チビスカシノメイガGlyphodes duplicalis Inouw, Munroe & Mutuura, 1981は最近やっと新しい図鑑に掲載されるようになった。たまたま2015年8月12日、私がこの博物館に寄贈した標本に博物館の番号を付ける作業を手伝ってくれている武田滋さんが、昼食時に生活工房の中川さんと採集にでる打ち合わせに出かけ、帰りに庭でカジノキの葉を折って作った繭を見つけた届けてくれた(写真1左側の葉の一部が折れ曲がり白い裏面が見えている部分が繭である)。私はそれをクワノメイガの蛹だと思っていた。 しかし8月20日羽化した蛾はそれとは違い、チビスカシノメイガであった。残念ながら羽化時に翅が伸びず、展翅がうまくできなかった。しかし今回羽化したもの(写真2)は明らかにクワノメイガではなかった。そこで私の所持しているクワノメイガと同定した標本(写真3)を比較のため並べた。ところが写真3もクワノメイガではなく、これもチビスカシノメイガで、2002年9月8日大分県九重町地蔵原の九重自然史研究所の灯火で採集したものだ。
私は地蔵原高原の昆虫を2005年ころまでファイルメーカを使って写真付きのファイルを作って整理していた。そのファイルに登録された種数はすべての目を含めると4000種近くになったと思う。しかし次第にその作業をしなくなり、自然観察と執筆に専念するようになった。
上に書いた博物館の番号付けはもうノメイガ類を終わっており、多分10頭ほどの標本がすべてクワノメイガとして登録されたことになる。番号付けは、昔、30年ほど前同定してその種名ラベルの下に並んでいる標本をその種名でどんどん登録した。だからそれについている種名ラベルが正しいかどうかわからない。35000点の標本をいちいち同定を見直しながら種名ラベルをつけているといつになっても番号付けが終わらない。今は番号付けを優先して、一刻も早く全標本の番号をつけたいと考えている。ただ今住んでいる滋賀県の昆虫に関する記事はこのシリ―ズで書くことにする。