九重自然史研究所便り

昆虫採集と観察のすすめ

2.琵琶湖博物館のハンノキからニトベシャチホコ?幼虫発見

2015-09-22 21:43:10 | 日記

2.琵琶湖博物館のハンノキからニトベシャチホコ?幼虫発見
 9月18日、そのシャチホコガ幼虫は終齢に達したらしく、体長44mmになり、9月21日に葉を少し綴って前蛹となった。図版1~3は側面、やや側面および背面から撮影した写真である。また写真4は頭部と第2胸節の拡大で、その節は明らかにPeridea属幼虫に間違いない。またハンノキのシャチホコガ幼虫はネスジシャチホコ幼虫と体形などがよく似ているが、ただこの属の既知幼虫は白い線からなる顔面の線状斑紋を持っており、今回のような黒い線状紋を持つ種は知らない。ルリモンシャチホコ顔面の線状紋は赤だし、ニトベシャチホコの顔面の線状斑紋は唯一黒いが、この種は体側の斜状紋がないように見える。つまりこの幼虫は羽化するまで同定できない。

1.琵琶湖博物館のハンノキからニトベシャチホコ?幼虫発見

2015-09-22 21:38:30 | 日記

1.琵琶湖博物館のハンノキからニトベシャチホコ?幼虫発見
 琵琶湖博物館で発生したオナガミズアオ幼虫を飼育中、時々、武田滋さんが、生活工房の中川さんに連絡に行き、ついでに食樹ハンノキの枝を切って届けてくれた。2015年9月10日、その葉を食べている体長20mmの幼虫(図版の写真1~2)を届けてくれた。翌朝その幼虫を調べると背面に幅広い背線があり、体側に斜線を連ねた緑色の幼虫で、ヤガ科のクチバ類かあるいはもしかするとシャチホコガ科の1種と思われた。
 9月15日朝、その幼虫は脱皮し体長約40mmになった。写真1~2では第二胸節側面に黒い部分があり、Peridea属のシャチホコガの1種らしいとわかった。体側の斜線は前の体節から始まり黄色で次の体節の気門付近で細くなり消える。斜線の上半分はピンクを帯びている。また背線中央部に赤い細線が走っている。また第2胸節に黒い斑紋があり、それは背面から撮った写真では側方に張り出しているように見えた。

甲賀市みなくち子どもの森にアトヘリアオシャク産す

2015-09-22 18:52:38 | 日記

甲賀市みなくち子どもの森にアトヘリアオシャク産す
 2015年9月19日(土)滋賀県甲賀市みなくち子どもの森を同自然館の河瀬直幹さんと琵琶湖博物館の武田滋さんと調査した。私は幼虫の調査を担当したのだが、あまり収穫はなかった。武田さんは叩き網法(樹木の小枝の下で網や布で受け別の棒でその小枝を軽く叩き止まっている虫を落とし捕らえる方法)で木の枝を丁寧に叩き虫を採っている。私も九重山系地蔵原で散歩のとき、この方法を使った。私の場合は少し長い目の柄がついた網を手が届かない小枝にかぶせて激しく揺すってから網の中を覗くやり方だ。甲虫やカメムシなど様々の虫をその方法で採集した。もちろんガの幼虫も採れたが、地蔵原のような昆虫の多い場所ではガの幼虫調査法として、散歩中に木の枝をそっと引っ張り、曲げて葉の裏側を見る方法を主に用いた。この方法だと調べたことがある虫の生活を乱さず、まだ飼育したことがない幼虫だけを捕らえ持ち帰ることができるからだ。
たまたまカジノキの葉を二つ折りした巣があり、まだノメイガ幼虫が入っている巣ともう一つ蛹が入っている巣を発見した。当然、同種の蛹と幼虫だと信じて持ち帰った。9月21日幼虫は前蛹に蛹からはアトヘリアオシャクが羽化した。
 ハンノキにはオナガミズアオ幼虫やミドリシジミのようなその植物しか食わない種があるらしい。アトヘリアオシャクも図鑑にはハンノキの固有種であると出ている。実際、その通りでそのカジノキ枝と背丈の低いハンノキが絡み合っていた。だから蛹化前に移動中のアトヘリアオシャクがカジノキの葉にあった巣に入り込んで蛹化したらしい。ちなみに甲賀市の「みなくち子どもの森年報第5号」には同地の既知昆虫目録も出ているが、アトヘリアオシャクは出ていない。ハンノキにつくオナガミズアオ、ミドリシジミ両種は搭載されている。