忘れたきをさなのころのあやまちを老いてまたとふ悲しみの朝

忘れたきをさなのころのあやまちを老いてまたとふ悲しみの朝　　　　揺之

澄むみづのおもてに光る月影をひろはむとしし恋の思ひ出

澄むみづのおもてに光る月影をひろはむとしし恋の思ひ出　　　　揺之

風を読みけふのうれひを投げ捨ててあをさぎは飛ぶゆふぐれの空

風を読みけふのうれひを投げ捨ててあをさぎは飛ぶゆふぐれの空　　　　揺之

闇を刺す君の叫びをとほく聞きわがたましひは飛び急ぎゆく

闇を刺す君の叫びをとほく聞きわがたましひは飛び急ぎゆく　　　　揺之

流れゆくみづにひかりははねかへり涙にぬるる目にしみとほる

流れゆくみづにひかりははねかへり涙にぬるる目にしみとほる　　　　揺之

夢ならで君にあはむと花の野をまよふわが身のたよりなさかな

夢ならで君にあはむと花の野をまよふわが身のたよりなさかな　　　　揺之

粉をまくごとき星空あふぎみてかなしき神のまなこをさがす

粉をまくごとき星空あふぎみてかなしき神のまなこをさがす　　　　揺之

からつぽの心の籠に玉ひとつちひさく入れてしづかに鳴らす

からつぽの心の籠に玉ひとつちひさく入れてしづかに鳴らす　　　　揺之

夢の戸をあけてあひたき人を見て名をおらびては涙にさめぬ

夢の戸をあけてあひたき人を見て名をおらびては涙にさめぬ　　　　揺之

まぼろしにとほき君見る細月のゆふべの野辺にひとりたつ我

まぼろしにとほき君見る細月のゆふべの野辺にひとりたつ我　　　　揺之