弁理士近藤充紀のちまちま中間手続15
拒絶理由 進歩性
・・・ボイラの技術分野において、ボイラの運転停止中に硫酸結露による 腐食を防止することは、ボイラの形態に関わらず自明の課題であるから、刊行物 1記載の上記技術事項を、刊行物2記載の発明のような排熱回収ボイラに採用す ることは、当業者であれば容易に想到し得たことと認める。
意見書
引用文献1では、蒸気が供給されているものの、その供給先が上ドラムであり、硫酸等による腐食を防止するのに必要な温度以上に保持することは、このドラムから循環される水による熱交換による。したがって、引用文献1では、蒸気による熱交換は上ドラムの水面のみで行われているので、本願請求項1のように、効率的かつ計算通りに硫酸の結露を防止する温度以上に保持することは困難である。
引用文献2には、本願請求項1のような「低圧ドラムの圧力が規定値まで下がった時に・・・蒸気を低圧蒸発器の降水管に供給して、該降水管を経た後に該・・・蒸気が低圧ドラムおよび管群に供給されるようにし、また、高圧ドラムの圧力が規定値まで下がった時に・・・蒸気を高圧蒸発器の降水管に供給して、該降水管を経た後に該・・・蒸 気が高圧ドラムおよび高圧節炭器の管群に供給されるようにすること」については開示されておらず、示唆する記載もない。
したがって、引用文献2では、非常に効果的な熱交換がなされ、非常に効率的かつ計算通りに硫酸の結露を防止する温度以上に保持することができない。
引用文献3には、本願請求項1のような「・・・」については開示されておらず、示唆する記載もない。(引用文献2と同様の説明)
上記に説明したように引用文献1~3のいずれにおいても、「・・・」に ついては開示されておらず、示唆する記載もない。
特許査定
拒絶理由通知の「課題」の捉えかたについては、疑問がある。一般的な自明な課題の有無ではなく、手段につながるような「課題」が引用文献1にあったのか?
また、刊行物 1記載の上記技術事項を、刊行物2記載の発明のような排熱回収ボイラに採用す ることは、当業者であれば容易に想到し得たことと認める。・・・だと、刊行物1が主発明のはずのところ、逆になっている。
大雑把な拒絶理由への対応のため、かなり懇切丁寧に反論しなければならなくなった。