九重自然史研究所便り

昆虫採集と観察のすすめ

琵琶湖博物館で発生したオナガミズアオ後日談3

2015-09-17 23:42:28 | 日記

琵琶湖博物館で発生したオナガミズアオの経過3
 オナガミズアオの各齢の幼虫を見ることができたので写真を示す。1~2は2齢と思われ15mmほどである。3は20mmほどの3齢幼虫である。4は第2型の4齢幼虫である。飼育がほぼ終了したころ前に写真を示した卵が孵化した。まさか孵化するとおもわず、もちろん餌も与えていなかった。成虫は誰も見ていないが、おそらく毎年この場所で発生しているのではないかと思われる。最初の幼虫を見てから時間が経つし、さまざまの時期の幼虫がみられるので、複数の成虫がこの場所で産卵したと思われる。


琵琶湖博物館で発生したオナガミズアオ後日談2

2015-09-17 22:38:55 | 日記

琵琶湖博物館で発生したオナガミズアオの経過2
 終齢幼虫は4~5日後、飼育容器内で、葉や枝をくっつけた繭を作った。終齢幼虫は50~60mmである。この種は繭が薄くヤママユのように頑丈でない。その代り繭表面が見えないほど葉や小枝で覆っている。図版の写真1は木の葉や小枝を除去しておいたので仕方なく普通の繭を作った。繭の長さは50mm前後で、蛹は45mm。5幼虫を蛹化させたが裸の繭はこの一つだけだった。小枝や葉が足りなかったので、特に糸を吐く量を増やした様子は認められなかった。今までヤママユガ科の幼虫を飼育したのに気づかなかったことがある。それは繭の中の蛹はよく動くことだ。容器に触れるとすぐゴトゴトと音を立てる。別の机におき私が無意識に刺激しないようにしても発音する。天敵に対しては繭ではなく枯れ葉と小枝の塊ですよ、ここには誰もいませんよ、と偽情報を発信するためせっかく偽装したのに自分からゴトゴト音を出すとは間抜けたやつだ。もしかすると鳥を追っ払うしかけなのだろうか。写真3は蛹である。5は北海道の羊ケ丘で1986年6月採集したオナガミズアオである。北海道ではオオミズアオの方が少ないようで、オナガミズアオが次々と飛来した。6は初齢後期の幼虫で黒っぽいが橙色の部分がある。


琵琶湖博物館で発生したオナガミズアオ後日談1

2015-09-17 22:27:57 | 日記

琵琶湖博物館で発生したオナガミズアオの経過
 先に琵琶湖博物館の庭のハンノキで見つけた幼虫は特に成長の早い1幼虫と2015年9月5日4齢となった4幼虫を飼育していた。この時点で二つの型に分けられることが判明した。一つは前報で写真を掲載した形で、その時点ではオオミズアオの幼虫と似ていた。それを第1型とすると第2型は黒化が進んだ型だが、体色全体は緑色のままであり、体表の隆起の根元の環状部が真っ黒になっている。この型はオオミズアオの幼虫では見たことがない。4幼虫のうち2幼虫がこの型であった。9月6日その4幼虫は前後して終齢になった。写真1は脱皮直後の第2型幼虫である。背面に白い長毛がありそれは側面写真では目立つ。写真2は背面、3は顔面である。