「タンゴ・冬の終わりに」開演14:00@シアターコクーン
作:清水邦夫
演出:蜷川幸雄
出演:堤真一、常盤貴子、秋山菜津子、毬谷友子、高橋洋、月川悠貴、岡田正、
塚本幸男、新橋耐子、沢竜二、品川徹、段田安則
ほんまに苦手な蜷川演出。
旦那は私に輪をかけて苦手のようです。
それでも毬谷さんが出るので、チケットを用意して、えっちらおっちらと出かけました。
土曜の昼間に109から地上に出ると、10代~20代前半くらいの若い女の子がわんさか。それに引き寄せられるように若い男どもも。
それを見ただけで萎える旦那と私。
渋谷って場所がどうにも苦手な今日この頃です。
自力ではチケットを取ることができず、ヤフオクで入手したコクーンシート。
座席に深く座ると舞台が見切れてしまう!!
で、浅く腰掛けての3時間となりました。疲れる・・・。
幕が開くと同時に、観客席に大勢の役者たち。
笑い、叫び、泣き、嘆く・・・。
なんなんだ、これは。
この「タンゴ」という演目は有名な戯曲のようですが、私はまったくの初めてだったので、役者の人数にビビりまくりです。
実家である古びた映画館に逃げ込むように帰ってきた売れっ子役者(堤真一)とそれを追いかけてきた妻(秋山菜津子)、映画館を切り盛りしてきたのは弟(蜷川作品ではおなじみの高橋洋)。
だんだんとおかしくなっていく堤真一の演技は見ごたえがありました。
とくに東京から追ってきた女優(常盤貴子)とさらにそれを追ってきた女優の夫(段田安則)が来てからの二幕目は堤真一の演技だけに注目。
秋山菜津子や段田安則はさすがにうまいけど、それ以上でもない。
常盤貴子は好きな女優ですが、今回コクーンのキャパに声が足りないのか、張り上げた声が哀れでした。
TVや映画ではまったく気にならないし、シアターアプルの
「砂の上の植物群」でも気にならなかったのに(マイク使用だったのかなぁ)、今回の常盤ちゃんには正直ガッカリでした。
そんな常盤ちゃんですが、堤真一とタンゴを踊ったシーンはよかったです。
白いドレスと足さばきにうっとりしました。
結果としては、堤真一の魅力(経験上、タイプじゃないはずなのにこの手の男にどうしようもなく弱いこまったちゃん。です)、そして演技力と声のすばらしさを再認識しただけの芝居でした。
あ、あと戸川純ちゃんの「蛹化の女(むしのおんな)」がかかってビックリ!
こまったちゃん。が高校生のころかなー。
戸川純ちゃんや彼女のバンドヤプーズが好きでよく聞いていました。
ヤプーズの命名はやっぱり沼正三「家畜人ヤプー」からですかね~。
あの狂った本は大学1年のときに文学(一般教養)の夏休みの課題で読みました。
「蛹化の女」を口ずさむことはほとんどないけど、「さよならを教えて」はよく歌ってしまいます。
♪さよならを教えて♪
私は待っているわ 愛してくれるまで
あなたを待っているわ さようなら
いつでも待っているわ 愛してくれるまで
あなたを待っているわ さようなら
「たとえ大惨事が起きて濁流が走り街中が廃墟と化しても
シェルターの重い扉を開けてあなたを呼ぶ私!」
私は待っているわ 愛してくれるまで
あなたを待っているわ さようなら さようなら
「たとえ私が事故で死んでもホッとしちゃいけない
幽霊になって戻ってくるわ あなたの名前を呼ぶために!」
私は待っているわ 愛してくれるまで
あなたを待っているわ さようなら さようなら さようなら…
さて、お目当てだった毬谷さんですが、弱視の掃除婦の役でした。
出番も少なく、本人がメルマガで「こっちより「源氏物語“百花繚乱”『若紫』」をオススメ」というようなことを書いていたのも理解できました。
以下、メルマガから
「タンゴ.冬の終わりに」は蜷川幸雄さんの演出で出演者も豪華絢爛であります。
ただ、私が演じる信子という謎の女性はほとんどしゃべりません。
ロンドンですら成功しなかったこの役をどうしても毬谷にやってほしいという
蜷川さんのお願いではありますが、びっくりするくらい少ない出番なのです。
パンフレットの彼女のページにも「でも蜷川さんはきっと、何らかの意味があって私にこの役を振ってくださってるはずなんです。だから、逃げたら一生後悔する。そう思って、今もこうしてもがいています。」と書かれていました。
彼女がこの役を苦痛をもって演じていたのではいかと心配になりました。
出番が少なくとも「8人の女」の色気たっぷりの謎多き女みたいな役だったらいいんだけど。
それでも帰りにポスターの毬谷さんを指差して「この女優さんっていったい何者?」と連れの方に聞いている女性を見て、彼女を知らなかった人にも彼女を強く印象つけることになったのだと思い、嬉しかったです。
私としては、次回の舞台に期待します。