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続 デンマークの子育て・人育ち~澤渡夏代ブラント

デンマークの子育て・人育ち―「人が資源」の福祉社会 <br>
澤渡 夏代ブラントデンマークの子育て・人育ち―「人が資源」の福祉社会
澤渡 夏代ブラント
大月書店 2005/11
経済的にも日本より豊かで  (一人当たりのGDPは1.2倍)
それにして
出生率も非常に高く     (デンマーク1.78、EU平均1.5、日本は1.29)
そして、
幸福度世界NO1の国(ルクセンブルクの大学の調査結果)。

そしてその満足度は
「自分の人生を自分で決定できること」にあり
それは
自立した人間像と
個の尊重に始まるとのこと。

デンマークでのご自身の子育て、孫育て(?)のエピソードや事例からは
学ぶこと改めて気づくことも多い。
また、この本はただその体験談紹介でなく
その意義までしっかりと述べられている。
※例えば、日本では危険ということで子どもから遠ざけているナイフや危険場所に対する
     デンマークでのアプローチは全く違う、
     そのアプローチの方法と教育的意義など。
これが例えば、一人で服を着るということにつながり、家族の絆につながり
自立・主体性ということにつながる様子。
(モンテッソーリでいう正常化のプロセスと全く同じと思った。)

このように
体験談と論が両立している。
体験談だけでない
机上の論だけでない。
だから非常に説得力がある。

●バイリンガルを育てた工夫
●森の幼稚園
●デンマークの性教育
●男女参画社会
●デンマークの進路相談の話題
●家庭教育と社会との連携
●自立している高齢者
などの話題も非常に興味深い。


ところで
社会システムも数多く紹介されているが
この本を読むと社会システム(ハード面)を真似るだけでなく
そこで行われている子どもへのアプローチ(ソフト面)が
いかに重要かということをつくづく再認識できる。

多くの場合、社会システム、教育システムばかりに
目が行きがちだが、(簡単例で行くと1クラス何人とか)
クラスの人数うんぬんより
そこでどのような教育が実践されているかこそが重要なのであって、

クラスの人数を減らしたところでやってること一緒ならたいした変化はない。
何のためにクラスの人数を減らすのかというのが最も重要。
結局、システムとは何かの目的のための手段であって
手段ばかり真似ても、その中身が伴わないと意味がない。

そのデンマーク流の家庭でのアプローチの実践例、そしてその解説が
理解できるこの本は非常に価値があると思う。
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