弁理士近藤充紀のちまちま中間手続61
拒絶理由
新規性
刊行物Aには、熱分解ガス化工程中にプラズマを発生させるガス化方法が記載されている。また、刊行物B(特に実施例参照)には、ガス化工程で発生したガスをプラズマで処理することが記載されている。
進歩性
理由1.参照。
改質工程においてプラズマを発生させることも知られている(刊行物C、例えば図24参照)から、熱分解生成ガスを改質する際にプラズマを発生させることに格別の創意を要するものとは認めることができない。
また、プラズマの発生源として水蒸気を使用することは刊行物Dで知られている。そして、生成ガスからの回収熱を使用して原料を乾燥することは当該技術分野で普通に行われていることにすぎない(例えば刊行物C第14頁「乾燥のための熱源は、・・・熱回収工程Bで生成ガスから回収された熱を用いても良い」)し、反応工程で発生した水蒸気をプラズマ作動ガスとして用いることは、当業者が通常の創作能力を発揮して実施する程度の事項に過ぎない。これらの点を、刊行物A、Bに記載の方法で実施することに格別の困難性が存するものと認めることができない。
意見書
引用文献Aには、熱分解ガス化工程中にプラズマを発生させるガス化方法が記載されている。
しかしながら、引用文献Aでは、プラズマを発生させるためのプラズマ作動ガスとして、メタンガス、エタンガス、天然ガス、プロパンガス等が開示されている(段落[0010])が、本願発明の「水素、酸素、空気および上記改質により得られる改質ガス」は開示されていない。
引用文献Bには、ガス化工程で発生したガスをプラズマで処理することが記載されている。
しかしながら、引用文献Bでは、その第2頁右下欄5~6行「プラズマ発生器内で加熱された」、同12~13行「プラズマ発生器内で加熱される」、第3頁左上欄9~12行「後続の反応室における温度を高くすることによって、ガス中に存在する重炭化水素が実質的に完全に熱分解される」とあるように、この引用文献Bにおけるプラズマ発生器は、熱分解の対象となる重炭化水素に高エネルギーの熱を与えるための加熱手段として用いているのであり、また、引用文献Bにおける処理は、熱分解処理である。プラズマ作動ガスから発生されたプラズマによって熱分解生成ガスを改質することは引用文献Bには全く開示されていないし、それを示唆する記載もない。
引用文献Cには、改質工程においてプラズマを発生させることが記載されている。
しかしながら、引用文献Cには、プラズマを発生させるためのプラズマ作動ガスについて一切記載がない。
引用文献Dには、プラズマの発生源として水蒸気を使用することが記載されている。
しかしながら、引用文献Dには、プラズマ作動ガスとして、「水素、酸素、空気および上記改質により得られる改質ガス」を用いることは開示されていない。
以上に説明したように、引用文献A~Dのいずれにも、プラズマ作動ガスが「水素、酸素、空気および上記改質により得られる改質ガス」であることは開示されていない。水蒸気と本願発明により規定される水素等のプラズマ作動ガスは、全く異なる物質であり、水蒸気をプラズマ作動ガスとして用いるという知見に基づいて、本願発明において規定されている水素等をプラズマ作動ガスとして用いることに想到することはできない。
したがって、本願発明は、引用文献AまたはBと同一でなく、さらに、引用文献A~Dに基づいて容易に発明をすることができたものではないので、本願発明は新規性および進歩性を有する。
拒絶査定
刊行物C第13頁下から第8行~第14頁第6行、図24には、生成ガス(有機物の熱分解により生成したものであることは明らかである)から腐食性ガスを除去した後に、改質工程を行うこと;低温プラズマを利用した改質を行うことができることが記載されている。
ここで、刊行物Cには、出願人も意見書で主張するように、「プラズマを発生させるためのプラズマ作動ガスについて」の記載はない。しかしながら、どのようなものをプラズマを発生させるためのプラズマ作動ガスとして利用するかは、当業者が通常の創意工夫により検討する事項に過ぎないものであると認められ、また、刊行物Aには「(プラズマアークを形成する電極が配設された炉の)熱分解ガス排出口から排出された熱分解ガスの一部を、プラズマ作動ガスとして供給する作動ガス循環装置」との記載があって、プラズマの存在下に熱分解されたガスをプラズマ作動ガスとして使用することが知られているから、プラズマにより改質されたガスをプラズマ作動ガスとして改質炉で使用することを想到することに格別の困難性があるものとすることができない。また、本願請求項で規定する特定のものをプラズマ作動ガスとして使用した場合にのみ、当業者に予想外の格別顕著な効果を奏するものとは、本願明細書の記載から認めることができない。
開示されていない、、からの●●●なので、容易に想到できない。。
今回の対応は、●●●の部分の記載が足りていない、と思いつつ作成したところ、やっぱり悪い予想の通りの結果になった。
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