の発明は、エネルギービーム加工面が基板にほぼ垂直となるものに限定するものではないことは明らかである。
 したがって、上記主張2は、引用文献の記載に根拠をおくものではなく、しかも、請求項の記載に根拠をおくものではないため、採用できない。
 なお、請求項1の「焦点距離および焦点径を一定に調整して照射」との記載について、焦点距離を一定に調整することは当初明細書に記載も示唆もされていないこと、「レーザビーム径を一定として考える」との記載からは、実際にレーザビーム径を一定に制御していなくともレーザビーム径を一定であると仮定してその他の調整を行うなどが考えられるため、実際にレーザビーム径を一定となるように何らかの制御をしていることは自明であるとはいえないこと、という2点において、特許法第17条の2第3項の規定に違反するという新たな拒絶の理由が生じている点にも注意されたい。
 なお、当該補正によって追加された請求項である請求項2については、ビームで対象物を加工する場合に、ビームと対象物とを相対的に移動させながら加工を行うことは、当業者にとって周知の技術的事項であるため、上記引用文献1記載の発明においても、レーザーと基板とを相対的に移動させながら加工を行うことは、当業者であれば容易に想到しうることである。
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米原まで

2025-05-27 20:56:56 | ツーリング
5月18日の日記

この日は米原

時間短縮のため名神高速使う。

米原で下りた

三島池

池を挟んで伊吹山の景色が映えるところ。

天候のため、うっすら。

まあ、仕方ない。雨降ってこなかっただけ、まし、として置こう。





近くの三島神社にお参り。





神社近辺からに池と山





見どころの目的は、ここのみだったので、池を眺めた後は、帰る方向。

彦根からR308を南下のルート

途中の道の駅にて休憩。

お米置いてあったら購入しよう。

しかし、なし。替わりに、イチゴ買ってしまった。

飯時になったので、道の駅内にあったピザ屋のピザを頂く。

Pizzeria UNO

地元野菜のピザ。







予め決めないで、行った先で一番美味そうなものを引き当てる、、そういう方針でツーを楽しむ。

飯の後は、さらに、同国道を南下。

道の駅にて休憩。

ここは、より人で賑わうので、お米ないやろな、と思ってたら、コシヒカリがあった。

ちゃっかり購入。

大阪のスーパーより100円ほどやすい。

買う方の目的も達したので、その後は、信楽を経て帰宅。

走行距離 274.9km
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