食いしん坊ケアマネ の おたすけ長屋!

困ったら、悲しかったら、ツラかったら、
「長屋付き合い」を始めようよ!
現代版人情長屋に寄っといで!

ある決意

2010-10-13 | ケアマネジャー
彼は、東京でも最も西に位置する市に生まれ育った。

その自然豊かな環境が、彼の優しさとおおらかさを育んだのかもしれない。

彼はいつもニコニコし、ゆったりと喋るのである。





しかし、昨日のケアマネ会議の後、二人で飲んだときの表情は、ふだんの彼と違っていた。

「三ヶ月か、もしかすると一ヶ月でツブれるかもしれない」

「でも、全然知らない人に、ウチのホームを任せてもうまくいくとは思わないし」

「仮に私がツブれても、若いスタッフが何かを感じ取ってくれればナ、と、思うんです」

彼はひどく思いつめた表情で、ポツリポツリと話した。



スタッフの協力関係が崩壊状態にある老人ホームと言うのは、実に陰惨なものである。

汚れたオムツのまま放置され、食事量も服薬もチェックされない。

そんな犯罪的な状況があらわれても、新人と能力の低いスタッフばかりではナスすべがなく、離職スパイラルに拍車がかかる。

彼は、その惨状をストップする役目を仰せつかった。

そこには恐らく「お人よしで人格者の彼なら断らないだろう」という判断もあったのだろう。

彼は引き受けたが、話を聞くと、充分な支援体制ができているとは思えなかった。

「死んじゃうよ、そんなふうに働かせられたら」

「さすがに、死ぬ前には辞めますよ」





家に帰って、ひとりでフトンに入ってみると、何だか悔しくて悲しくて仕方がなかった。








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