弁理士近藤充紀のちまちま中間手続89
拒絶理由
新規性
刊行物1の請求項7-請求項9、請求項17、請求項18、18頁1-8行、図8を参照。
又は、刊行物2の0013、0014、0020、図1を参照。
進歩性
刊行物1の請求項7-請求項9、請求項17、請求項18、18頁1-8行、図8を参照。
又は、刊行物2の0013、0014、0020、図1を参照。
<拒絶の理由を発見しない請求項>
請求項2に係る発明については、現時点では、拒絶の理由を発見しない。拒絶の理由が新たに発見された場合には拒絶の理由が通知される。
意見書
引用文献1には、その図8に示されるようなディスプレイが開示されている。図8において、引用文献1のディスプレイが、カソード電極(74)、アノード(88)、エミッタ(78)、リン光体層(86)、絶縁体(80)を有し、これらが、それぞれ、本願のカソード電極、アノード電極、電子放出素子、蛍光材層、球状絶縁体に相当している点で、引用文献1に記載の発明と本願請求項1に係る発明とは一致している。
しかしながら、本願請求項1では、絶縁体の形状を球状に特定しているのに対して、引用文献1の絶縁体ではそうなっていない点で、両発明は相違している。
本願請求項1のように絶縁体の形状を球状とすることにより、電子放出部材を曲げた際にカソード電極とアノード電極の接触を防ぐことができ、また電子放出素子から放出される電子が球状の絶縁体の球面に沿ってアノード電極に向かって進む沿面放電現象によりアノード電極への電子の到達が効率よくなされ、電子放出素子が全体にわたって均一な電子放出をすることができるという効果が得られる。このような効果は、絶縁体が球状でない引用文献1のディスプレイでは得ることができないものである。
引用文献2には、その図1(a)に示されるような表示素子が開示されている。図1において、引用文献2の表示素子が、陰極(6)、陽極(2)、電子放出部(5)、発光体(3)、絶縁体(4)を有し、これらが、それぞれ、本願のカソード電極、アノード電極、電子放出素子、蛍光材層、球状絶縁体に相当している点で、引用文献2に記載の発明と本願請求項1に係る発明とは一致している。
しかしながら、本願請求項1では、絶縁体の形状を球状に特定しているのに対して、引用文献2の絶縁体ではそうなっていない点で、両発明は相違している。
本願請求項1のように絶縁体の形状を球状とすることにより、電子放出部材を曲げた際にカソード電極とアノード電極の接触を防ぐことができ、また電子放出素子から放出される電子が球状の絶縁体の球面に沿ってアノード電極に向かって進む沿面放電現象によりアノード電極への電子の到達が効率よくなされ、電子放出素子が全体にわたって均一な電子放出をすることができるという効果が得られる。このような効果は、球状でない引用文献2の表示素子では得ることができないものである。
以上において説明したように補正後の請求項1は、引用文献1または2と同一ではなく、また、これらに基づいて容易に想到することができるものでないので、新規性および進歩性を有する。
新請求項2および3は、新規性および進歩性を有する新請求項1の従属項であるので、当然、これらも新規性および進歩性を有している。
したがって、本願発明の拒絶理由は解消した。
特許査定
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