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「歌の力で希望を届けたい」 混声合唱団エルデにインタビュー

2021-07-31 18:13:16 | ニュース
 昨年に比べると対面で練習できる機会が増えたものの、通常通りの活動や部員同士の仲を深める行事を行うことは難しいという混声合唱団エルデ。例年通りの新歓ができず、新入部員はいつも年の約半分に。コロナ禍でさまざまな苦労をする部長の静木周作さん(国人・3)と副指揮者の海老春香さん(国人・3)は、「歌の力で希望を届けたい。」と熱い思いを語る。<佐藤ちひろ・塚本光>

コロナで新入部員が激減

記者)コロナ禍で例年通りの新歓ができなくなりましたが、入部者の数などはどのように変化しましたか。
静木)そうですねやっぱり新入部員の人数はだいぶ減りましたね。自分が今3回生なので自分たちが多分コロナ前の最後の学年なので、そのときと比べたらだいたい半分か、半分いかないかぐらいですね。

記者)コロナ禍に入った去年と、今年では人数の変化はありましたか。
静木)そうですね、今年の方がまだコロナに対応していたので、でもそれでも去年プラス2,3人とかでやっぱり今の2回生がだいぶ少ないですね。


(画像:オンラインでインタビューに答える静木さん=左上、海老さん=右下)

合唱以外の企画でもアピール

記者)対面新歓が難しいなかで工夫されてることはありますか。
静木)去年と一緒なんですけど、景品とか、簡単にいえば物でつったりして…、対面だったら、たぶん合唱に興味ない子も来てくれると思うんですけど。今年は多分それができないので、ビンゴとかそういう形で、オンラインで開催することで結構な人数に来てもらいましたね。あとは、新入生にとってプラスになる履修登録の説明であったりとか、合唱に関係ない部分で新歓を行いましたね。


(画像:エルデの2021年のオンライン新歓の宣伝画像)

SNSで魅力を発信

記者)YouTubeやTwitter、Instagramで情報を発信されていますね。
静木)YouTubeは合唱の動画を撮りまして、それを公開することで合唱好きな子には興味持ってもらえたかなと思います。InstagramとかTwitterでYouTubeのURLを貼って、みんなに見てもらえるようにしましたね。
記者)確かYouTube始められたのが2020年の3月だったと思うんですけど、コロナの影響で始められたんですか。
静木)そうですね、オンライン合唱を載せるために、多分先輩がやってくれて、そのアカウントを引き継いだ形になるんで、コロナの影響で始めたって感じです。
記者)SNS活動で特に力を入れているポイントはありますか。
静木)そうですね、去年だったら部員紹介とかをしてたんですけど、今年はコロナがない頃どんな遊びしてたかとか、合唱以外の部分で結構新入生が楽しそうって思うような写真を投稿しましたね。


(画像:インスタグラムでエルデの合唱以外の部分もアピール)

オンラインでコミュニケーションをとることの難しさ

記者)海老さんは指揮者ならではのオンライン練習の難しさを感じられだと思うのですが。
海老)オンラインでは、どうしても話せる人って限られるじゃないですか。みんなの声が聞けない、みんなの反応が読み取りづらいっていうのが一番難しさとして感じていて。やっぱりみんな、画面をずっと見続けて、自分のリアクションも読み取ってもらえないっていうなかで、ちょっと飽きが出てしまったり疲れが出たりっていうのがあったかなっていうふうには思います。
記者)その中で工夫されたことはありましたか。
海老)私から一方的に話すだけじゃなくて、みんなが参加できるような機会を作るっていうのを意識して練習をしました。あとは、活動の前にアイイスブレイクとか時間をとってやってみたりする中で、指揮者である私だけじゃなくて、みんなが気軽に話すことができて参加できるような場面を意識的に設定して、変化も加えながらやってみてましたね。

対面練習が増加

記者)今、練習は全部オンラインですか。
静木)許可が出たときだけ対面でやっている感じですね。最近ちょっとずつ解禁されてきたので。(7月6日時点)
記者)昨年の今の時期と今年を比べて、今年の方が対面での練習はやりやすい環境になっていますか。
静木)そうですね。去年のこの時期はオンラインですらほとんど動いてなかったので、それと比べるとだいぶ今年は対面での活動内容が増えていますね。

お客さんに歌を直接届けたい

記者)コロナが落ち着いたらやりたいことはありますか。
静木)そうですね、一番メインのイベントである合宿ですね。去年は1回もできず、今の2回生が合宿を1回も経験してないので、みんなで合宿できたらいいなと思います。
海老)今どうしてもステージに立つとき、ソーシャルディスタンスを保って、離れなくてはいけないし、みんなで大人数で歌うっていうのが、一番リスクがあってできていないことです。ホールでお客さんを呼ぶっていうことが今あまりできてなくて、コンサートも中止になってしまったので、沢山お客さんを呼んで、私達もギュッと集まって一つの音楽をいろんな場所で披露できたらいいかなって…。今、オンラインでいろいろ企画を進めているんですけど、やっぱり対面でお客さんに音楽を届けられたらいいなっていうふうに思っています。

記者)今活動が制限されているなか、お二人がどのような気持ちを抱えているのか教えてください。
静木)新入生が期待していた以上に入ってくれたので、たぶんエルデ自体の雰囲気に惹かれて入ってくれた子も多いと思うので…。そういったことも含めて合唱もですけど、合唱以外の遊びとか、そういうことをできたらなって思いますね。
海老)指揮者って前に立ってみんなの顔見るじゃないですか、そのときにみんなの表情が見えないっていうのが結構つらくて。これはお客さんもな
そうだと思うんですけど、マスクとかフェイスシールドもそうなんですけど、団員の表情が見えなくて、その伝えるものも伝わらないっていうか、声もうまく通らないし、表情でも伝えられないっていう面でのもどかしさを感じています。もしコロナ禍が終わったら、マスクをみんなで外して思い切りその表情も声も一緒に、お客さんにも届けたいなっていうふうに思っています。

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 今回は、コロナ禍ということもあって、京都大医学部合唱団メディカルコール、香港・Diocesan Choral Societyとともに、一緒に合唱した「オンラインで合同演奏会」を8月14日から順次YouTubeで公開する。

▼ジョイントコンサート YouTubeチャンネル「Joint Concert〜Apollon, Erde, Medical Choir, DCS〜」= https://youtube.com/channel/UCKMvvHJTaWAP94OeokIH2Wg

 エルデ副指揮者の海老春香さん(国人・3)は、「緊急事態宣言下では部員が集まって歌うことすらままならない時もありました。ですが、離れていても繋がることはできる。今こそ歌の力で希望を届けたい」と意気込む。
 アポロン部長の伊集院和音さん(農・4)は、「歌っていて、聴いていて前向きな気持ちになれるようにと思って選曲しました。コロナ禍でもこれだけのことができるよという想いが大きいです」と合唱にかけた思いを語っている。



「コロナ禍でもこれだけできる」 混声合唱団アポロンにインタビュー 

2021-07-31 18:03:27 | ニュース
 混声合唱団アポロンは、コロナ禍で対面での活動が大幅に制限される中、部員が集まり直接声を合わせることで一つの音楽を作り上げる合唱団本来の活動ができずにいる。特にオンラインでの活動では新入部員獲得が難しく、部員同士のコミュニケーションも減少してしまったという。「部員に申し訳ない」とやるせなさをにじませながらも、SNSでの動画アップなど、この状況ならではの工夫をして、奮闘している。部長の伊集院和音さん(農・4)と、正指揮者の黒田聖奈さん(法・4)に聞いた。<佐藤ちひろ・塚本光>

コロナで新歓が難航

記者)昨年に続き、コロナ禍で例年通りの新歓ができなくなりましたが、入部者の数はどのように変化しましたか。
黒田)今3、4回生には、だいたい12、3人くらいいて、毎年10人以上入部するのが確実でした。それが今の2回生では、去年は本当にコロナ禍で活動の見通しがつかなかったので、みんなばらばらの時期に1人、2人ずつくらい入ってきてくれて、今は全部で8人います。今年は、意外とwithコロナ感が、新入生の側で強かったというように思っています。入ってくれた子が今年は既に6人(6月16日時点)います。それでも例年と比較すると、Zoom新歓ではもともとアポロンに興味がなかった人にはアピールすることができないため、そこを難しさとして感じています。これが新入部員が半分くらい減っている要因だと考えています。まずは学内知名度を上げていきたいです。


(画像:オンラインでインタビューに答える伊集院さん=左上、黒田さん=左下)

記者)実際に新歓をやってみて難しく感じたところはありますか。
伊集院)去年は特になんですけど、私たちも新入生もZoomというツールに慣れていないというのがまず大きかったです。あとはあまり大人数になってしまうと、会話がなかなかできなくなってしまうことです。そのため、少人数での新歓を行うのですが、そうするとやっぱり雰囲気を感じ取ってもらうことが難しくなります。いつもの新歓だったら、合唱を直に聞いてもらって、その後食事会に行ったりレクリエーションで楽しんだりっていうことができるんですけど、Zoom新歓だとどうしてもしゃべるだけになってしまうので、そのあたりもかなり難しいところかなと思います。

記者)新歓が難しいなかで工夫されていることはありますか。
黒田)少人数でのおしゃべり会や、ゲーム用意するなど、いろいろ工夫をしたんですけど、結局きてくれる人は、アポロンのこととても知りたいと思ってくれてる人が多いということを、去年と今年を通して感じました。今は、アポロンを積極的に探してない人にも情報届ける方法がないか考えています。


(画像:新歓で様々なイベントを開催)

SNSで積極的にアピール

記者)YouTubeやTwitter、Instagramで活発に発信されていますね。
黒田)実はもともとSNSは活発に動かしていて、特に私達が2年生くらいの時に広報の組織を作って、広報には力を入れた方がいいというふうになりました。もともとのきっかけは演奏会の集客で、演奏会情報を広げて、もっとお客さんに来てもらいたいっていう目的がありました。

記者)YouTubeに昨年の定期演奏会の動画を今年の5月ごろアップされていましたが、なぜこのタイミングでアップされたんですか。
伊集院)定期演奏会の録画を公開することは例年行っていて、もともとその次の年の定期演奏会の集客に向けてという面が大きく、秋ごろに公開をしていました。去年、新歓が上手くいかなくなったときに、動画を5、6月あたりに上げる事で新入生に見てもらいたいねという声が高まって、その流れで今年もこの時期に動画を上げて、多くの人に見てもらおうということになりました。


(画像:アポロンのYouTubeチャンネルのスクリーンショット)

全員で合わせて歌うことが困難に

記者)コロナで練習状況はどのように変化しましたか。
伊集院)去年の2月あたりに大学側から活動をしないようにという通達が来て、その後、5月ぐらいまではもう完全に何もしていませんでした。ただ、このままじゃ駄目なんじゃないかという話になって、オンラインでの活動を始め、夏、8月末くらいから対面で実際に会って歌うことができるようになりました。今までは普通に集まって歌っていたのが、マスクをして、その上からフェイスシールドをした状態で、人と人の間を結構ちゃんと間隔を取って、公民館の定員もしっかり調べて定員の12分の1以下の人数で使用するとかいうところまで気を配っての練習になりましたね。
黒田)以前は練習の前後とかにワイワイ話をしたり、部活動のその日の反省を行ったりっていう時間があったんですけど、それが消毒や検温の時間に取られたりしてしまいました。あと、他大学の学生が参加できないことはアポロンも結構あおりを喰らいまして、特に今の3回生は、結構他大学から来てくれている子が多いので、その子たちが練習に来られなくなるっていうことがありました。
記者)今はオンラインで練習されているのですか。
伊集院)そうですね、今は全面的に活動を止められているので、オンラインになっています(6月16日時点)。タイムラグとかは仕方がないので、みんなと合わせて歌うことはもうしてないんですよね。各自が音源に合わせて歌っているパートもあると思います。


(写真:感染対策をしたうえでの対面練習。2021年4月、西宮市立鳴尾東公民館で)

十分な活動ができずやるせない

記者)今、活動が制限されているなか、お二人がどのような気持ちなのか、教えてください。
伊集院)去年一年間例年通りの活動ができなくて、できるようになったと思ったら他大生が来られなくなったりしてっていう状態で今年が始まって、演奏の機会も今の時点でかなり減ってしまっていて、仕方ないことなのかもしれないですけど。ちょっと団員には申し訳ないなっていうのが私の中ではあります。去年入ってくれた人は一度もやってない行事とかもいっぱいありますし、それが今年はできるかもねっていう期待が結構大きい中で始まったので、その中で、結局制限がかかってしまって、行事らしい行事も、今年は結局何もまだできていない。申し訳ないしちょっとやるせないっていうのが大きいです。
黒田)私もすごい合唱好きで、演奏会を成功させることっていうのは本当に大好きで頑張りたいと思うんですけど、なんか人間それだけじゃやっていけないときもあるよな、といいますか。私は団員が仲良くなることによって、プラスの効果が働くと思っているんですけど、演奏機会がないと、人と関わる機会もなくて、合宿で一緒に泊まるっていうこともできなくて、かなり残念ですね。大学生生活最後の合宿ができないのかなっていうのが残念です。12月の定期演奏会でしっかり終えることができたら、まだちょっと気持ちが救われるかなっていうところがあります。なので、私達こそ感染対策に気をつけて、年末の定期演奏会をやりたいなっていうのが、一番の願いですね。

マスクを外して歌いたい

記者)コロナが落ち着いたら一番したいことは何ですか。
黒田)マスクを外して歌いたいっていうのはもう本当に思いますね。一応、昨年12月の定期演奏会のときに、かなり広いホールでマスク外してたんですけど、やっぱり全然違うんですよね。その、響き、自分の声が響くのもそうですし、相手の声もとても聞こえるし、息吸うのも楽だしみたいな。本当にマスクつけて歌っているときは、足かせつけて走ってるみたいな状態です。外すと本当に爽快感があるので、マスクを外して歌えるようになったら、嬉しいなって思います。
伊集院)私は寝泊まりの行事がしたいですね。1日中寝食を共にするっていうのは、すごい記憶に残るし、相手のことを深く知ることにもなるし、そういう行事だと思うので。後は、コロナが落ち着いて、卒業旅行行ければいいな、くらいの感じですね。

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 今回は、コロナ禍ということもあって、京都大医学部合唱団メディカルコール、香港・Diocesan Choral Societyとともに、一緒に合唱した「オンラインで合同演奏会」を8月14日から順次YouTubeで公開する。

▼ジョイントコンサート YouTubeチャンネル「Joint Concert〜Apollon, Erde, Medical Choir, DCS〜」= https://youtube.com/channel/UCKMvvHJTaWAP94OeokIH2Wg

 エルデ副指揮者の海老春香さん(国人・3)は、「緊急事態宣言下では部員が集まって歌うことすらままならない時もありました。ですが、離れていても繋がることはできる。今こそ歌の力で希望を届けたい」と意気込む。
 アポロン部長の伊集院和音さん(農・4)は、「歌っていて、聴いていて前向きな気持ちになれるようにと思って選曲しました。コロナ禍でもこれだけのことができるよという想いが大きいです」と合唱にかけた思いを語っている。



捕獲されたウリ坊は2匹、殺処分に 3匹は逃走中🐾

2021-07-28 19:26:02 | ニュース
 6月下旬から六甲台第2キャンパスに出没していたウリ坊集団5匹。7月20日午後、神戸市によって捕獲されたウリ坊は、その後の取材で2匹だったことがわかった。殺処分されたという。1匹はジャンプして逃走。現場にいなかった2匹とあわせて、計3匹の行方はわかっていない。ウリ坊たちを見守っていた人は、都会の野生動物と人間とはどう共存すれば良いのか「関心を持ってほしい」と訴えている。<佐藤ちひろ>

●1匹はジャンプして捕獲を逃れて雑木林に

 担当の神戸市農政計画課によると、7月20日午後、市職員と地元猟友会員がウリ坊の捕獲のために現地を訪れた際に確認できたのは、貯水池内の3匹だけ。猟友会が捕獲しようとすると1匹はジャンプして貯水池から脱出し、急斜面の雑木林に逃げていったという。猟友会は2匹のウリ坊のみを捕獲した。
 2匹は県の決まりに基づき、殺処分したという。
 その後、コンクリート堤の上にいた2匹と、貯水池から脱出した1匹のあわせて3匹の行方はつかめていない。

(動画下:貯水池の中にいた3匹のウリ坊。この動画撮影の翌日に、このうちの2匹が捕獲され、殺処分されたとみられる。1匹はジャンプして貯水池から脱出した。<音声なし> 2021年7月19日午後撮影。藤澤貴和子さん提供)


●6月下旬から目撃されていたウリ坊集団は5匹

 6月下旬から馬術部の馬場や通学歩道の「うりぼーロード」付近の側溝で目撃されていた5匹のウリ坊たち。
 7月16日の午前10時前には、工学部C1棟1階の廊下を1匹が疾走している姿がスマホで撮影されツイッターにアップされた動画(SHIMANAMI Ryo @shimanamiryo )が13万回余り再生されて注目された。このウリ坊が5匹のうちの1匹なのかどうかはわからない。

 専門家によると、イノシシの子=ウリ坊はふつう母親とともに生活するという。今回目撃されているウリ坊は、母親とはぐれたのか、周囲に親イノシシの姿は目撃されていない。
 その後、7月19日ごろには、工学部食堂から百年記念館に向かう道沿いのコンクリート製の約5メートル四方の小さな調節池で、5匹のウリ坊グループが大学職員らによって確認されていた。
現場は、大学キャンパスとその下の市街地のあいだの急斜面の崖上にあたる。
 記者が7月20日の帰路に通りかかった際は、2匹はコンクリート堤の上で寝ころび、残り3匹は調節池の内側で、ブヒブヒいいながら水をパシャパシャはねていた。

 一方、神戸市の鳥獣相談ダイヤルに市民からウリ坊についての通報があり、7月19日には市役所職員が現場を視察しているのが大学関係者に目撃されていた。


(写真:市街地から見た、六甲台第2キャンパス。左のガラス張りの平たい建物が百年記念館。右側の茶色いビルが工学部棟。その間に、ウリ坊5匹が目撃された貯水池がある。捕獲を逃れた3匹は、緑が茂った急斜面の雑木林に逃げ込んだものと思われる。資料写真)

●イノシシに指を食いちぎられる重傷事故も

 1995年の阪神淡路大震災直後に、神戸市内の避難所で母イノシシが残飯をもらう光景があちらこちらで見られた。この頃から生息区域が、市街地に広がるようになったという指摘もある。神戸市民は、近年、野良犬には会わないが、野生イノシシに出会う確率の方が高い。
 一方で、イノシシによる“人身事故”も起きるようになった。
 2014年6月には、東灘区で男性がイノシシにかまれ、衣服を破られるなど、3日続けて被害が出た。
 2018年12月には芦屋市と東灘区の市境付近で、86歳の女性が左手の薬指を食いちぎられる重傷を負っている。
 2018年5月10日夜には、神戸市東灘区本山北町の阪急神戸線岡本-芦屋川間の踏切付近でイノシシ2頭をはね、上下計5本が運休する事故も。
 2016年には群馬県桐生市で死亡事故も発生している。

●神戸市の徹底的な捕獲作戦 被害件数は急減

 本来、鳥獣保護法で保護されている野生のイノシシだが、農作物や人に危害を与える恐れのある場合、神戸市では「有害鳥獣」として駆除できる。
 市によると、行政の手続き上、捕獲されたイノシシは殺処分になるという。

 神戸市内でのイノシシによる人身被害は2014年に37件と急増。2016年度と17年度の兵庫県内の被害は、全国ワーストを記録した。
 2021年4月2日付の神戸新聞によると、市は猟友会と連携し、わなによる積極的な捕獲を進め、2017、18年度の実績は千頭を超え、反比例するように被害件数が減少。18年度以降は1桁で推移し、20年度も東灘区の2件にとどまった、と伝えている。(神戸新聞2021年4月2日付「神戸のイノシシ被害激減 20年度は2件のみ、ピーク時の5%に」https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202104/0014206002.shtml
 神戸市の徹底したイノシシ対策は、目に見えて効果を上げていることがわかる。


(画像:神戸大のキャラクターにもなっている「うりぼー」。ウリ坊は愛されキャラだが…。「うりぼーポータル」のスクリーンショット。)

●殺処分「悲しい」 人間とどう共存できるのか

 イノシシの数は年々減ってきていると神戸大周辺でも話題になっているという。
 今回、ウリ坊たちの行方を見守っていたある人は、「もともと人間が(イノシシの暮らす六甲の山を)開発してきたわけだし、できれば殺処分ではなく深い山などに逃がす方法はなかったのか。悲しい」とこぼす。
 イノシシの子どものウリ坊は愛らしいイラストに描かれ、神戸大学の公式キャラクター「うりぼー」として採用されている。大学生協でぬいぐるみが販売されたり、ポータルサイトの名前になったりしている。
 「かわいい」というまなざしだけでなく、都市部で野生の動物と人間はどう共存すれば良いのか。「今回の問題について、みんなに関心を持ってもらいたい」と話してくれた。

●残る3匹のウリ坊の行方は?

 餌がない、雨の日に側溝で溺れるなど、野生の動物にとって生きていく環境は厳しい。子どものウリ坊が5匹くらいいても、その中から成獣になるのは1匹いるかどうかという状況だという。
 神戸市は2002年にイノシシ条例を制定。被害の相次いだ2014年に改正し、市民が「餌付け」をする行為も禁止して、命令に従わない場合は公表するなど、イノシシ包囲網は強化されている。

 3匹のウリ坊は猛暑の中、キャンパス周辺をさまよっているのか、市街地に降りたのか。行方は、その後つかめていない。



▼関連記事 7月26日「ウリ坊たち捕獲されていた 六2キャンパス南の貯水池で」=https://blog.goo.ne.jp/kobe_u_media/e/52de38b2ccacaad9d4c571b9883a8275

▼関連記事 7月22日「校舎を疾走するウリ坊 危険な親イノシシはどこに?」=https://blog.goo.ne.jp/kobe_u_media/e/b5f2b2e5cda85de028f26e37362be7b8



急きょ予約サイトを公開 ワクチン接種最終週分

2021-07-27 17:24:14 | ニュース
 神戸大は、学内での最終週8月2日(月)から6日(金)までの第5次予約枠の受け付けを、7月27日の16時から始めた。これまでは予約開始日の午前にサイトで告知したうえで受付サイトを12時30分に公開するパターンだったが、この日は公開とほぼ同時に告知した。



ウリ坊たち捕獲されていた 六2キャンパス南の貯水池で

2021-07-26 22:05:53 | ニュース
 工学部の廊下を走り抜ける動画などで話題になり、この6月下旬から六甲台第2キャンパスに出没していたウリ坊の集団が、7月20日午後、捕獲されていたことがわかった。神戸市によると、電話で通報があり、市から委託された地元猟友会によって校地南側の貯水池付近で捕獲されたという。<佐藤ちひろ>

 ニュースネットが神戸市の農政計画課に電話で聞いたところ、7月19日午後、神戸市の鳥獣相談ダイヤルに「水路で(イノシシの子どもの)ウリ坊が、鳴いてうろうろしている」という通報があった。通報したのが誰なのかはわかっていない。
 7月20日午後に市の職員が現地を訪れ、神戸大の六甲台第2キャンパス南側の貯水池にいるウリ坊3匹を確認。
 担当職員によると、市は地元猟友会にウリ坊の捕獲を委託したという。

 ニュースネットは7月20日昼に貯水池の池の中に3匹、コンクリート堤の上の2匹のウリ坊を確認したが、その直後に捕獲されたものとみられる。今回どのウリ坊が捕獲されたかはわかっていない。


(写真左:貯水池の池の中にいたウリ坊3匹。 写真右:コンクリート堤の上の2匹。2021年7月20日正午ごろ撮影 提供写真)

 ウリ坊は、自然界で生き抜くことは難しく、成長してイノシシになれるものは数少ないというが、人間の生活圏内にいる限りは害獣とみなされてしまう。
 鳥獣保護管理法により、野生鳥獣及び鳥類の卵の捕獲や殺傷、採取や損傷は禁止されているが、農林水産物の被害、人への危害などの恐れがある場合には、「有害鳥獣捕獲」として例外的に捕獲できる。
 神戸市では、市長の許可のもと、イノシシは捕獲できることになっている。
 2014年には東灘区や中央区でイノシシによる人身事故が相次ぎ、餌付け行為などを禁止する条例改正が行われた。
 行政の手続き上、捕獲されたイノシシは殺処分になるという。

▼関連記事「校舎を疾走するウリ坊 危険な親イノシシはどこに?」=https://blog.goo.ne.jp/kobe_u_media/e/b5f2b2e5cda85de028f26e37362be7b8