昨日会った友人は、相変わらず「佳く生きて」いた。
彼は、人並み以上の知力と体力と精神力のある男だ。
ただ、勤め人に要求される「組織で生き残るための演技」がどうにも苦手で、ずっとフリーの施術者として働いている。
彼と私にはいくつかの共通項があるが、そのひとつに「左目がほとんど見えない」というのがある。
私は生まれついての弱視なのだが、彼は、学生時代に友人の指が誤って目に入ったからだ…という。
「でもネ。それを言うと相手を責めるみたにになっちゃうからネ」
彼は、そう言って黙って被害を堪えている。
いや、「堪えている」のではなく、彼にとってはそれが自然な生き方なのだ。
他者を責めず、受け入れ、自分の力で乗り越えて生きてゆく。
私には、こういう友人が多い。
不器用で、富や社会的地位とは無縁だけれど、謙譲と自律心と教養はしっかり持っている。
決して他人を責めることはない。
そのぶん、人間の価値を知らない馬鹿な奴らは、ナメテかかろうとする。
そこで損な役回りを押し付けられやすいが、おうおうにしてそれを引き受けてしまう。
しかし、自分らしさに対する矜持は、しっかりと胸に収めている。
彼らこそ、もっとも良質な社会の構成要員であり、地の塩である。
こういう無名の戦士たちが、明治から昭和初期にかけての日本の近代化の礎となり、戦後の繁栄を築きあげてきたのだ。
ニューヨーク大学の構内の壁に、『ある無名戦士の詩』という碑が刻まれている。
これは南北戦争で戦死した、ある兵士が残した言葉だという。
私がこの詩を知ったのは二十年近く前のことだが、今改めて読むと、全く胸に迫るものがある。
大きなことを成し遂げるために 強さを与えて欲しいと神に求めたのに
謙虚さを学ぶように 弱さを授かった
偉大なことができるようにと 健康を求めたのに
より良きことをするようにと 病気を賜った
幸せになろうとして 富を求めたのに
賢明であるようにと 貧困を授かった
世の人々の賞賛を得ようとして 力と成功を求めたのに
得意にならないようにと 失敗を授かった
人生を楽しむために あらゆるものを求めたのに
あらゆるものをいつくしむために 人生を授かった
求めたものは一つとして与えられなかったが 願いはすべて聞き届けられた
私はもっとも豊かに祝福されたのだ
しかし、我が無名戦士たちよ!
クダラヌ連中の意のままに使われ、淋しく死んでいってはいけない。
ぜひ、戦い続けてきた我々にふさわしい場所を設け、体と魂を休めようではないか!
にほんブログ村
彼は、人並み以上の知力と体力と精神力のある男だ。
ただ、勤め人に要求される「組織で生き残るための演技」がどうにも苦手で、ずっとフリーの施術者として働いている。
彼と私にはいくつかの共通項があるが、そのひとつに「左目がほとんど見えない」というのがある。
私は生まれついての弱視なのだが、彼は、学生時代に友人の指が誤って目に入ったからだ…という。
「でもネ。それを言うと相手を責めるみたにになっちゃうからネ」
彼は、そう言って黙って被害を堪えている。
いや、「堪えている」のではなく、彼にとってはそれが自然な生き方なのだ。
他者を責めず、受け入れ、自分の力で乗り越えて生きてゆく。
私には、こういう友人が多い。
不器用で、富や社会的地位とは無縁だけれど、謙譲と自律心と教養はしっかり持っている。
決して他人を責めることはない。
そのぶん、人間の価値を知らない馬鹿な奴らは、ナメテかかろうとする。
そこで損な役回りを押し付けられやすいが、おうおうにしてそれを引き受けてしまう。
しかし、自分らしさに対する矜持は、しっかりと胸に収めている。
彼らこそ、もっとも良質な社会の構成要員であり、地の塩である。
こういう無名の戦士たちが、明治から昭和初期にかけての日本の近代化の礎となり、戦後の繁栄を築きあげてきたのだ。
ニューヨーク大学の構内の壁に、『ある無名戦士の詩』という碑が刻まれている。
これは南北戦争で戦死した、ある兵士が残した言葉だという。
私がこの詩を知ったのは二十年近く前のことだが、今改めて読むと、全く胸に迫るものがある。
大きなことを成し遂げるために 強さを与えて欲しいと神に求めたのに
謙虚さを学ぶように 弱さを授かった
偉大なことができるようにと 健康を求めたのに
より良きことをするようにと 病気を賜った
幸せになろうとして 富を求めたのに
賢明であるようにと 貧困を授かった
世の人々の賞賛を得ようとして 力と成功を求めたのに
得意にならないようにと 失敗を授かった
人生を楽しむために あらゆるものを求めたのに
あらゆるものをいつくしむために 人生を授かった
求めたものは一つとして与えられなかったが 願いはすべて聞き届けられた
私はもっとも豊かに祝福されたのだ
しかし、我が無名戦士たちよ!
クダラヌ連中の意のままに使われ、淋しく死んでいってはいけない。
ぜひ、戦い続けてきた我々にふさわしい場所を設け、体と魂を休めようではないか!
にほんブログ村
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます