第93話. 半島の現状とトランプ政権(2) Darkest Hour

2018-04-30 16:40:21 | ★政治 外交 歴史
湖畔人です。

半島の未来と日本の未来ですが、米朝会談が3、4週間後に実施との事で、それまではゴチャゴチャ心配しても始まらないですが、残りの期間、日本政府には米政府への釘差しを頑張ってもらうしかありません。

ただ、やはり懸念が多いですね。
半島からの米軍撤退も議論のテーブルに載せる用意があるとマティスさんが発言していますが、甘いと思います。もし金一族が今後も継続して国を率いる場合は、北がおとなしいのはトランプ政権の間だけで、米軍が半島から撤退しトランプ政権が一期で終われば手のひら返しが必ず起き、北は南に侵攻し、北主導の統一朝鮮が現れるはずです。まだ日本に米軍がいれば、まだ良いにしろ、それでも再度半島をめぐる大規模な朝鮮戦争が起きる可能性が高いのです。それは米中の代理戦争となり、今北を攻撃するよりずっと戦闘が大規模で状況が難しくなっている事でしょう。これにロシアが参戦すれば、米国は手出しが出来ず、日本からも撤退するかもしれません。そうなると、日本はお仕舞です。残念な事に日本の周辺は中朝韓と言う反日国家だらけだからです。
ダーケストアワー(邦題:ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男)で描かれた四面楚歌のUKと似た状況が現れるはずです。私がよく参照する保守系のオンラインオピニオンサイトも現在の世界の状況と当時のUKの類似性を指摘しています。
ヒトラーが1933年に首相に就任した頃、UKでは、軍事力縮小で平和を実現しようを言う機運が高まっていたようです。後の英外相は、“当時の英国民は自分たちが『戦争は悪』と言っているのだから他の国の皆も同じ考えを持っているに違いない、と、そう信じて疑わなかった"、と言う趣旨の事を述べており、1933年当時のボールドウィン首相も、当時を振り返り、「(再軍備を訴えたところで)当時この平和主義を唱えている民主国が、その叫びに呼応したと誰が思うか?」「これ以上に選挙の敗北を招くものが、他にあろうとは思えない」と述べていたようです。国の安全保障より、党の国民からの支持率を優先した結果招いた国の窮地だったのです。まるで、国民の支持率を気にして9条放棄すら言えない今の日本政府と酷似しています。時代的雰囲気も、政治家が人気を気にして本質に踏み込めない点も、今の日本にそっくりです。
その後、ヒトラーは十分に準備をし、戦力を整え行動を開始します。
3年後の1936年には、第一次大戦後に軍を置かないと約束をしていたラインラント非武装地帯に軍を進め進駐させます。ヒトラーは進駐後、「ヨーロッパに領土的野心はない」と表明し、25年の不可侵条約まで提案したため、英仏は安堵し、大して声も上げずそのままヒトラーを増長させます。ここで、英仏が厳しい対応をし、釘を刺せていれば、その後の第二次世界大戦まで事が大きくならなかったかもしれない、と言われているようですが、ヒトラーの野心を見抜けなかったわけです。その参照元のオピニオン誌の記事の筆者も、“まずは軍事力をちらつかせて緊張感を走らせ、その直後に、和平提案をして、安心感とともに受け入れさせる。これが、ヒトラーの手法だ。”と分析しています。まるで北のリーダーのようです。この点も類似点ですね。
この年ドイツはベルリンオリンピックを開催しています。そう言えば先日冬の五輪も半島で開催され北の参加も話題になりましたね。こうした比較的平和を連想させるスポーツイベントも事の本質を見えなくさせる方向に悪く作用する事もあるように見えますね。この点も類似点です。
しかし、一旦大人しくなったフリをしたヒトラーですが、その後、更に事を悪化させます。1938年、チェコの一地域に進攻し、武力による威嚇でオーストリアの併合にも成功します。欧州列強が集まったミュンヘン会談が行われるも、英仏は戦う事を選ばず、宥和政策を取り、当時の英国の首相チェンバレンは「ヒトラー氏が英国との友好維持に非常に配慮していると自分は信ずる」と語り、その宥和的対応は、当時の英国王他英国民から大変支持されていたようです。しかし、翌年、ヒトラーは、スロバキアの独立運動を契機にチェコを併合し、リトアニアの一部も併合し、英仏の黙認を宥和と捉え、更にポーランドへも侵攻し、それから第二次世界大戦へと繋がります。その後、デンマーク、ノルウェー、ベネルクス、フランス、と占領し、とうとう、1940年にはロンドンが空爆されます。いかに当時の多くの人々の見方が間違っていたか、民主主義の負の側面、間違った認識持つ多数の国民が国を窮地に陥れると言う典型的な例を見せています。民主党を政権に付けた日本の愚かな選択と一緒です。
ミュンヘン会談の宥和政策が間違いであり、ヒトラーの危険性を見抜いていたのは少数で、チャーチルもその一人です。その様子を見たチャーチルは演説で、「これが事の終わりと考えてはならない。これは清算の始まりにしかすぎない」と言い放ち、宥和賛成派からは、批判が殺到し、ヒトラーにも「戦争挑発者」と呼ばれていたようです。
結局、チャーチルが首相に就任した時には、ドイツ軍は欧州ほぼ全域を手中に収めており、巨大化し化け物と化したナチス軍との泥沼の戦争に突入しなければいけない状況でした。結果、イギリスの多くの都市が爆撃され、多くの若者が命を落としたのです。
チャーチルは、この戦いを振り返り、“この戦い程未然に防ぐ事が容易だった戦争はない“、または、”平和を求めたはずの穏便で事なかれ主義的な妥協的対応が如何に国と国民を滅亡の淵に導く事もありえるのか示す一例“と言う趣旨の発言を残しているようです。悪意を持つ敵国のリーダーへの毅然とした対応の必要性を我々に教えてくれているのです。
北と中共は危険です。その野心を隠すために微笑みを絶やさず様々な演出を仕掛けてはきますが、騙されてはなりません。南の文氏も同じく危険です。惑わされてはならないのです。後で私が“私の考え過ぎでした、私か間違っていました、彼らは良い人達でした”、と言える訂正文が書ければ良いのですが、まあ、無いと思います。

ノーベル賞が貰えると喜ぶトランプ氏も、半島からの軍の撤退を示唆するマティスさんも、楽観する訪朝した元CIA長官のポンペオ氏も、ちょっとその甘さが気になるのです。当てになるのはボルトンさんだけのように見えます。残り後3~4週間です。日本政府にもトランプ政権にプレッシャーを与え続けて頂くしかありません。頑張ってもらいましょう。
暫くは様子見ですね。

湖畔人

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