イスラエル旅行記

旅行記が完成したので、あとは普通に。、

22.導水橋 B

2006年08月28日 | Weblog
 昨年と同じように、その砂地を海岸に向かって歩きました。そして2,000年以上も前の遺跡に、再び素手で触っているのです。その手のひらを通して、2,000年という時の流れに切ないほどの重みを感じました。

 逆らうことの許されなかった時代、これを造るために、どれだけの人々がムチで叩かれ、どれだけの人々が権力の犠牲になったのだろうか。心地よい潮風に打たれながら、昨年とは違うことを受け止めていました。もう一度、パンパンと手のひらを押しつけて、53年足らずの自分の人生を振り返ると、まるで奇妙なことが浮かんできます。
(50、60は鼻たれ小僧、70越えてようやく大人、80過ぎなきゃぁ~、人生なんて語れないさ。まだまだデカイ顔すんな! 偉そうなこと言うな!)と。

 2,000年前からずっと仲良しだった地中海と導水橋、そしてそれを見つめ続けたピーカンの太陽に敬意を表して、一足先にバスに戻ります。確かに擦っても擦ってもへばりついているアスファルトの粒、そばの石玉に足を乗せてさらに擦ってバスに戻ります。窓から、もう一度しっかりと、この風景を脳裏に焼きつけながら、
(主よ、いつかまた来れるでしょうか)
そう心に問うのでした。何しろこの地にいる間はリュウマチの痛みが全くなく、薬を持っていることさえ忘れているのです。

 ふと目にふれたのは、西さんが一番最後から、歩きにくそうに戻ってくる姿です。その前には元気いっぱいの児玉さん。そして柳田さん夫婦も、暑さの中をいとも爽やかに戻ってきます。その光景を窓ガラスの向こうに見ながら確信したのです。
(必ずもう一度来れるわ)と。【写真は2度目、12月】
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21.導水橋 A

2006年08月28日 | Weblog
*カイザリア

 バスはさらに北上して導水橋に向かいます。ローマ時代にカイザリア市民の飲料水用に使われたものらしく、カルメル山麓の泉から地中海の海岸に沿って、9キロもある高架式の導水橋。おそらくヘロデ王の時代に造られたものであろうと・・・。

 去年の12月に来た時には、地中海の冷たい風に身をさらしながら、私は砂を集め、相沢さんと宮本さんは、波をよけながら無心に貝がらを拾っていたし、津田さんはプロ級の腕で、私たちとは一味違った角度から写真を撮っていました。
 昨年のスケジュールでは、カイザリアが最後だったので、それぞれ旅行中の色々な思いが交錯していたに違いありません。2,000年前の遺跡と、真冬の地中海に漂う夕日があまりに美しく、涙が出そうになって一人群れから離れたのを思い出します。どういう訳か帰国するのが辛くて切なくて・・・。

 今回は見学が始まったばかりで、まだ午前中です。太陽がさんさんと輝いて、コバルトブルーの地中海が、アーチ型からはみ出してきそうです。なにはともあれ、元気いっぱいの私たち。
 バスから海岸までは結構な距離があります。しかもアスファルト混じりの砂地です。降りる前に添乗員の泉さんから、注意がありました。
「ええと、ここはですね、アスファルトの粒が混じっていて、べったり靴に付きますから、バスに戻るときには、それをよ~く落としてください」
 【写真は4度目、5月】
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20.十字軍時代の要塞

2006年08月28日 | Weblog
【写真:堀】カイザリア

 次の見学は十字軍時代の要塞です。バスから降りるとまず目に入るのは、皇居を囲んであるような堀です。もちろん水はありません。その堀にかかった橋の上で最初の説明を聞きます。
「この建物は13世紀に建てられたもので、当時は難攻不落と言われたそうです。防御するために、いくつか仕掛けがありますが、まず水攻めの堀ですね。ここを渡ろうとした途端にザァーッと水を入れちゃって、溺れさせてしまうんです。それでもめげずに渡ってきた人には、次の手が待っています。どうぞこちらにおいでください」
 建物の入り口の所で、再び説明を聞きます。
「上を見てください。大きな穴がありますね。次の手というのはあの穴なんです。あの穴から、今度は熱湯を浴びせるんです」
「ひえ~、ここから熱湯ですか」
「それでも運のいい奴は、まだ突き進んできますよね」
「次はどうするんですか」
 興味津々です。さすが殿方、こういう話になると身を乗り出して聞いています。
「三つ目はですね、じゃあ、中に入りましょう」
 ぞろぞろと後から続きます。入り口で見た限りでは、突き当たりのように見えた通路が、途中で右に折れていました。
「ごらんのようにですね、L字型に曲った通路なんです。どういうことかと言いますと、馬は前へ前へと勢いよく走ってきますから、途中で止まることが出来なくて、当然のことながら、向こうまで行って突き当たってしまいますね。そこでドドドッと落馬して、怪我をして・・・それで人数がかなり減りますね」
「ははは~~」
「な~るほど~。よく考えたもんだな」
「残った何人かは、このL字型の通路を右に曲ろうとしますが、最後にもう一度、あの上から熱湯を浴びせるという、非常に手の込んだ戦いをしたそうです。かの有名なナポレオンでさえ、ここは落とせなかったと言われております」
「ふ~ん」
 感心して言葉がでません。天上は、上から圧力をかけても耐えられるアーチ式の建築様式。礎石に使われている大理石はヘロデ大王の時代のもので、イタリアやエジプトのアスワンから運ばれたということでした。まことに感無量です。
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19.ちょっとブレーク

2006年08月28日 | Weblog
 こんにちは!いつも見てくださってありがとうございます。
今まで一気に書いてきましたが、この辺で少しブレークしたいと思います。暑さのあまり、少々バテ気味・・・・かな?
 
 実は今年の母の日に、カーネーションではなく、鉢植えのゼラニュームをいただきました。もうとっくに花が終わって、捨てるために葉っぱが枯れるのを待っていたのですが、それでも気まぐれに水を差していました。それもついでに、少しずつです。
 ところが1週間ぐらい前、つぼみをつけた4本の茎を発見したのです。しかも、いただいた時よりも太くて、短くてしっかりしているのは、梅雨にもカンカン照りの暑さにも、めげずに成長してきたからでしょうか。人生も、めげずに生き抜いてきた人は、どことなく骨太ですものね。
 そして今朝、花が咲いたのです。しかも暑さが吹っ飛ぶような真っピンク! イスラエルでブーゲンビリアを見た時と同じ心地です。イスラエルの荒野も、水さえあれば再び草が繁り、花が咲くのだと、ガイドさんが何度もおっしゃいました。そんなことを思い出しながら、冷たい麦茶で涼んでいます。

 少しカイザリアに戻りましょう。余分な話ですが、あの半円形劇場から徒歩10分ぐらいの所に戦車競技場があって、映画「ベンハー」の戦車競技はそこで撮影されたと説明がありました。またまた色めき立った私たちですが、今はバナナ畑になっているとのことでした。
「ああ、あれ? あそこね?」
 立ち上がってバスの窓から見ただけでしたが、余分なことが結構、魂をリフレッシュしてくれるんですよね。次回は十字軍時代の要塞にご案内します。
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