ゆらぎつつゆく

添島揺之歌集。ツイッター感覚で毎日つぶやきます。色調主義とコラボ。

ちはやぶる

2017-09-30 03:15:31 | 資料


At puissant
Kamo Shrine,
The Princess’ pine,
Though ten thousand ages pass
Will never change her hue!


ちはやぶるかものやしろのひめこまつよろづ世ふともいろはかはらじ    藤原敏行


枕詞をどう訳してあるかに興味がある。

Puissant とは、古英語で、有力なという意味の形容詞らしい。Puissanceというと名詞になって、権力という意味になる。

At puissantとは、神の御稜威において、という意味になるだろうか。



白雲の絶えてひさしき神よりのなみだのすぢをよりてなほさむ    揺之





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儚くて夢にも人を見つる夜は朝の床ぞおき憂かりける

2017-09-29 03:12:16 | 古今抜粋

儚くて夢にも人を見つる夜は朝の床ぞおき憂かりける    素性


昨日と似たようなテーマを選んでみた。

比べてみたらわかる。これは自分で自分の感慨を詠んだものだろう。

実際これと似た経験をしたのだ。



朝ぼらけ夢の名残をとらへむとまだ出でられぬ薄き床かな    揺之




コメント (10)
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思ひつつ寝ればや人の見えつらん夢と知りせば覚めざらましを

2017-09-28 03:13:12 | 古今抜粋

思ひつつ寝ればや人の見えつらん夢と知りせば覚めざらましを    小野小町


小町の作は、ほかの歌人の代作によるものである。

これは男性の歌人の作だ。ゆえにどこか技巧が硬い。

あの人をおもいつつ寝ればあの人の姿が見えただろう。夢と知っていたならば覚めなかったものを。

本人の経験によるものではない。女性の気持ちを男が想像して詠ったものだということは、簡単にわかる。



ぬばたまの夢にもかけてかのひとをみむと寝ぬれば空の月かな    揺之





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人のあやもたくみにけりなさかしらにわがみ野に伏しながめをる間に

2017-09-27 03:10:22 | 

人のあやもたくみにけりなさかしらにわがみ野に伏しながめをる間に



小町本歌取り





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夕日のコテージ

2017-09-26 03:15:20 | 絵画


ブルース・クレイン(1857-1937 )、アメリカ。


誰が住んでいるのだろう。人の気配がしない。

夕映えの小屋は、拒絶の壁の中に何かを隠している。

表向きは平凡な幸せがあるように見せながら、重い何かがある。

隠したい嘘を隠すために、人間は絶妙な平凡を作るのだ。


ゆふばえのしじまにぬるるかたいほの軒をとひにし鳥は何知る    揺之






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北西の風

2017-09-25 03:04:38 | 絵画


チャールズ・ハロルド・デーヴィス(1856-1933)、アメリカ。


風に乗って何かがやってくる。

あれはただの水蒸気の塊だと、先生には習った。

だがそうとは思えない、何かがいる。



かなたより見知らぬものの声を聞き空をあふぎて白雲を見る    揺之






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片糸をこなたかなたに縒りかけて逢はずは何の玉の緒にせむ

2017-09-24 03:12:27 | 古今抜粋

片糸をこなたかなたに縒りかけて逢はずは何の玉の緒にせむ    よみ人しらず


糸をあちこちにかけるように、ああだこうだと努力しているのに

あなたに会えないというのなら

それを何の玉につらぬく糸にできようか。

ひたすらあなたに会いたい。



あはむとて月の影さへ砕かむと出でぬる夜にまよひてしかな    揺之





コメント (2)
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初冬

2017-09-23 03:13:37 | 絵画


レナード・オクトマン(1854-1934)、オランダ、アメリカ。


あけぼのの空だろう。

冷たい冬の空気に日が差してくる時、人は柔らかい希望を感じる。

厳しい冬も和らぐことがある。

たとえ絶望的な世界が続いても、はてしない未来に、約束がある気がしてくる。



冬空のかなたに見えぬ鳥は飛び知らぬ神代のちぎりやあらむ    揺之






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浮島のごとき夢こそはかなけれ鵜の羽にさへゆらぐとぞ聞く

2017-09-22 03:02:14 | 

浮島のごとき夢こそはかなけれ鵜の羽にさへゆらぐとぞ聞く






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影の顔

2017-09-21 03:12:13 | 絵画


ジュリアン・オールデン・ウィアー(1852-1919)、アメリカ。

女の顔に影がかぶさっている。

見てはならないからだ。

月の裏側のように、人間には決して見てはならないものがある。

それを知ってはすべてが終わるという真実があるのだ。



久方の雲にまぎれて去る月のゆくへをとふな祭が終はる    揺之






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