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競基弘賞授賞式 3年ぶりに対面での表彰

2023-01-16 23:26:21 | ニュース
 NPO法人国際レスキューシステム研究機構(神戸市長田区)は、1月16日、第18回竸基弘賞授賞式を対面とオンラインのハイブリッド形式で開催した。対面での表彰は2020年以来3年振り。竸基弘賞は、阪神・淡路大震災で亡くなった神戸大の大学院生にちなんで設けられ、レスキュー工学を担う若手研究者や技術者を奨励するもの。今年度は、新型コロナウイルスも災害であると捉え、感染症やメンタルケアの専門家を対象に、医学部門と心理学部門業績賞の表彰も行われた。<笠本菜々美>

 竸基弘賞は、阪神・淡路大震災で亡くなった、当時神戸大自然科学研究科博士前期課程1年の竸基弘(きそい・もとひろ)さんにちなんで設けられた。

 震災から10年が経った2005年から始まり、今年で18回目。会場は、神戸市長田区の兵庫県立神戸生活創造センターの展示ギャラリーで、オンライン(Zoom)でも配信された。ここ2年間は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、オンラインでの表彰式が行われていたが、3年ぶりに対面で行われた。

 表彰式や受賞者の研究内容の発表の後には、震災当時競さんの所属する研究室の助教授だった松野文俊さんが、震災発生から今に至るまでの経緯を語った。


(画像:第18回竸基弘賞授賞式の様子。)

 震災当時は竸さんの所属する研究室の助教授だった競基弘賞選考委員会の松野文俊委員長(現在京大工学研究科教授)は、閉会の挨拶で、竸さんとの思い出と、竸基弘賞の設立の経緯を述べた。以下が、その経緯と思い出。
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 競君は優秀な学生で、「一緒に人と喜んで笑って、心を癒すドラえもんのようなロボットを作りたい」と話していた。彼の周りにはよく人が集まっており、青春を謳歌している様子だった。
 競君が所属していたシステム工学科の研究室では、毎年共通一次テスト(今でいう共通テスト)期間にスキーに行くのが恒例だった。地震が起きたのはスキーの翌日だった。
 私(松野委員長)は大阪に住んでいて、朝地震で目が覚めた。身の回りのものが倒れないように調整し、その後再び眠りについた。起床後、しばらくはテレビをつけても情報がなかったが、時間が経って電車が動いていないと知り、今日は出勤できないのではと思った。神戸に電話をかけても全く通じず、知人や同僚の状況がわからないので心配になった。しかし、その日は身動きできずに終わった。
 地震の翌日、阪急電車が西宮北口駅まで動くようになった。神戸大に行こうと思い、大阪の十三駅から西宮北口駅まで電車で行った。大阪はすでに普通の生活が戻っていて、何事もなかったようだった。しかし尼崎あたりから様子が変わり、道路が陥没しているのを見た。西宮北口駅で電車を降りると、線路のレールが曲がっているなど、酷い状況だった。ときには線路の上を歩いたりしながら、なんとか六甲まで歩いた。
 神戸大まで歩く途中、着の身着のままで大阪に向かって避難する多くの被災者を見た。神戸大の学生を含め多くの知り合いにあい、学生の安否を確認した。その中で、ある学生が競君について、「競君は大丈夫です。彼はがれきの中から這い出してきて、隣のおばあさんを助けて病院に送り届けたそうです。今は、彼にはバイクがないのでほかの学生の安否確認をしているのではないでしょうか」といっていた。そのため、競君は無事だったのだと思っていた。しかし、数日後、自宅に不思議なことを言う電話がかかってきた。「競君が亡くなった」という。私は「そんなはずはない。彼は大丈夫。生きている」と主張したが、「ご両親が遺体を確認した」という電話口の向こうで絞り出すような声を聞き、本当に亡くなってしまったのだと認識した。
 その後競君の葬式があった。学生にバイクで送り届けてもらい、三宮で競君の死亡診断書を受け取り、彼のご両親が住む名古屋に運んだ。お葬式の日は雨で、非常に寒かった。たくさんの学友や知人が来ていた。競君のお顔を拝見すると、やわらかい顔をしていた。彼の死を受け入れざるを得なかった。
 神戸大も避難所になり、入試シーズンや卒論などの仕事で今のことをやるのにしばらくは精いっぱいだった。それらが終わり、少し暖かくなって、競君が住んでいたアパートが取り壊されるということで、遺品を回収しに行くと、彼の歌声が録音されたテープなどが見つかった。数日たつと彼の住んでいたアパートが取り壊され、更地になったのを見た。そのころから「自分は何をやっているのだろうか。何かできることはないか」という気持ちになった。

 競君はドラえもんのような人を助けるロボット、人を癒すロボットが作りたいと言っていた。そこで、高森先生(現・国際レスキューシステム研究機構理事)、田所先生(現・同研究機構会長)とともにレスキュー工学の分野を立ち上げた。災害対応として、工学の分野は何ができるのか考え、本当に役に立つものをつくらなければならないと思っている。
 工学でできることは限られている。人の命を救う医学を、工学で支援できないか考えている。競基弘賞も数年前から心理や医学の部門を立ち上げている。
 競君は生きていれば50歳過ぎ。彼の思うとおりに行くかはわからないが、人を助けるような、あるいは人を癒すようなロボットを作っていきたい。

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(写真:震災発生時や、競さんについて話をする松野さん)

 今年度は、「学術業績賞」、「技術業績賞」、「医学部門業績賞」、「心理学部門業績賞」、「IEEE IROS 2022 Best Paper Award on Safety,Security, and Rescue Robotics in memory of Motohiro Kisoi」、及び「奨励賞」の表彰が行われた。学術業績賞には、「高強度化学繊維ロープの機械特性の解明と超長尺多関節ロボットアームへの適用」という研究で、東京工業大学の遠藤玄教授が選ばれた。また、東北大学タフ・サイバーフィジカルAI研究センター・フィジカル研究部門助教の渡辺将広さんが「ドローン輸送が可能な小型瓦礫内探索ロボットの観察」で技術業績賞を受賞した。

 研究機構は、2014年から5年に一度、医学部門業績賞、心理学部門業績賞の表彰を行っている。今年度は、新型コロナウイルスも災害であると捉え、感染症やメンタルケアの専門家を対象に受賞者が選出された。
「災害医療の手法を用いたCOVID-19のクラスター発生医療機関・福祉介護施設の支援手法の実践と普及による早期収束と防ぎうる死亡や悲劇の低減」で、国立病院機構本部DMAT事務局 新興感染症等対策課 専門職の赤星昂己さんが医学部門業績賞を、「日本社会における災害への心理職による継続的な支援枠組みの生成」で九州大学大学院人間環境学研究院講師の野村れいかさんが心理学部門業績賞を受賞した。

 赤星昂己さんは、「新型コロナウイルスでも、自然災害と同じような対応が求められる部分があった。」
その他に、IEEE IROS Best paper award SSRR in Memory of Motohiro Kisoiには、Eugenio Cuniatoさん、Nicholas Lawranceさん、Marco Tognonさん、Roland Siegwartさんが、奨励賞には大阪電気通信大学高等学校のチーム『DMS―誇』、産業技術短期大学 ロボットプロジェクトのチーム『TASUKE隊』、京都大学大学院工学研究科の冨山峻さんが選ばれた。表彰式で、受賞者はそれぞれの研究についての発表と、受賞に対する感謝の言葉を述べた。


(画像:表彰式での発表の様子)


共通テスト終了 神戸大で目立ったトラブルなし

2023-01-15 23:59:59 | ニュース
 2023年度大学入学共通テストが14、15日に実施され、2日目の午前は理科(1)と数学(1)、午後は数学(2)と理科(2)の試験が行われた。神戸大では11か所の試験場が設置され、志願者は兵庫県内で最大の3834人だった。神戸大では目立ったトラブルなく終了した。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、受験生には原則マスクの着用が求められた。<奥田百合子、佐藤ちひろ、尾畑陽貴>


(写真:試験を終えて帰宅する受験生。2023年1月15日18時ごろ。六甲台第1キャンパス正門にて。)

 神戸大の試験場では目立ったトラブルはなかった。神戸大学広報課によると神戸大での志願者数は3834人で、これは兵庫県内最大。各科目の受験者数は、1時間目の理科(1)は581人、2時間目の数学(1)は2915人、3時間目の数学(2)は2827人、4時間目の理科(2)の1科目目は2042人、2科目目は2318人だった。2日間で最も受験者が多かったのは外国語で、3485人だった。

 すっかり日が沈んだ18時すぎごろ、試験をすべて終えた受験生たちが神大正門前の大階段を下りてきた。ひとりで足早に帰る人もいれば、友人と談笑しながら帰る受験生も多く見られた。

 六甲学院3年生の男子生徒は「化学はあまり手ごたえがなかった。実験の問題がメインに出題されて難しく感じた」と肩を落とす。

 また別の受験生は「今日の試験は得意科目だったのでわりかし出来た。化学は(例年と比べて)計算が増えていた」と話した。


(写真:インタビューに応じる受験生。2023年1月15日18時すぎごろ。六甲台第1キャンパス正門にて。)
 
 

 新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的に、受験のために原則マスクの着用が求められたほか、消毒用アルコールの設置や三密回避の呼びかけなどが行われた。文科省は昨年、コロナ感染や濃厚接触で共通テストの本試験も追試験も両方受けられなかった人のために、各大学に救済措置を要請していたが、本試験と追試験との間に2週間あることや、療養期間が短縮されたことにより、今年は要請していない。

 また、昨年に大阪府の試験場で電子機器を用いた問題流出が起こったことをふまえ、大学(監督者)に対し巡視の際に確認すべきポイントをマニュアル等で提供する、監督者の指示でスマートフォンなどの電子機器を一斉に机上に出させて、電源を切らせてかばん等にしまわせることといった対策が行われた。東京都と静岡県では、それぞれ受験生が1人ずつ数学の試験中に定規を使って線を引いたとして失格となったと報じられている。


共通テスト始まる 神戸大では3834人が志願

2023-01-14 22:30:58 | ニュース
 2023年度大学入学共通テストの1日目が1月14日に実施された。午前に地理歴史公民、午後に国語、外国語の試験が行われた。神戸大では11か所の試験場が設置され、志願者は兵庫県内で最大の3834人だった。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、受験生には原則マスクの着用が求められた。<本多真幸、久保田一輝>


(写真:雨の中キャンパスに入っていく受験生。2023年1月14日、六甲台第1キャンパスの法・経済・経営学部試験場で撮影。)

 朝からの雨が降り続く中、傘を差した受験生が続々とキャンパスに入っていった。自分の試験場の場所が分からず、係員に尋ねる受験生の姿が見られた。大学入試センターによると、神戸大学広報課によると神戸大での志願者数は3834人で、これは兵庫県内最大。神戸大学広報課によると各科目の受験者数は、地歴公民の1時間目は524人、2時間目は3212人、国語は3354人、外国語は3485人、リスニングは3458人とだった。

 高校3年の女子生徒は、「授業ごとにこまめにアルコール消毒をしていた。第一志望の平均点に届くかすごく不安。好きなお菓子をたくさん持ってきたので、それで緊張を和らげたい」と話した。

 教え子たちの激励に来たという高校教員の男性は、「感染拡大の波が何度も来ており、受験生にはずっと検温表を配っている。コロナ禍で入学からいろんな意味で苦労してきた学年なので、最後の入試という場面では悔いなく終えてもらいたい。」と受験生を慮った。


(写真:配布される地歴公民の問題冊子を受け取る受験生。2023年1月14日、神戸大学六甲台第2キャンパスの工学部試験場で撮影。)

 新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的に、受験のために原則マスクの着用が求められたほか、消毒用アルコールの設置や三密回避の呼びかけなどが行われた。文科省は昨年、コロナ感染や濃厚接触で共通テストの本試験も追試験も両方受けられなかった人のために、各大学に救済措置を要請していたが、本試験と追試験との間に2週間あることや、療養期間が短縮されたことにより、今年は要請していない。


震災文庫 新たに16件の阪神・淡路大震災の関連映像を公開

2023-01-13 19:57:15 | ニュース
  神戸大学附属図書館は、1月12日、震災文庫デジタルアーカイブでサンテレビジョン撮影の映像を新たに公開したことを発表した。〈塚本光〉


(画像:震災文庫サイトのスクリーンショット)

 神戸大学附属図書館は、震災文庫デジタルアーカイブでサンテレビジョン撮影の映像を新たに16件公開した。

 今回公開された映像には、震災当日正午前の空撮映像や、当日の夜に生中継で放送された、須磨区大田町の火災現場と神戸市立西市民病院の映像などが含まれている。
また、インターネットでの公開が適切ではないと判断された映像も1件追加された。これらの画像は、震災文庫の室内設置端末での閲覧が可能。
 
「震災文庫」は、神戸大附属図書館の社会科学系図書館管理棟3階にあり、1995年の地震発生の3か月後から阪神・淡路大震災関連の資料の収集を開始し、保存している。

●デジタルアーカイブの視聴はこちらから=https://lib.kobe-u.ac.jp/libraries/23198/



学生96人、教職員59人 12月28日~1月10日の学内コロナ感染者数

2023-01-11 21:43:08 | ニュース
 神戸大は毎週水曜日に前日までの1週間の感染者数を掲載している。1月11日の発表によると、2022年12月28日から2023年1月10日までの2週間で、学生96人、教職員59人の感染が確認された。12月21日~12月27日に比べ、学生は4人、教員は9人増加した。<奥田百合子>


(画像:2021年4月21日~2023年1月10日の学内感染者数推移 グラフ)

▼神戸大サイト「本学の新型コロナウイルス感染者について」=https://www.kobe-u.ac.jp/NEWS/info/corona_infected.html

【2022年度神戸大の新型コロナ感染者数】(神戸大サイトから)
12月28日~ 1月10日 学生96人、教職員59人。
12月21日~12月27日 学生92人、教職員50人
12月14日~12月20日 学生89人、教職員33人。
12月 7日~12月13日 学生52人、教職員27人。
11月30日~12月 6日 学生57人、教職員18人。
11月23日~11月29日 学生25人、教職員14人。
11月16日~11月22日 学生35人、教職員24人。
11月 9日~11月15日 学生25人、教職員8人。
11月 2日~11月8日 学生15人、教職員8人。
10月26日~11月1日 学生12人、教職員10人。
10月19日~10月25日 学生24人、教職員6人。
10月12日~10月18日 学生11人、教職員10人。
10月5日~10月11日 学生23人、教職員11人。
9月28日~10月4日 学生 7人、教職員15人。
9月21日~9月27日 学生17人、教職員14人。
9月14日~9月20日 学生44人、教職員24人。
9月 7日~9月13日 学生58人、教職員68人。
8月31日~9月 6日 学生54人、教職員109人。
8月24日~8月30日 学生117人、教職員17人。
8月10日~8月23日 学生152人、教職員114人
8月 3日~8月 9日 学生180人、教職員78人。
7月27日~8月 2日 学生212人、教職員32人。
7月20日~7月26日 学生131人、教職員60人。
7月13日~7月19日 学生95人、教職員24人。
7月 6日~7月12日 学生22人、教職員 8人。
6月29日~7月 5日 学生57人、教職員 5人。
6月22日~6月28日 学生22人、教職員 2人。
6月14日~6月21日 学生 9人、教職員 3人。
6月 8日~6月13日 学生53人、教職員 3人。
6月 1日~6月 7日 学生22人、教職員10人。
5月25日~5月31日 学生27人、教職員 8人。
5月18日~5月24日 学生58人、教職員15人。
5月11日~5月17日 学生63人、教職員13人。
4月27日~5月10日 学生 8人、教職員 4人。
4月20日~4月26日 学生90人、教職員 2人。
4月13日~4月19日 学生57人、教職員 5人。
4月 8日~4月12日 学生29人、教職員 8人。
3月30日~4月 7日 学生16人、教職員 4人。

学内の累計感染者数(2020年4月以降)学生2745人、教職員1060人。