日を浴びてひとり野をゆく君の背にたれにもいはぬ悲しみを見る
過ぎゆきてかへりみもせずみちのべにけふさく花をうしなひにけり
悲しみの石をまろめてかひのごと玉とせむとて胸に秘めにき
闇夜には心の星を目印として進みゆく人生の道
白百合の身を傾けて迷ひおほきわれにささやく強くあれとぞ
うすあをき薔薇の吐息を聞きとめてありてなき身のうれひをぞ知る
月ねぶる岩戸の窓に玉を投げ夢の中にもとどけとねがふ
夏葛の絶えぬ涙のもとたぐり胸にせつなき君への思ひ
高空を飛ぶ鳥のごととほきゆく君の背をおふわが心かな
竹林をあふぐまなこに光ふり風はとほりてひめごと語る
野に結ぶあまたの露に光入り昼にやすらふ星かとも見る
かしのみのひとり野をゆく君をおひともにゆかむとならびたりけり
なづなぐさうれひなきかとたづぬれば風にかすかに露を落とせり
とこしへの神のちぎりを身に浴びてけふもおのれをますぐにも生く
細道をひとりゆきつつ振り向けばあやしく赤きゆふぐれの月
とほき日のあやまちを悔いあをぞらを流るる雲に頭を下げしかな
あかつきの星を眺めてけふの日を生きゆくわれを振り立てもする
静寂の水面をわたる風の声胸に寄せ来るとほき思ひ出
在野の無名歌人です。当ブログの管理人は幽霊です。ばかなことをしたら、たたりますよ。
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