「人を伸ばす力」と「虚妄の成果主義」

前回の続き、
前回書いた親子のやり取りに見られるような
「選択の機会」をあえてつくることができているだろうか。
一見、面倒かもしれないが、
「管理・統制・命令」し続けるより
パフォーマンス効率がいいことは自明だ。


「そんなことをいってもこどもも部下も「自律」して動かないから・・・」と
「他者」に原因を考えたのであれば
それは、このやり取りの前提となるモノ、
「信頼関係」が築けていないということだろう。

「自律」を育てる環境をつくることは
責任は保護者やリーダーの役割だ。

人は環境や状況によって簡単に変容する。
あなたのこどもや部下は
あなたの「管理下」の時だけ
「自律」していないのかもしれない。

「自律」といいながら、
「管理・統制・命令」ばかりしていないだろうか。

自分でやろうと思わない限り、人はうごかない。
つまり、
自ら動くには、自分でやろうという「自発性」が必要だ。

自発性(内発的動機)には、
「選択の機会」があり、
そして、
「自律感」(自らが自らをコントロールできていると思うこと)
が必要である。


目標管理制度や成果主義の欠点はここにある。
この制度の下では、自発性はでてこない。
自分で自らやろうと思わない制度の下で
新たな取組みが生まれやすいわけがなく、
イノベーションが生まれやすいわけがない。
イノベーションがない組織が競争力を持つわけがない。


教育や人材育成に関わるすべての人は、
もう一度考えるべきだと思う。

「虚妄の成果主義」高橋伸夫著
エドワード・L・デシの理論を紹介し
成果主義を斬ったこの本は、
世の中に蔓延している誤った概念を見直し
影響されないためのも必読書だと思う。

人は社会環境に影響されてしまう。
成果主義による影響が社会あらゆるところに伝播している。
ビジネスだけではない、ビジネスパーソンは家に帰ると親だ。
家庭教育や学校教育に成果主義的発想を取り入れてないか、
それがいかに「人を伸ばす力」に悪影響を及ぼしているか。
それを理解する必要がある。

参考:著者インタビュー
日本の人事部:「成果主義」終焉させる時が来た 高橋伸夫

虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ

高橋 伸夫

日経BP社




人を伸ばす力―内発と自律のすすめ

エドワード・L. デシ,リチャード フラスト

新曜社


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