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「胃ろう」という選択

2009-10-22 | 入居者、家族
「胃ろう」という栄養摂取法をご存知でしょうか?


これは、口から食事を摂れなくなった方が、チューブによって栄養を直接胃に入れる…という方法です。
もちろん、胃カメラを使った手術によって胃に穴を開けるのですが、施術そのものは数時間で終わります。

今年に入って、私のホームでは四人の方が胃ろうの施術を受けました。


胃ろうというものがあることは知っていましたが、ホームで実際に自分の目で見るまでは、どうもイメージが沸きませんでした。

というより、率直に言って「おぞましい」印象を漠然と抱いていました。
人間の最たる楽しみのひとつである「食べる」ということを止め、管で内臓に直接栄養を入れるとは、医療技術の進歩に任せた「延命行為」そのものでないか…と内心で感じていたところがあったのです。

しかし、高齢になると、いや、若くてもある種の機能障害を起こすと、どうしても正常にモノを噛んだり飲み込んだりできなくなります。

もちろん、そのままでは遠くないうちに死を迎えてしまう。
しかし、今や医療技術としては難しくない「胃ろう」を使って栄養を摂れれば、まだ何年も生きることができるかもしれない。
「さて、どう考えますか?」
と医師から問われたら、「お断りします」と言うほうがむしろ困難な選択かも知れません。

実際、どのご家族も最初は、
「何もそこまでして生きなくても、もう充分に生きて来ましたから」
と、おっしゃることが多いのです。
でも、危険な手術ではないこと、それによって多くの人が生き永らえていること…という説明を受け、いっぽうに「何もしなければ確実に死が訪れる」という現実があるとなれば、考えも変わるものです。

そして実際、今年胃ろうにされた方々は、間違いなく死の淵から生還されて来ました。



ご家族も心中は複雑だと思います。
でも「生きている伴侶や老親に逢える」という喜びには、やはり掛け替えのない重みを感じます。

ただ、ご本人がどう感じてらっしゃるかは、発語を失っている方もいらっしゃり、本当のところは分かりません。

もし私の親だったらどうするか?もし自分自身だったら?
そんなことを考えることもありますが、答えは出てきません。

死生観や身体状況はむろんのこと、経済状況も強く関わる問題だからです。


もうすぐ、今年で五人目の方の施術が予定されています。





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