春夏秋冬 ~止まった時と流れる時~

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四季の変化が好き。

感じるままに、ありのままに。

坂東お遍路 初秋の大谷寺

2008年10月05日 | 坂東三十三箇所巡礼
宇都宮・大谷寺 大谷石の街

第十九番 天台宗 天開山 大谷寺(大谷観音)


810年弘法大師による開基。
古代人の横穴住居に建てられた本堂は、風化した石壁と不思議な調和が魅力。
大谷寺本尊の「大谷観音」は、岩彫りの高さ4mの千手観音で、日本最古の磨崖仏。
柔らかな大谷石に複雑な千手観音を彫るのは高度な技術が必要とされる。
さらに奥へ進むと、それぞれ時代の異なる「釈迦三尊像」「阿弥陀三尊像」「薬師三尊像」が並び、
堂内にある10体の磨崖仏は、国の特別史跡と重要文化財の二重指定を受けています。
江戸時代になると、徳川家康の娘亀姫が篤く信仰したことから、葵の紋がところどころ目に入ります。


入り口


石の彫刻たち







大谷石
2千万年前に火山活動により生まれた緑色凝灰岩で、宇都宮北西部の大谷一帯で採れる。暖かみのある肌合いが特徴で、軽くて加工がしやすく耐久性にも優れるため、様々な建造物に使われている。
( 宇都宮カトリック教会、帝国ホテルなど※玄関部は現在、博物館明治村に保存)


横穴住居に建てられた本堂






庭園


白蛇伝説が残る


銅製灯篭(1716年、河内郡新里村の住民の寄進により戸室元蕃が鋳造)



すぐ隣にある大谷石で作られた平和観音



境内は木々が色づき始めてました



秋晴れのとある日に、初めて「磨崖仏」を見た。
当時は金箔で飾られていたそうだが、火災によって剥がれ落ち、今では、僅かに造形のときに使われていたた漆や粘土が、僅かに残るのみ。

ぼんやりとした姿だが
それでも見た時は何か暖かな気分になった。

あえて斜めの岩肌に掘られ、遠近法を使い立体感を出す。
平安時代中期から鎌倉時代にこのようなこと考えられていることに、ただただ驚いた。

石に囲まれた街、大谷。
日本は普通木の家だが、この辺りのは石の家や蔵が昔ながらに残る。
違う文化に触れているようで、新鮮だった。

でも、多くの石材屋が閉業していて街自体の活気はの今イチだったのが残念。


そういえば一つ疑問に思ったことがある。
関東ではめずらしい大谷という石の街があるのに、すぐ近くの宇都宮城は土塁のお城。
凝灰岩は、石垣には向いていないのかな???

色づき始めた木々に、道に咲くコスモス、秋の匂いを感じた一日でした。


2008.10.3